探検家・角幡唯介|「エベレストには登らない 」を読んだ

記憶が新しい状況の中で書評記事を書くことを続けてみる

このブログの読者から「たくさん本を読んでいるのでオススメの本を教えてほしい」と伝えられたことがある。

確かにおすすめの本を紹介したシリーズ記事はアクセス数的にもずっと人気があるのできっと需要があるんだろう。
僕は本を読むことが好きだし、ある程度読んだ本が溜まったらそれらのオススメをまとめる記事を書いてきた。

心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文20冊」

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメするエッセイ

そこで、今後はリアルタイムで読んだ本を記事にしていこうと思う。

読み終わった後の、記憶が新しい状況の中で記事を1本書くことを続けてみる。

【2019年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

【2018年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

エベレストには登らない|角幡唯介

探検家・角幡唯介さんの「エベレストには登らない」を読んだ。

エベレストには登らない|角幡唯介


エベレストには登らない

「エベレストには登らない」は、探検家・角幡唯介さんがアウトドア雑誌BEPALの月一連載を書籍化したエッセイのような本だ。

角幡唯介氏を知らない人からすると、そもそも探検家ってなに?と思う方も多いかもしれない。

角幡唯介さんの探検は、太陽が1日中登り続けている白夜の反対の太陽が1日中沈み続けている極夜の北極圏を犬とともに活動したり、チベット最奥地ツアンポー峡谷から地図に載っていない地域を探る活動をしたり、常人には考えつかないような世界を探検している。

そんな角幡唯介さんが、どうして結婚したのか、娘が生まれてどう変わったのか、自宅購入を毛嫌いしていたにも関わらず鎌倉に自宅を購入したことについて、GPSや衛星電話等を持たない探検活動についてなど、僕たちとは全く遠くにあるはずの探検と日常をリンクさせながら、おもしろおかしく短い文章で書いた本だ。

「エベレストには登らない」に書かれていた言葉を紹介する

僕は本を読んだら気になった文章をノートに書き記す習慣を、もう15年近く続けている。

15年前から私が本を読んだら必ず行っている2つの習慣

インプットの吸収率が圧倒的に上がるし、なにより目に見える形で記録されていくことが自分の自信になる。

この本から気になった文章を紹介する。

いい人生とは何か考えた。
いい人生とは結果がどうあれ、決断できた人生のことをいうのではないだろうか。

 

書くことには単に記録することに留まらない、もっと積極的な作用がある。
それは書くことによって脳内に薄ぼんやりとしか存在していなかった思考の断片に言葉をあたえられ、体系的に捉えることができるようになるという作用だ。

 

冒険は最終的に自己満足の世界なので、その行為に自分がどれだけ主体的に関われたかで手応えが変わる。

 

この本では一貫して「自分の判断で、主体的に、能動的に、決断し、行動する」ことを大切にしてきたと書かれている。

その結果が例え失敗だったとしても、もっと言うと探検活動を通して死が待っていたとしても、「自分の判断で、主体的に、能動的に、決断し、行動」したのならばそれはもう仕方がなく、決断せずにダラダラ生きるよりはよっぽどいいという思考なのだろう。

僕は常々「主体的に生きたい」と思ってきて、生きてきた。
「やりたいことのために、行動できる人になる」ことを行動指針としている。

僕にとって、とても共感できる一冊。

「エベレストには登らない」を読んで思ったこと

ところで、探検家という肩書きはなにを収入として暮らしているか想像できるだろうか?

本を書いているので本の印税はあるだろう。本屋大賞ノンフィクション賞に輝いている作家でもあるので、講演会に呼ばれることもあるだろう。
あとはやっぱりスポンサーからの広告収入。重厚なダウンジャケットの胸や腕に各社スポンサーのロゴを貼り付け、北極圏で壮大な写真を撮り、広告として掲載する。その恩恵として、極地までの渡航費や滞在費を援助してもらうようなウィンウィンの収入もあるだろう。

と、思いがちだが、角幡唯介氏はスポンサーをつけない。
一切の資金援助を受けず、探検活動を行なっているそうだ。

理由は以下の通り。

行為の充実度を高めるためには自由度を高める必要がある。そして自由度を高めるには行為中の時間と空間に対して自己が関わる領域を広く、そして深くする必要がある。この原則を貫くには、可能なかぎり、かつ全般的に、自分の行為に対して他社が介入する要素を排除するのが望ましい。したがって、スポンサーを受けない方が行為の完成度は高くなる。
…(中略)
金銭を受け取ると行為の性格が決定的に変質するような気がするので、それだけは絶対に受け取らないことにしているのである。
<角幡唯介氏の探検活動はすべて自分の収入によって運営されており、金銭的援助は拒否している>と書くようにしてもらいたい

僕は角幡唯介氏の活動を尊敬しているし、デビュー作から最新作まで全ての本を読んでいる。もちろん、新刊が出るのを楽しみにしている。

だけど、彼の作品を好きと言いながら、正直に言うといつも図書館で借りて読むだけで金銭的にはなんの貢献と応援もしていないので、最高傑作の極夜行を買って少しばかりの応援でもさせて頂こうと思う。

その他の角幡唯介さんの本を紹介する

極夜行/角幡唯介

極夜行

白夜という言葉を聞いたことはあるだろうか?
北極や南極などの緯度の高い地域では、夏の間は夜になっても太陽が沈まない地域があることを社会の時間で習ったことがある方も多いと思う。タイトルにもなっている極夜とはその反対に位置する言葉で、冬の間は朝になっても太陽が昇らない地域の現象である。

探検家・角幡唯介が四年の歳月をかけて太陽の昇らない冬の北極圏を探検する旅をまとめた一冊が2018年のベスト本だ。

【2018年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

この一冊には、絶望や希望や復活や未知や妄想や無力や前進や誕生や愛情が描かれていて、つまりは人生が描かれている。
死をも覚悟した状況で四ヶ月間の極夜生活の先に見た太陽の光。その光を例えた表現は本当に感動的で、僕の人生にもリンクし、娘の人生の始まりをも想像させた。

母体という始原の闇空間から生まれ出て初めて目にしたもの、それは光だった。
出生とは、安心・安全な母体空間から未知で危険な外の世界に飛び出すという絶体絶命の瞬間だ。つまり、出生とは人間がひとしく経験する人生で最大の冒険なのである。
冗談ではなく、俺の人生は終わったと思った。
私には短い人生の中で三十五歳から四十歳という期間は特別な期間だという認識があった。なぜなら、体力的にも感性も、経験によって培われた世界の広がりという意味においても、この年齢が最も力のある時期だからだ。
この時期にこそ人は人生最大の仕事ができるはずであり、その時期にできるはずの仕事を最高なものにできなければ、その人は人生最大の仕事、さらに言えば人生の意味をつかみ損ねると、そのように考えていた。

ぜひ、読んでみてほしい。

この本の評価
面白さ
(4.0)
吸収できた言葉
(4.5)
デザインの美しさ
(3.5)
総合評価
(4.0)

19 Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です