【2018年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

2018年は100冊ちょっとの本を読むことになりそうだ。
この記事では2018年に読んでよかった本をおすすめ度でランキングにした。
小説もあるしエッセイも絵本もルポタージュもある。

でも、結局「旅」にまつわる本が多い。
単純に好きなんだと思う。いつか、旅にまつわる本に関わる仕事ができたら嬉しいなー。

11.
十五の夏(上)(下)/佐藤優


十五の夏 上

1975年。高校一年の夏休み。ソ連・東欧一人旅。
これだけでもゾクゾクするような設定である。

ロシアはまだソビエトだし、カザフスタンもウズベキスタンもまだソ連であった時代。
十五歳だった著者の佐藤優は、父親の影響を受けて一人で中欧から東欧へ渡り、ソ連を旅した。沢木耕太郎の深夜特急、小田実のなんでも見てやろうに次ぐ、今はなくなったとある時代の青春紀行文

多感な高校生が、部活や受験勉強だけでなく、外の世界を見ることの大きさを感じさせてくれる一冊。

ほんとうに好きなことをしていて食べていけない人を、私は一度も見たことがありません。ただし、それはほんとうに好きなことではなくてはダメです。中途半端に好きなことではダメです。

10.
水の生きもの/ランバロス・ジャー


水の生きもの

南インドのちいさな出版社「タラブックス」を知ったのも今年。
なんといってもこの本がかっこいい。
手すきの紙に、シルクスクリーンによる手刷りの印刷、製本もすべて人の手によって作られている。

ネパールを訪れたときにミティラアートの村があると知って、訪れようか迷ったときのことを思い出す。

誰かの特別な日に送りたくなるような、プレゼントに適した一冊

9.
ジブリの仲間たち/鈴木敏夫


ジブリの仲間たち (新潮新書)

2018年上半期に一番はまった人物は「鈴木敏夫」さんだった。
たまたま見たyoutubeでの鈴木さんの言葉や立ち振る舞いに惹かれ、そこから貪るように動画を見て、5冊の本を読んだ。
鈴木敏夫が好きだ。

映画というのはストーリーを売るんじゃない。哲学を売るんだ。

8.
43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層/石井光太


43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層

川崎市の多摩川河川敷で13歳の少年の全裸遺体が発見された。

数年前に起こったこのショッキングなニュースを、関係する様々な人に聞いてまわったルポタージュ。
東日本大震災での事実を綴った「遺体」などで知られるノンフィクションの名手・石井光太さんの圧倒的な実力を感じられる一冊。

7.
極北へ 石川直樹


極北へ

写真家・石川直樹の旅にまつわるエッセイ。

僕は石川さんを知ったのは写真ではなく文章からだったのだけれど、相変わらず石川さんの文章は想像を拡げるのがうまい。
全ての装備を知恵に置き換えること」が今までの様々な旅について感じたことを綴っていたのに対し、今作は極北に特化した文章なのもおもしろい。
極北の世界を体感しに行きたくなる。

動物と人間が同じ目線をもち、お互い畏怖の念をもって向き合える大地は、今や希有な存在である。
「はるか昔、人間と動物が同じ言葉を話していた」という先住民の神話はおとぎ話ではなく、畏れるべき存在をもっていた本来の人間の思考から生まれたものだったのだ。眠っていた野生を呼び覚まし、今見ている世界が世界のすべてではないということを思い出すためには自分と切り離されたものとして風景を眺めるのではなく、自分と繋がる環境として地球を感じなくてはならない。

6.
AX/伊坂幸太郎


AX アックス

好きな小説家を1人挙げてくれといわれたら迷うことなく伊坂幸太郎と答える。それはもう15年くらい前からずっと変わらない。
僕のノートには伊坂さんの文章がたくさん書かれているのだが、見返してみるとある傾向が浮かんでくる。

AXで好きだった文章は下記の文章。

私は妻が克己に昔からよく言っていた台詞を思い出す。
「やれるだけのことはやりなさい。それで駄目ならしょうがないんだから」
その通りだ。

最後の「その通りだ」があるかないかでは全然違う印象を受けるのだが、伊坂さんの文章にはこういう最後の一言の優しさみたいなのが散りばめられている。
その瞬間に出会えるときがとても好きだ。

5.
はじめての沖縄/岸政彦


はじめての沖縄 (よりみちパン! セ)

個人的には昨年度のベスト本にも選んでいる「断片的なものの社会学」の作家・岸政彦さんの作品。
マイノリティと呼ばれる存在に耳を傾け、押しつけがましくなく考えさせることにかけては右にでる者がいない岸さん。
どこから読んでもいいし、どこで読まなくなってもいい。憂いや儚さを含んだ岸さんの文章や写真は沖縄という土地と非常にマッチしていて、たいして知りもしない沖縄のことを無性に想像してしまう。

私は良い社会というのは、他人どうしがお互いに親切にしらうことができる社会だと思う。そして、そのためには私たちはどんどん身の回りに張り巡らされた小さな規則の網の目を破る必要がある。だから、どんどん無意味な規則は破ったほうがよいということになる。そして、そういう「規則を破ることができるひと」が、沖縄にはたくさんいる。

4.
そして、僕は旅に出た/大竹英洋


そして、ぼくは旅に出た。: はじまりの森 ノースウッズ

だれもが、何者でもなかった頃。
一人の偉大な写真家は、写真家に憧れるただの旅人だった。

導かれるようにノースウッズの森にたどり着き、人々と出会い、写真を撮る楽しさを感じていった著者。
大きな流れに乗ることで、偶然が必然であるかのような不思議な出会いがやってくる。
そんなことを感じさせる一冊。

大切なことは、なにを見ようとしているか、その心なんだよ。こうして並べると、きみがなにを見つけようとしていたかがわかる。花や動物ばかりに目がいきがちだけどね。水滴や雲、森のシルエット、さまざまな色にも反応している。わたしは、そんなきみの視線がとても好きだ。

3.
そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ


そして、バトンは渡された

好きな小説家を1人挙げてくれといわれたら伊坂幸太郎さんとともに必ず挙げる瀬尾まいこさん。
個人的には血の繋がらない家族の繋がりを書かせたら日本一上手なのではないかと思っているが、そんな瀬尾さんらしさ全開の作品だ。

保護者が4回も変わるという絶望的な境遇にありながら、周囲から愛を受け続ける女の子が成長していく姿。
「愛してる」とは表現していないが、「愛とはこういうこと」ということが表現されている。

優子ちゃんがやってきて、自分じゃない誰かのために毎日を費やすのって、こんなにも意味をもたらしてくれるものなんだって知った。

2.
ラダックの星/中村安希


ラダックの星

インパラの朝」で開高健ノンフィクション賞を受賞した中村安希さんが、とある理由からラダックに星を見に行くことになった紀行文。

紀行の描写もさることながら、その心理描写が大変に素晴らしい。
動作ひとつ、視線ひとつ、心の葛藤ひとつが、締め付けられるような苦しさや、虚無感を感じさせる。

インパラの朝でもこんな文章があった。

帰り路の電車の中で、私は窓から夜景をみていた。そこには私が誇りに思い、期待していた母国の街が視界の限りに広がっていた。私の街がそこにあり、生きるべき社会がそこにあり、共に見たいを生きぬいていく同胞たちがいるはずだった。けれどそれは私が抱いた自分勝手な想像であり、楽観すぎる妄想だった。私は再び日本を離れ、街の一員を辞める日がそう遠くないということをこの夜はっきり予感した。

一人の女性を巡って現在と過去が交錯していく表現がなんとも儚く、過去の美しさを知っているからこそ、それがなくなってしまった現在の虚無感が響いてくる。
前に前に。一歩づつ歩き続けたくなる一冊。

春がきたら種を蒔き、秋が来たら麦を刈り、たっぷり日に焼けてどぶろくを飲み、酔っぱらってみんなで深夜まで騒ぐ。
もしもラダックに生まれていたら、きっとそうやって生きてきた。私もミヅキも。

1.
極夜行/角幡唯介


極夜行

白夜という言葉を聞いたことはあるだろうか?
北極や南極などの緯度の高い地域では、夏の間は夜になっても太陽が沈まない地域があることを社会の時間で習ったことがある方も多いと思う。タイトルにもなっている極夜とはその反対に位置する言葉で、冬の間は朝になっても太陽が昇らない地域の現象である。

探検家・角幡唯介が四年の歳月をかけて太陽の昇らない冬の北極圏を探検する旅をまとめた一冊が今年のベスト本だ。

この一冊には、絶望や希望や復活や未知や妄想や無力や前進や誕生や愛情が描かれていて、つまりは人生が描かれている。
死をも覚悟した状況で四ヶ月間の極夜生活の先に見た太陽の光。その光を例えた表現は本当に感動的で、僕の人生にもリンクし、娘の人生の始まりをも想像させた。

母体という始原の闇空間から生まれ出て初めて目にしたもの、それは光だった。
出生とは、安心・安全な母体空間から未知で危険な外の世界に飛び出すという絶体絶命の瞬間だ。つまり、出生とは人間がひとしく経験する人生で最大の冒険なのである。
冗談ではなく、俺の人生は終わったと思った。
私には短い人生の中で三十五歳から四十歳という期間は特別な期間だという認識があった。なぜなら、体力的にも感性も、経験によって培われた世界の広がりという意味においても、この年齢が最も力のある時期だからだ。
この時期にこそ人は人生最大の仕事ができるはずであり、その時期にできるはずの仕事を最高なものにできなければ、その人は人生最大の仕事、さらに言えば人生の意味をつかみ損ねると、そのように考えていた。

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