2020年に読んだ本からオススメする心に響いた言葉トップ14

2020年に読んだ本から心に響いた言葉を紹介する

2020年が終わり、2021年がやってきて早くも1ヶ月半が経過しました。

2018年に読んだ本から心に響いた20の言葉をまとめてみる」や「2019年に読んだ本から心に響いたオススメの言葉をまとめてみる」が好評だったので、毎年恒例のように2020年に読んだ本から印象的な言葉をまとめます。

この記事では、本のオススメ度は関係なく、心に残った言葉だけで選んびました。
順番は特に関係ありません。どこから読んでもいいし、飛ばしてもいい。
今のあなたになにかしらの影響を与えるような言葉があればと思い、紹介します。

2020年のオススメ本としては、『2020年本当に読んでよかったオススメ本ランキング11冊』を書いたので併せて読んでみてほしいです。

【2020年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

2020年にわたしの心に響いた言葉をまとめました

ノースウッズ ─生命を与える大地─/ 大竹英洋


ノースウッズ─生命を与える大地─

初めてノースウッズに足を踏み入れたとき、草木の名前一つ知らなかった。全ての情報が等価値に視界に飛び込んできて、一歩も動けなくなることさえあった。それでも毎日森へ出かけ、異なる樹皮の手触りを確かめ、風の匂いを嗅ぎ、鳥たちの歌に耳をすませ、動物の足跡を追った。森に満ちている気配を読み取ろうと、五感の神経を研ぎ澄ませた、しかし、森は気難しく気分屋でほとんど何も語ってくれなかった。

*2020年の第5位に選定した本です*

【2020年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

絵を習えば絵のことがわかってきて、今まで気づかなかったことや見えなかったことが見えてくる。
知ることで解像度が高くなっていく、というのをとても美しい言葉で表現された文章。

この本は写真集として写真で表現しているが、文章として表現した「そして、ぼくは旅に出た。: はじまりの森 ノースウッズ」は、2018年の第4位にランクインしています。


そして、ぼくは旅に出た。: はじまりの森 ノースウッズ

 

欧州 旅するフットボール/豊福晋


欧州 旅するフットボール

そうして周辺を歩いてきたからか、サッカーと街の景色が頭の中で深く結びついている。

南アフリカワールドカップについて語るとき、思い出すのはモザンピークの白い浜辺だ。ヨハネスブルグでの決勝のあと、小さなプロペラ機で飛んだ浜辺の村ピランクロの光景がイニエスタの決勝点と重なる。

個人的な世界地図の上、そのいたるところにサッカーにまつわる記憶のピンがささっていった。

いろいろな場所を旅していくと、自分だけの地図が少しずつ拡がっていくような感覚があります。ドラクエで行ったことのある場所の地図が拡がっていくような、そんな感じ。
自らのエピソードとその土地を結びつけることで、個人的な世界地図の上に自分の記憶のピンがささっていく、という感覚を表現した文章です。

 

なんで僕に聞くんだろう。/幡野広志


なんで僕に聞くんだろう。

傍若無人やワガママになるということじゃなくて、自分にとってのしあわせや好きなことがなんなのかよく考えて、好きなことをしたり、しあわせを享受できるように自分の駒を進めていくことが大切だとおもいます。
ただ、あなたにとってのしあわせは、他の誰かにとってはしあわせではないかもしれません。それくらいしあわせのかたちというのは多種多様です。結婚とか出産とか、ドラマが描くようなしあわせのかたちがあるけれど、それが日本人全員のしあわせとは限らないです。

*2020年の第2位に選定した本です*

幸せになりたい、幸せにしたい、と人は言うけれど、その幸せが他の人にとっての幸せとは限らないですよね。
結婚して専業主婦として暮らすことが幸せな人もいれば、結婚して働き続けることが幸せな人もいるし、結婚なんてしてもしなくても自分のやりたいことを追求することが幸せな人もいる。「結婚」を軸に考えただけでも様々な幸せのカタチがあるわけです。

価値観を押し付けず、自分自身の幸せを見つけることを表現した文章。

毎年話題になっている写真家・幡野広志さんが質問に答えていく本。

 

星をつなぐために / 沢木耕太郎


星をつなぐために (沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉)

私の幼い頃の最も甘美な記憶のひとつに、日曜日の夕方、縁側で弱い西日を浴びながら父親の朗読する声を聴いているという情景がある。
父親は、新聞に連載されていた子供のための冒険活劇の読物を切り抜き、毎週日曜になるとそれをまとめて読んで聞かせてくれていたのだ。私は耳を澄ますようにして聴きながら、次の展開を早く知りたくて、「それで、それで」と心のうちでつぶやいていたような気がする。この「セッションズ<訊いて、聴く>」からは、縁側に座って未知の冒険活劇に胸を躍らせていた、あの幼い頃の私の姿が二重映しになって見えてくる。
耳を澄ますようにして聴きながら、心のうちで「それで、それで」とつぶやいていた…。

誰かとの会話やふと見た光景から、様々な記憶を呼び起こすことってありますよね。

幼い頃の記憶と、今の記憶がリンクする瞬間を表現した文章。
最後に伏線を回収していて、短い文ながらもとても美しいですよね。

 

旅の効用 / ペール・アンデション


旅の効用:人はなぜ移動するのか

不機嫌という病を治すにはまず、自分の安全領域から外に飛び出すことだ。そうすれば、すべてをコントロールしなくても日々がうまく運んでいくと気づくこともある。いったん異文化の中に身を置けば、足が地に着かなくなっても「すべてうまく行くだろう」と信じることができる。旅とは、未知の音、噂、慣習と相対することだ。当初は不安になり心が混乱したとしても何とかなるものだ。旅に出れば、一つの問題にも解決法が何種類あることを知って心が落ち着くようになる。そうと分かれば、地下鉄がちょっとやそっと遅れようと、あるいは職場が再編されようと神経にさわることはない。

変化がなければ心は消耗する。だが、新たな味方をするようになれば、新たな展望が開ける。旅をすれば感覚が研ぎ澄まされ、世間や家庭内の状況に対して注意深くなる。今まで無関心だったことにも、不意に何かを感じるようになるのだ。今まで見えていなかったことが不意に見えてくるのである。

僕自身にとって、長い旅以前と長い旅以後で大きく変化したことは、寛容になったことです。
自分の想定内に収まるはずがないし、他人に大きく期待することもなくなったし、それぞれがそれぞれの正義の中で生きていることも理解できるようになった。

旅から得られることを表現した文章。

世界的に話題の旅本。
旅の出来事から感じたいくつものエッセンスが描かれている一冊。

 

若田光一 日本人のリーダーシップ~ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験II~/小原 健右,大鐘 良一


若田光一 日本人のリーダーシップ~ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験II~ (光文社新書)

光一は、強いストレスを感じたり、強い危機感を持ったりすると、自分の考えを周りよりもどんどん先走らせてしまう傾向がある。

これは頭の回転が速い人に共通する傾向かもしれません、コウイチが誰よりも先に危機感を抱いて、事態に対処しようと周りに行動を促す。でも周りは、光一が抱いている危機感をまだ共有できていないことがあります。このため光一が、なぜ自分たちに行動を促そうとしているのか、どうして光一だけがせわしなく動いているのかがわからないときがあるのです。

こんなとき、周囲からすると光一がただ焦っているようにしか見えません。光一が何を考えて行動しているかが、本人以外はわからない状況になってしまうのです。そして、その状況のまま事態が進むと、光一としては先を見越して一生懸命に対処しているつもりでも、結果としては空回りになっていることもある。

命に関わるような状況でチームが同じ目標に向かって動かなければならない中、まずはメンバーどうしで危機感を共有することが何よりも重要である。そのためリーダーは、時には仲間の思考のペースに合わせ、全員が同じレベルで状況を把握できるよう的確に説明しなければならない。直面している事態の深刻さを理解し、危機感を自ら実感して初めて、メンバーは自発的に行動できるようになるからである。

おこがましい言い方をすれば、この話はちょっとわかるなと思いました。
他人と危機感を共有することって意外に難しくて、焦る状況ながら丁寧な説明が必要だったりします。

アンテナを張っている人が陥りやすい思考について描かれた文章。

「リアル宇宙兄弟と話題になってNHKで放送された密着ドキュメント「宇宙飛行士選抜試験」のスタッフであり著者であるお二人が、ISSの船長となる若田光一さんを密着した本。若田さんがいかにNASAで信頼を築き、船長になっていったのかが、この本からよくわかります。

 

歴史とは靴である/磯田道史


歴史とは靴である 17歳の特別教室

歴史的にものを考えると、前より安全に世のなかが歩けます。歴史はむしろ実用品であって、靴に近いものではないか。ぼくはそんなふうに考えます。

われわれは未来を見ることは直接にはできません。しかし、たとえば後ろ向きに歩いていく。下は見えます。過去の経験で、ぼくは教壇の幅は二メートルくらい、短いところは一メートルないとわかっていますから、この辺まで来たら、そろそろ落ちるとわかる。つまり、過去を見ながら、ある程度、ここからここまでの距離で、もうそろそろ落ちるとわかります。これがじつは歴史の教訓性であり、歴史の有用性といってもいいと思います。

どうして歴史なんか学ぶ必要があるの?と聞かれたら、こんな答えをしてもいいかもしれませんね。
100年経っても人の陥る思考はそれほど変わらないのだから、知ることで対策を立てることができる。

知ることで対策を立てることができることを表現した文章。

僕が大好きな17歳の特別教室シリーズ。
他の本もオススメです。

 

哲学人生問答/ 岸見一郎


哲学人生問答 17歳の特別教室

他者からの評価を気にして人に合わせてしまうと、二つの問題が起こります。
1つは、自分で自分の人生の指針を立てることができなくなります。人によく思われたいので、自分で決めないで、言いたいことがあっても自分の考えを言わなくなるからです。
次に、しなければならないことができなくなります。自分の進路について親から言われた通りに生きる人がいても、その人の人生だけの問題ですが、言わなければならないことを言えない、しなければならないことができないと言う事は、個人の問題にとどまりません。

めちゃくちゃ説得力がある文章。きっと17歳だけでなく、大人にも響く文章かと思う。

自分の行動指針をもっていくことの必要性を説いた文章。

こちらも17歳の特別教室シリーズ。

岸見一郎|「哲学人生問答 」を読んで考えた

 

答えより問いを探して/ 高橋源一郎


答えより問いを探して 17歳の特別教室

ぼくがいい先生だと思えるのは、質問されるまで黙っている先生です。そして、質問されたら、答えではなくて質問で返す。答えを与えるのではなく、最初の質問で感じた疑問をもっと大きく成長させて、さらに大きな疑問にしてくれるような先生です。

これも納得の文章。黙っていられるって、できそうでできないことですよね。
的確な質問をすることは意外に難しく、それができる人は吸収も早いのでどんどんと成長していきますよね。

人を成長させられる方法を指南した文章。

同じく17歳の特別教室シリーズ。

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー / ブレイディみかこ


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

「そう言って笑っている息子を見ていると、彼らはもう、親のセクシャリティがどうとか家族の形がどうとかいうより、自分自身のセクシャリティについて考える年頃になっているのだと気づいた。さんざん手垢のついた言葉かもしれないが、未来は彼らの手の中にある。世の中が退行しているとか、世界はひどい方向に向かっているとか言うのは、多分彼らを見くびりすぎている。

*2020年の第1位に選定した本です*

母親から見た、子どもの成長を感じた瞬間。
子どもを子ども扱いしないことを考えさせてくれる文章。

2020年のベスト本。
詳しい書評記事も書いたので、合わせて読んでみてほしい。

きっと、この本はずっと読まれ続ける本。
あなたやあなたの周りの人の価値観を広げてくれる一冊。

ブレイディみかこ|「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 」を読んで考えた

 

南の国のカンヤダ/ 鈴木敏夫


南の国のカンヤダ

彼女には気品がある。自分の事を放り出して、他人の事を考える人には気品が備わる。ふとそう思った。

素敵な女性を表現した文章。

スタジオジブリの名プロデューサーである鈴木敏夫さんの初小説。
視点がおもしろく、言葉に説得力がある。

鈴木敏夫|「南の国のカンヤダ」を読んで考えた

 

この星の光の地図を写す / 石川直樹


この星の光の地図を写す <南極カバー>

人は生きている間にいろいろなことを忘れてしまう。あれほど鮮烈な光景も、あんなに強烈な体験も、あんなに嬉しかったことも苦しかったことも、いつしか少しずつ薄れ、あるいは断片的になっていく。
そうした自分のさまざまな経験を繋ぎ止めてくれているのが、ぼくにとっては写真である。この二年間、あちこちの美術館で設営に立ち会いながら折に触れて自分の写真を見直し、そこから引き出され、引き寄せられる記憶があって、それは過去を振り返るというよりはむしろこれからの道筋を示してくれる文字通り「光の地図」として、ぼくの前に立ち現れた。

いつも通りの切れ味。写真も素晴らしいが、文章もまた同じ。
自分が経験したどんな幸せなことも、どんな苦しかったことも、少しずつ薄れていく。ただ、そうした経験はきっと僕たちの道標となって、次の経験へと導いてくれる。

時間の経過と記憶の変容を客観的な視点で描いた文章。

石川直樹|「この星の光の地図を写す 」を読んで考えた

 

エベレストには登らない/角幡唯介


エベレストには登らない

いい人生とは何か考えた。いい人生とは結果がどうあれ、決断できた人生のことをいうのではないだろうか。
書くことには単に記録することに留まらない、もっと積極的な作用がある。それは書くことによって脳内に薄ぼんやりとしか存在していなかった思考の断片に言葉をあたえられ、体系的に捉えることができるようになるという作用だ。

力強い文章。
書くことについて書かれた文章は、きっと多くのブログを書いている人が共感できる言葉だと思う。

決断できた人生を送りたくなるような文章。

探検家・角幡唯介|「エベレストには登らない 」を読んで考えた

 

探検家とペネロペちゃん /角幡唯介


探検家とペネロペちゃん

ラッシュ時の池袋駅の人混みの中をケラケラと愛くるしい笑い声をあげて天衣無縫に走り回っていたあの一歳の冬、彼女に目に足早に歩く大人たちの脚は、映ってはいたが、その無数の脚は自分と切実に関わりがあるものとしては認識されていなかった。関わりあるものとして認識されていないため、無数の脚はただ通りすぎてゆく景色、絵図としてしか見えておらず、脚が怖いとか、脚が邪魔だとかいった切実な感情を彼女に呼び起こさない。だから時々、脚にぶつかって転んだときも、なぜ自分が転んだのかわからない様々で、ただ困惑し、茫然としていた。
すべては見えているが、自分と直接関係する物体として意味化されておらず、彼女の意識のなかでは実体的に把握されていなかった。

*2020年の第3位に選定した本です*

同じく角幡唯介さんの文章。
子どもの視点について書かれた文章で、これがあまりに的確。

きっと1歳ちょっとくらいの子どもは、世界の見え方が異なる。人の脚は本当の意味での脚ではないし、これが迫ってくるとも認識していない。景色のひとつなんだと思う。
これに気づいた角幡さんは、すごい。

幼い子どもの見え方について書かれた文章。

 

2020年に読んだ本から心に響いた14の言葉

2020年に読んだ本の中から14の言葉を選んで紹介した。

僕は本を読んでは、好きな言葉をノートにうつす作業を16年間ずっと続けている。ずっとだ。

それらの言葉は、自分の血となり肉となっていき、ノートをたまに見返しては、勇気をもらい、前に進んでいることを実感する。
きっとこのブログも、それらが血となり肉となっていったおかげで続けることができている。

2020年もたくさんの言葉をノートに綴った。
きっとこのノートが僕を救ってくれるんだろうなと思っている。

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2018年、2019年にも同じような記事を書きました。
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