【読書感想文】岸見一郎さん著作「哲学人生問答(17歳の特別教室)」

この記事では、講談社から出版されている「岸見一郎さんの著書「哲学人生問答」の書評記事」です。「17歳の特別教室」というシリーズ本の一冊です。

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岸見一郎さん著作「哲学人生問答(17歳の特別教室)」とは?

哲学人生問答|岸見一郎


哲学人生問答 17歳の特別教室

「17歳の特別教室」 とは?
高橋源一郎、佐藤優、瀬戸内寂聴、岸見一郎、京極夏彦、磯田道史の6人の人気著者が、現役高校生を対象に、現代を生き抜くうえで必要な知恵を伝える「特別授業」をおこない、その内容をもとに書籍化したシリーズ。

17歳の特別教室シリーズの1冊目である高橋源一郎さんの「答えより問いを探して」が面白かったので、そのほかのシリーズ本を読んでみようと思ったことがきっかけで、この本を手にとった。

嫌われる勇気」の著者である岸見一郎さんが、母校である洛南高校で哲学について特別講義をした様子を書籍化した一冊。

岸見さんが生徒からの質問に対して、アドラー心理学に基づき、哲学的な答えをわかりやすく解説している。
主な内容は「人からの評価」や「人生の決断」についてで、小難しい話を17歳にもわかりやすく、その後の行動にうつせるように解説されていて、納得できる答えが多数あった。


答えより問いを探して 17歳の特別教室

ちなみにシリーズになっている本というのは、シリーズになっているだけあって面白くて、他にも「就職しないで生きるには」シリーズが面白い。

「就職しても、しないでも、人はもっと自由に生きていける」をテーマに、紆余曲折ありながら、自分で「好きなこと」をしながら仕事をしていった人たちの物語が詰まった本です。今の時代に合ったシリーズなので、参考にどうぞ。

「哲学人生問答」に書かれた岸見一郎さんの名言・名文

僕は本を読んだら気になった文章をノートに書き記す習慣を、もう15年近く続けている。

インプットの吸収率が圧倒的に上がるし、なにより目に見える形で記録されていくことが自分の自信になる。

本書から気になった文章を紹介する。

仕事をしていく上で評価は避けられませんが、その評価が正しいとは限りません。私は若い人の感性や知性の方が優れていると考えていますが、親や上司など年長者は、自分たちの常識で反対します。ところが、結果的には若い人が言っていた通りだったと言うような事はいくらでも起こります。

評価について書かれた一文。
僕たちは他者からの評価をついつい気にしてしまうが、それが正しいかなんて誰にもわからないのだから、自分の中の評価を大切にしたほうがいい。

岸見一郎さんの言葉は、2020年に読んだ本から心の響いた名言・名文を紹介した記事で挙げているので、よかったら読んでみてください。

親から褒められて育った人は、何かをしたときに褒められたいと思うようになります。勉強していい成績をとったら親は褒めてくれたでしょう。でも、良い成績を取れないと、親はこんなことではだめではないかといいます。いつも良い成績をとると親の要求水準は高くなりますから、そうなると十分良い成績を取っても親は満足しなくなります。そのような人が親が期待するような良い成績を取れず、親に喜んでもらえなくなったらどうするでしょう。親が困ることをして親に認められようとします。これは非常に屈折した承認欲求だと言わなければなりません。

ある日父親に、「私の人生だから私に決めさせて欲しい」と言ったそうです。娘がそんなことを言うなどとは思ってもいなかった父親は、彼女の言葉を聞いて怯んだそうです。彼女は父親が怯んだ隙にさらにもう一言、こう言いました。
「お父さんがいいと言う大学に進学して四年目に、こんな大学に行かなければよかったと私が思った時、お父さんは私に一生恨まれることになりますが、それでもいいでしょうか?」
「自分の人生に責任を持つ」とは、そういうことです。自分で自分の人生に責任を持とうとすると、その時は親に叱られるかもしれません。「お前のためにこれまで一体どれだけ投資してきたかわかっているのか」と言うようなことを、親は言ったりします。それでも自分の人生を生きようと私は言いたいのです。

これは本当にそうで、以前に同じような内容の記事を僕も書いた。
https://himatsubushi23.com/hibi17/

結局自分の人生は自分で判断するしかないと思っている。
誰も自分の痛みはわからないし、誰も自分の人生を変わってはくれないし、誰も責任をとってくれない。

それならば、自分の責任で、主体的に判断したほうがよっぽどいい。

人生には「今ここ」しかありません。その「今ここ」で貢献できるのであり、未来に何かを達成して初めて貢献できるわけではありません。
今日という日を、今日という日のために生きていく。これを繰り返していけば、気がつけばずいぶん遠くまできたことになるでしょう。

この本では、最初から最後まで2つのことが書かれている。

人の評価は気にするな」と、「自分の人生の責任は自分自身にある」ということ。

どちらも決して簡単なことではないけれど、それらをできると人生は少しだけ息苦しくなくなるかもしれないと思っている。

岸見一郎さん著作「哲学人生問答」の読書感想文 まとめ

哲学は難しいイメージの強いジャンルだが、17歳の質問に岸見一郎さんが答える授業はとてもわかりやすく、納得できる話が多くあった。

内容も日常に沿った内容で、よりよく生きることについて考えられるきっかけになる一冊。

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講談社
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この本の評価
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2)菅俊一・高橋秀明|行動経済学まんが ヘンテコノミクス
3)中田敦彦|中田式ウルトラ・メンタル教本
4)戸田和幸|解説者の流儀
5)石川直樹|この星の光の地図を写す
6)岸見一郎|哲学人生問答←今回の記事
7)渡邊雄太|「好き」を力にする
8)高橋源一郎|ぼくらの文章教室
9)石川直樹|まれびと
10)堀江貴文|英語の多動力
11)森博嗣|作家の収支
12)鈴木敏夫|南の国のカンヤダ
13)森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在
14)米沢敬|信じてみたい 幸せを招く世界のしるし
15)馳星周|馳星周の喰人魂
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19)服部文祥|息子と狩猟に
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23)内山崇|宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶
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26)玉樹真一郎|「ついやってしまう」体験のつくりかた
27)村本大輔|おれは無関心なあなたを傷つけたい
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29)服部文祥|サバイバル家族
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33)ブレイディみかこぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2
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