これまで読んできた1300冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「ルポタージュ」12選

僕が読んだ1200冊からオススメのルポタージュ本を紹介する

2005年から読んだ本を記録し始めて、今まで続けてきた。
きっと生涯この習慣は続くだろう。
1300冊を超えた今、本当にオススメする本をジャンルごとに紹介していこうと思う。

「僕が選んだ本」という視点を盛り込みたいので、僕ならではのジャンルのオススメ本を紹介する。

今回は、そのシリーズ第5弾「ルポタージュ」だ。

 

第1弾は本当にオススメする「写真家が書いた本」

これまで読んできた1300冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「写真家が書いた本」

第2弾は本当にオススメする「エッセイ」

これまで読んできた1300冊を全て記録している僕が、本当にオススメするエッセイ

第3弾は本当にオススメする「サッカーにまつわる本」

これまで読んできた1300冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「サッカーにまつわる本5冊」

第4弾は本当にオススメする「旅の本、紀行文」

心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文20冊」

第6弾は本当にオススメする「日本の現代小説」

これまで読んできた1300冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「日本の小説」25選

私のオススメ記事一覧
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人の話を聞き、多角的に調べて書いた本を読んでほしい

今回もまたニッチなジャンルである「ルポタージュ」のオススメ本を紹介する。

【ルポタージュとは?】
・取材記者、ジャーナリスト等が、自ら現地に赴いて取材した内容を放送・新聞・雑誌などの各種メディアでニュースとして報告すること。
・現地報告。事件や社会問題などを題材に、綿密な取材を通して事実を客観的に叙述する文学の一ジャンル。報告文学や記録文学とも呼ばれる。

つまり、自分のことではなく、他者のことを書いた本となる。

ルポタージュと一括にしても様々な種類があって、人を取材したものや、文化を取材したものや、痛ましい事件を取材したものもある。

それらはやはり徹底的に調べ上げて書かれており、ふいに全てが繋がった瞬間が訪れたりして面白い。

普段読み慣れていないジャンルという人も、興味をもって読んでみてほしい。

本当にオススメするルポタージュ12作品

1.
宇宙飛行士選抜試験/大鐘 良一・小原 健右


ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)

現在・JAXA所属の宇宙飛行士である油井亀美也、大西卓哉、金井宣茂が受験した2008年の宇宙飛行士選抜試験を密着した一冊。

リアル宇宙兄弟といっていいだろう。宇宙兄弟の試験で登場した閉鎖空間の試験なんかも出てきて、宇宙兄弟がこれらを参考にしたことが伺える。NHKで映像化もされた。

リーダーシップとフォロワーシップの考え方が秀逸だった。
リーダーシップを強くもっているから採用されるわけでもなく、フォロワーシップを強くもっているから採用されるわけでもない。
状況に応じて、自分が必要とされているポジションがなにかを見極め、力を発揮することが大切で、宇宙兄弟のムッタはやはりその辺りのバランスに優れているよなあと納得。

最終試験まで残った応募者たちが、いつ訪れるかわからないチャンスを目の前にし、宇宙飛行士になるための試験を受ける。
受験者の半生とともに試験はどんどん進み、試験者の採用基準が明かされていく。

自分も頑張ろうと思える一冊。

2.
凍/沢木耕太郎


凍 (新潮文庫)

沢木耕太郎さんといえば「深夜特急」のイメージが強いだろうが、圧倒的なルポタージュ作品を生み出す作家でもある。

世界的クライマーである山野井泰史と、その妻で世界的クライマーである妙子が、ネパールとチベット国境にそびえるギャチュンカン北壁に挑んだ数日間を描いたノンフィクション。

まるで自分が体験したのではないかと思わせるほど、沢木耕太郎さんの文章は巧みで、緊迫感があり、引き込まれる。
山野井夫婦が直面した圧倒的な体験を、ここまで文章化されたものは芸術的であり、最高のルポタージュと言っても過言ではないだろう。

その壮絶すぎる体験を、ぜひ共有してほしい一冊。

3.
ノモレ/国分拓


ノモレ

2019年に読んだ本の中で「本当に面白い本第1位」に選んだ一冊。
つまり、文句なしに最高に面白い。

【2019年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

イゾラドと呼ばれるアマゾンの奥地に住む先住民と、文明世界に住む人たちとの緊張感をもった関係性が描かれた一冊。

アマゾンの奥地から、ほとんど裸姿の家族が突然文明化された人たちの前に現れた。
その数は日を追うごとにどんどんと膨れていき、ついには集落を襲撃し、殺人事件まで起きてしまった。

そんな世界が2020年になろうとしている今も存在するのだ。

まさに圧倒的な本。
なんなんだ、この世界は。

この本から、私たちが当たり前のように過ごしている常識や文化がいかに限定的なものなのかを感じるだろうし、幸福とは?暮らしとは?と、問いを与えられたような気がする。

世界の成り立ちが描かれた一冊。
絶対的なオススメ本。

あなたたちのような街の人間は明日の予定をよく聞いてくる。しかし、私は今のことしか約束できない。未来について約束せよというのなら、百年後の約束ならできる。あならにはできるのか。私は、今とずっと後のことだけを考えている。

ちなみに、同じ著者で「ヤノマミ」というこれまた別のイゾラドについて書かれた本もある。
これも自信をもってオススメする。

NHKスペシャルで放送されたノモレも迫力満点だった。

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4.
本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事/高瀬毅


本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事

ブックディレクターの幅允孝さんについて書かれた一冊。

以前に幅允孝さんについて記事を書いた。

心からオススメできる面白い本「就職しないで生きるには」シリーズと、ブックディレクター・幅允孝

2008年に放送された情熱大陸で幅さんの存在を知り、本屋の平積みで型にとらわれない本の置き方を提案していたり、銀行のロビーやデパート等の「ないはずの場所」に本棚を作り選書しているとこをが紹介されていて、「ブックディレクター」という仕事に夢を感じたものだった。

本屋で本の陳列を眺めるのが楽しくなる一冊。

5.
メモワール 写真家・古屋誠一との二十年/小林紀晴


メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年

アジアン・ジャパニーズで知られる写真家・小林紀晴さんが、写真家・古屋誠一さんについて書いた一冊。

写真家・古屋誠一はオーストリアのグラーツに住み、写真家として活動をしていた。
そこでクリスティーネと出会い、結婚し、長男をもうける。だが、幸せな日常は長く続かず、クリスティーネの精神が不安定になり、入退院を繰り返すようになる。
そして、その数年後、クリスティーネは自宅のアパートから身を投げ出してしまう。古屋はクリスティーネの投身直後に地面に倒れている彼女の姿をアパートの階上から撮影した。
そして、その写真を含むクリスティーネとの日々の写真を発表した。

写真群には、健康で幸せそうなクリスティーネが、どんどん精神的に追い詰められていき、最期には亡くなってしまうのだが、その変遷が写し出されている。

写真家・小林紀晴が20年をかけて古屋誠一さんの写真について考えた一冊。

6.
プラントハンター・西畠清順 人の心に植物を植える: 地球を活け花する / NHK取材班


プラントハンター西畠清順 人の心に植物を植える

プラントハンター・西畠清順が好きだ。
かっこいい男性を5人挙げてくださいと言われたら、間違いなく入ってくる。

彼の著書は全て読んだし、彼がプロデュースした代々木VILLAGEには何回か行ったことがある。
いとうせいこう・ユースケ・サンタマリアが司会のオトナの!で動物界のレジェンド・ムツゴロウさんと共演していたが、最高だった。

彼のように自分の言葉で話せる人になりたい。

植物を見に行きたいと思う一冊。

コーアン・コー氏はもうすでにあらゆるものを手に入れてるんだよ。豪邸もあるし、自家用機も何十台というスーパーカーも、ハーレーダビッドソンも自分専用のガソリンスタンドも持っている。ほしいものを全部手に入れたとき、最後にほしくなったのが植物だったのだ。
学者と同様以上の知識、どんな険しい道でも登っていくアスリートのような体力、冒険家や探検家が持っている燃えるような好奇心、時代にリンクした花を見抜く感覚、これをすべて持っている人こそ、優秀なプラントハンターだと思っています。

7.
43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層/石井光太


43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層

川崎市の多摩川河川敷で13歳の少年の全裸遺体が発見された。

数年前に起こったこのショッキングなニュースを、関係する様々な人に聞いてまわったルポタージュ。
東日本大震災での事実を綴った「遺体」などで知られるノンフィクションの名手・石井光太さんの圧倒的な実力を感じられる一冊。

それにしても石井光太さんの著書はいつも衝撃的だ。

8.
オシムの言葉/木村元彦


オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)

タイトルだけ見るとオシムさんの名言集みたいな本かと思うのだけど、読んでみるとこれが極上のノンフィクションルポタージュだった。

七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの宗教、三つの言語、二つの文字、一つの国と表現されたユーゴスラビア。

今は分裂してクロアチアやセルビアやスロベニアなんかの国に別れているが、これだけの国が一つにまとめられたら内紛が起こるよなと。
日本という小さな島国にいるだけでは想像もできないような世界の紛争とサッカーを結びつけたこの作品は、一読の価値がある。

そして、日本代表監督もされたオシムさんへの尊敬の念を一層深めるだろう。
オシムさんの日本代表チームをワールドカップで見たかった。

ちなみに作者の木村元彦さんを恵比寿で見かけ、声をかけた。
快く握手をして頂き、名刺まで頂いた。素敵な方でした。

けれど、この爽快感は何だ。
目的が明確ならどこまででも、いつまででも自分は走れる、労は厭わない。
サッカーは美しく、こんなにも楽しいものだったのか。
15歳から18歳の思春期が最も重要な時期だ。朝と晩で性格が変わってしまうようなこのデリケートな時期に、すぐに怒鳴り散らすような短期な監督は向いていない。トップに上がる前の世代には、ミスを犯す権利を認めてやることも重要だ。。

9.
キャパの十字架/沢木耕太郎


キャパの十字架 (文春文庫)

先ほど「凍」でも沢木耕太郎さんの作品を挙げたが、これも挙げておきたい。

ロバート・キャパという写真家の名前を聞いたことがある人もいるだろう。
世界で最も有名な写真家の1人と言っても過言ではない。

1936年スペイン内戦で撮影した「崩れ落ちる兵士」というまさに銃撃された瞬間を捉えた写真が有名なのだが、その写真は果たして本当に銃撃された瞬間の写真だったのかというところを丹念に追った一冊。

その写真の真偽とともに、当時のキャパの背景から背負った十字架の重さを取材とともに解き明かしていく。

ミステリーのように引き込まれていく一冊。

二人が死ぬことになるその最後の日に、二人がそれぞれに撮った写真は、私にどこか似たものを感じさせてしまう。ゲルダの「炎上するトラック」には情熱というものの不意の最期が、キャパの「遠ざかるトラック」には情熱というものの静かな消失が映り込んでいるような気がするのだ。
とりわけ、キャパが撮った「遠ざかるトラック」は「ロバート・キャパ」という物語から退場していくに際して、あたかもそのラストシーンを自分で撮ったものであるかのようにさえ思える。
だが、セロ・ムリアーノのあの一本道を歩いていたキャパとゲルダには、まだその風景に辿りつくだろう未来は見えていなかった。

そして、その姉妹本のような一冊。


キャパへの追走 (文春文庫)

10.
ヤズティの祈り/林典子


ヤズディの祈り

ヤズディとは、イラク北西部のシンガル山付近の村々で独自の信仰を守って暮らしている民族のことである。その村々が、2014年過激派組織ISによって攻撃され、数日間に数千人が殺され、女性は性的暴行を受け、逃げた多くの人々も息絶えた。

この本は、崩壊した建物や人々が生活していた痕跡など攻撃された村々の写真から始まる。静かで現実感のない写真から始まり、生き延びた人々の証言が続き、その写真の意味がわかるようになる。

僕はこんな事件があったことなんて知らなかったし、そもそもヤズディという民族も知らなかった。
世界中でこんな事件はきっと他にもあって、僕たちは本を読むことで自分の知らなかった世界を知り、考えることができる。

本の価値を高めてくれる一冊。

ちなみに林典子さんは優れた写真家で、同じようなジャンルで「キルギスの誘拐結婚」という本もある。
キルギスの田舎部では、気に入った女性を誘拐し、家に連れ込み、家族揃って女性を監禁し、親戚を含めた女性陣が必死に説得し、そのまま結婚させるという誘拐結婚の文化が存在する。

結婚前の女性は誘拐されたとはいえ、男性の家にあがりこんだ事実がついてしまい(それは僕らの世界では考えられないけれど、とても重たい事実らしい)、そのまま結婚する人も少なくないそうだ。

世界には僕たちの世界とは全く異なる文化があって、その文化に苦しんでいる人がいる一方、その文化の通り生きることが正しいと考える人々もいる。

林典子さんはこういったシリーズの写真や文章を書いていて、注目の写真家なので是非読んでみてほしい一冊。

11.
最後の冒険家/石川直樹


最後の冒険家 (集英社文庫)

このブログでも何回も紹介してきた石川直樹さん。

ヒマラヤの8000m峰に幾つも登頂したり、当時の最年少7大陸最高峰の登頂記録、北極点から南極点までを人力踏破した地球縦断プロジェクト「Pole to Pole」への参加など、写真家というよりも冒険家の一面があるように思える。

だが、石川さんは明確にそれを否定する。

「ぼくは自分のことを冒険家だとは思っていない。ある世界のなかで未知のフロンティアを開拓してきたわけではなく、まして前人未到の地に足を踏み入れたわけでもない。他人にもてはやされるような、いわゆる“冒険行”など、ぼくは一切おこなっていない」

その石川直樹さんが「最後の冒険家」と称した人物、それが熱気球で旅をした神田道夫だった。

高度世界記録、長距離世界記録、滞空時間世界記録と、さまざまな記録を打ち立ててきた神田道夫と、石川さんは自作の熱気球による二人での太平洋横断を試み、失敗した。

そしてその数年後、神田道夫は一人で再挑戦し、姿を消すことになる。

冒険家について書かれた至極の一冊。

12.
自分を捨てる仕事術/石井朋彦


自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド-

最後はルポタージュとはちょっと異なるが、映画プロデューサーの石井朋彦さんがジブリの鈴木敏夫プロデューサーについて書いた一冊を紹介する。

先にかっこいい男性を5人挙げてくださいと言われたらプラントハンターの西畠清順を挙げると言ったが、きっと鈴木敏夫さんも入ってくる。
鈴木敏夫さんの言葉に興味があって、読める本は全て読んだし、見られる動画はたいてい見たように思う。

ちなみに、あとのかっこいい男性は沢木耕太郎さんと、藤代冥砂さんと、松本人志さんかな。
加えて福山雅治さん。

魅力的な話をする鈴木敏夫さんの本を他にも紹介する。

鈴木さんは「天空の城ラピュタ」を例にとって説明してくれました。「たとえば『夢と冒険の物語』と書かれたらどうだろう。これでは、どんな映画にお当てはまり、読んだ人の頭のなかで、ひとくくりにされてしまう。では『バズーとシーターは、天空に浮かぶ城・ラピュタへ向かった』としたらどうか。こうした固有な情景描写だけで、結果、『夢と冒険の物語』だということは伝わるんだよ」
抽象的な表現を廃し、固有の上限や言葉を積み重ねるだけで、読む人、聞く人のなかに想像をふくらませることができるということを叩き込まれました。
大切なスポンサーに対して、ぼくは大きくふたつのことをお話しします。ひとつ目は、作品のテーマや狙い、魅力を語るとき、必ず「大義名分」を盛り込むことです。
多忙な相手に長々とストーリーを説明したり、キャラクターデザインの素晴らしさを語っても、彼らの本業とは別なため、伝わりづらい。
ですから「いまこの時代に、なぜこの作品をつくる意味があるのか」という、大義を必ず言語化し、お伝えします。
「いまなぜ、この仕事をやっているのか」「いまなぜ、この企画なのか」という大きな意義が腑に落ちたとき、「やってみるか」という動機が産まれます。

ジブリをもっと見たくなる一冊。

ルポタージュは面白い

本が好きか、その対象人物が好きじゃなければ、あんまり読まないジャンルかもしれないルポタージュ。
だけど、他者のことを丹念に調べ、話を聞き、著者の視点から見た本は面白い。

ここに紹介した本は僕が1300冊を読み、記録してきた本の中でも自信を持ってオススメできるルポタージュだ。

これらの本が好きで、趣味が合うという方は、あなたのオススメのルポタージュを紹介してもらえると嬉しいです。

 

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