心からオススメできる面白い本「就職しないで生きるには」シリーズと、ブックディレクター・幅允孝

オススメの本「就職しないで生きるには」シリーズを紹介する

2005年から読んだ本を記録し始めて、今まで続けてきた。
きっと生涯この習慣は続くだろう。

1300冊の読書歴から、本当にオススメする本を紹介する。

今回は、そのシリーズ第5弾「就職しないで生きるには」シリーズだ。



就職しないで生きるには / レイモンド・マンゴー

嘘にまみれて生きるのはイヤだ。納得できる仕事がしたい。自分の生きるリズムにあわせて働き、本当に必要なものを売って暮らす。天然石鹸をつくる。小さな本屋を開く。その気になれば、シャケ缶だってつくれる。頭とからだは自力で生きぬくために使うのだ。失敗してもへこたれるな。ゼロからはじめる知恵を満載した若者必携のテキスト。

 

第1弾は本当にオススメする「写真家が書いた本」

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第2弾は本当にオススメする「エッセイ」

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「就職しないで生きるには」シリーズとは?

1979年にレイモンド・マンゴーが書いた「就職しないで生きるには」という伝説的な本があります。

「就職しないで」というのは、「働かないで」という意味ではなく、「楽しいことをしつつ、心の奥底で自由に生きていける」ことを叶えるために、自力で生きるライフスタイルのことです。

「訳者あとがき」で中山容さんがこの本を「生計をたてつつ、同時に自由で、たのしめるしごと〈根源的利益〉をどうやってつくりだし、どうやって守りぬくか」がこの本のねらいであるとまとめてあります。

やりたくないことを我慢しながら生きていくのはつまらない
そんな人たちに、ちょっと広い視点を持つことの幸福を伝えてくれる一冊です。

僕はその本の存在を知ったのは、2008年に放送された情熱大陸でブックディレクターの幅允孝さんが紹介していたことがきっかけでした。

情熱大陸で幅さんは本屋の平積みで型にとらわれない本の置き方を提案していたり、銀行のロビーやデパート等の「ないはずの場所」に本棚を作り選書しているとこをが紹介されていました。

当時から本を読むことが好きだった僕は、「ブックディレクター」という仕事があることに驚いたし、もう少し調べてみたら日本で唯一人のブックディレクターを名乗っているという幅さんに夢を感じたものでした。

その幅さんがオススメする本として選んだのが、「就職しないで生きるには」でした。

そして、その本から1980年代に“自由な仕事で生計を建てる職業人たち”のシリーズ本が出版されたことを知ったし、2014年に21世紀版の就職しないで生きるにはシリーズが出版されると聞いて喜んで読んだのです。

今回はその21世紀版シリーズについて紹介します。

就職しないで生きるには21シリーズの厳選5冊を紹介

1.
荒野の古本屋/森岡督行


荒野の古本屋 (就職しないで生きるには21)

東京・茅場町の古びたビルの一室にある、写真集と美術書が専門の古本屋、森岡書店。
その主が、モラトリアムを経て神保町で修業し、独立して店を軌道に乗せるまでを綴った。

茅場町で古本屋を開き、今は銀座で週に1冊だけ同じ本を売るという面白い売り方をしている森岡書店を経営している森岡督行さん。

その森岡さんが、神保町の古本屋で修行し、自分の店を開業し、軌道に載せるまでの行動や思考が描かれている。

特にプラハとパリに買い付けに行った場面は、不安と緊張と安堵が伝わってきて、読み応えがある。

ひょんなことから古書店にギャラリーを開くことになり、そこから写真家の平野太呂と繋がり、POOLという傑作を展示することになる。

好きなことを仕事にする。
古本屋を開業し運営していく様子に、きっと勇気をもらえる人も多いはず。

【あとがき】
古本屋であり作家の出久根達郎さんが、これからの古書店の展望を称して「古本は二十一世紀の旗手である」というスローガンを掲げていました。そのときは絵空事のように感じたのですが、もしかしたらいま、現実のことになりつつあるのかもしれません。本屋は本を販売するだけではなく、人と人をつなぐ場としての役目を果たすようになったからです。
そして、そこから読書の喜びが再生されもします。私が本屋をやる理由もこのあたりにあると思います。いまの仕事をできるだけ長く続けてゆきたいです。

2.
不器用なカレー食堂/鈴木 克明,有紀


不器用なカレー食堂 (就職しないで生きるには21)

東京・桜新町にある、不思議な存在感を放つ古い一軒家。〈インドカレー食堂 砂の岬〉
昼夜を問わず、いつもたくさんの人で賑わっている。いま話題のカレー店は、どのように誕生し、運営しているのか?カレーづくりを学ぶため、インド各地の食堂や家庭を巡ったころ。移動販売の日々と開業資金を確保するための計画。時間と手間を惜しまず自分たちの手で内装工事を行った店内。営業は週4日? 1年に3カ月はインドへ。
自らのスタイルを貫きながら、理想の味と心に残るサービスを追求する、インドとカレーに魅せられた夫婦のものがたり。

若い男女が出会い、南インドカレーに魅せられ、二人だけでお店をつくる。
自分の好きなことを好きなだけやることの楽しさと苦労が描かれている。

夫になる克明さんの視点を中心に話が進んでいくのだが、妻となる有紀さん視点の話が時々差し込まれ、そんな風に見ていたんだとグっときます。

お店のことを相談しあううちに、わたしたちは自然と付き合うようになった。
彼のいっけん器用に見えて、ちょっと不器用なその純粋な心に、わたしは惹かれていった。

カレー好きな人はよく、「南インドカレーが世界一うまい」と言う。

読んだ後は砂の岬に思いを馳せながらカレーを食べたくなること間違いなし。

旅をすることも、生きることも、人にはさまざまなスタイルがあるだろう。その土地や、その場に合わせた旅や生活をすることが大事だ。
山では貴重なものが、町では貴重ではないかもしれない。インドでは貴重なものが、日本では貴重ではないかもしれない。

3.
あしたから出版社/島田潤一郎


あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)

「夏葉社」設立から5年。
一冊一冊こだわりぬいた本づくりで多くの読書人に支持されるひとり出版社は、どのように生まれ、歩んできたのか。アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指した20代。挫折し、失恋し、ヨーロッパとアフリカを旅した設立前の日々。編集未経験からの単身起業、ドタバタの本の編集と営業活動、忘れがたい人たちとの出会い…。これまでのエピソードと発見を、心地よい筆致でユーモラスに綴る。

島田潤一郎さんが一人で立ち上げた出版社「夏葉社

大切だった従兄弟を亡くし、無心になって本を読んでいた時に出会った詩。
たった一人にこの本を届けたいと立ち上げた出版社で、埋もれていた名著を復刊させた。

応援してくれる人に出会い、だんだんそれが拡っていって、がむしゃらに進んでいたら生きる方法が少しずつ見つかる。
創作とか表現とかをしている人は、なんとなく身に覚えがあるかと思います。

自分の好きなものに一途なことと、人から応援されることの大切さを感じられる一冊。

具体的なひとりの読者のために、本を作っていきたいと考えています。

4.
偶然の装丁家/矢萩多聞


偶然の装丁家 (就職しないで生きるには)

学校や先生になじめず中学1年で不登校、14歳からインドで暮らし、専門的なデザインの勉強もしていない。ただ絵を描くことが好きだった少年はどのように本づくりの道にたどり着いたのか?
個性的でなければとか、資格を持たなければとかといったような社会の風潮の中、どうしたら自らがのびのびと生きる道を探すことができるのか。
居心地のよい「生き方」「働き方」を模索した一冊。

著者の矢萩多聞氏は、時代を走る装丁家のひとりだ。

イラストを描き、デザインし、本も書く。
だが、「デザインも絵もすべて独学で、そもそも学校と名のつくものにろくに行ってない」と言う。

矢萩さんは小学生の頃から先生に疑問をもち、不登校となった。
中学1年で学校を辞め、家族と相談をして一家でインドで暮らすようになる。

絵を描くことが大好きだった氏は、日本で個展を開いて絵を売り、得たお金でまたインドに行く、という生活を繰り返した。
20歳の時に本を出版したのをきっかけに、本のデザインもするようになった。
そうして、流れに乗るように装丁家になった。

学校の先生とはうまくいかなかったが、恩師と出会い、学びを知り、「すべての勉強は自分が今生きている世界と地続き」で、「自分から学びをはじめなければ、何もおもしろいことは見つからない」と気づく。

親になった僕からの視点で考えると、よく一家でインドへ行くと決意したものだ。
自分の子どもが同じように悩んだときに、なんと言ってやれるだろう。

才能なんてものは存在せず、あるとしたら人の出会いと運だけ

5.
小さくて強い農業をつくる/久松 達央


小さくて強い農業をつくる (就職しないで生きるには21)

エコに目覚めて一流企業を飛び出した「センスもガッツもない農家」が、悪戦苦闘のすえにつかんだ「小さくて強い農業」。
自由に生きていくために必要なのは、経営のロジックとITのノウハウと、何があっても理想をあきらめない心。
あたらしい有機農業の旗手として、いま全国から注目を集める「久松農園」代表の著者が贈る、21世紀型農家の生き方指南。

有機野菜を多品目つくり、お客さんへ直接販売している久松農園を経営している久松さん。

今までの農家が「長年のカン」でやっていたことを、言葉と論理で農園業務の機能を言語化、数値化し、効率的な農業を行った。
スタッフはITを活用しデータを仕入れることで、各自が自分の頭で考えられるようになり、高効率な作業が実現。小さい農園の強みとしてしている。

ただ、久松さんが優れている点は合理性を重視するものの「別次元のこだわり」は必要で、「全部を自分たちでやりたい」というこだわりは、たとえ非効率でも実現するという明確な指針がある。

情報を活用しながら自分の頭で考え、自分で決めた指針をぶらさずに行うことの重要性を感じさせてくれる一冊。

「君のようにやりたいことがはっきりしているというのは、とてもいいことだと思う。それは大事にしていい。だけどね、大きな組織の中で自分のやりたいことを実現するためには、久松くんのファンを増やしていかなきゃいけないね。そう思って頑張ってみたらどうだ」

就職しないで生きるには21シリーズの共通点

どの本も、著者がどのような思考で、どのような行動を起こしたのかが書かれていて面白い。

全ての本に共通して言えることは「出会い」があり、だれかに応援され、今の活動があるということ。

時間をかけながらも信念をもって進んでいくこと。
そこでの出会いを見逃さずにいること。
全ての本はそんな共通点があったように思う。

僕も写真展や文章を通して表現活動を続けているが、辞めずに続けていると稀にご褒美のような瞬間が訪れることがあって、そのチャンスを見逃さないことが大切なように感じている。

とても面白いシリーズなので、ぜひ興味のあるものから読んでみてください。

<その他の就職しないで生きるには21シリーズ>

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