【記憶が繋がるとき】誰かの旅を読んだら、いつかの自分の旅を思い出した【タビノコトバ】

人の話がキッカケとなって自分の記憶が呼び覚まされるような体験をしたことがあるだろうか?

小さな頃の家族旅行の思い出を母親から聞いたとき、既に忘れていた家族で食べた食事風景が蘇ったこと。
友人が行ってきたタイの話から、自分が一人旅をしたときの孤独とホテルのベッドの光景がふと浮かんだこと。
子供の頃の話を友人としていたら、ふと自分が抱えていたコンプレックスを思い出したこと。

誰かの物語がきっかけで、自分の物語とリンクし記憶が呼び起こされる瞬間が好きで、今回はそんな話をさせてほしい。

 
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<日々考えたことを書いた記事をまとめました>

【暮らしから得た学び】コミュニケーションや自己分析のまとめ記事


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友人が企画した旅の報告会で感じたこと

先日、友人が主催した旅の報告会に行ってきた。

その報告会では、旅をしてきた友人の旅の話もあったのだが、彼の一方的な話ではなく、参加者同士で対話をする場も設けられた。
話し手と聞き手が向かい合う対面式ではなく、全員が円になって話し合うなど場の設定も工夫されていた。

今どんな気持ちでここにいるのかから始まり、話し手の旅のストーリーから自分がイメージしたことや、それぞれの旅の記憶や生活の体験を共有し合い、その場はとても豊かな時間を過ごすことができた。

人の話を真剣に聞いていると自分も話したくなるものなのか、初めて会った人たち同士でありながら不思議と話が弾み、居心地がわるくない空間であった。

 

そこで僕は話し手である友人の話や参加者の話をいろいろな視点から聞くことができた。

例えばこんな話だ。

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バリ島の隣の島にギリという島がある。
「旅の報告会」を主催した旅人は、その島を訪ね、その島で暮らすある男性と出会った。

小さな島なので滞在中にその男性とはよく会うようになり、朝の散歩の時間に「一緒にコーヒーでも飲もうよ」と誘われた。
旅人と男性はコーヒーを飲みながら、ゆっくりと会話を交わし、豊かな時間を過ごした。

聞くところによると、島に住む男性はこの島で事業を拡大している最中らしい。
カフェ、レストラン、観光。
様々な事業を創ることで、島を離れていた友人たちを呼び戻し、従業員として雇っているらしい。

「どうして友人たちを雇っているの?」
旅人は尋ねた。

「そうすることで、仲の良い友人たちと一緒に過ごす時間を創ることができる。
カフェを作ったのは朝にこうやって誰かと語り合いながらコーヒーを飲む時間をつくることができるため。
自然が豊かなこの島で、ゆっくりとした時間を過ごし、仲の良い友人が近くにいる。これで十分だよ」

島の男性は「enough」という言葉を使った。
君はなにが必要なんだい?人生になにがあればenoughなの?

旅の始めにそんな問いをもらったような気がした。
旅人はそう語った。

僕たちはそんな旅人の物語から、自分にとってのenoughを自然と考えていた。

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誰かの旅は、いつかの私たちの旅でもある

僕は友人の話からこんな言葉を思い出した。
それはタビノコトバでいつも何度でも使っている言葉だ。

「誰かの旅は、いつかの私たちの旅でもある」

誰かの物語をきっかけに、自分の体験や思想を連想していくこと。

読む作品としてのタビノコトバには、誰かの文章を通して自分が感じた旅での気づきや葛藤や興奮や光景を感じてほしいと思っている。
それはもしかするともう既に経験した記憶なのかもしれないし、これから体験することなのかもしれないし、二度と味わうことがない憧れ続けたことなのかもしれない。

ただ、誰かの物語を通して、自分の物語を呼び覚ましてほしい。

タビノコトバにはそんな力があると思っている。

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