この記事では、テレビ東京の番組「「家、ついて行ってイイですか?」が、どうしてあんなに自己開示をするのか」ということを考察し、綴っています。
■日々の出来事から「考えながら生きる」をテーマに、文章を綴っています。
まとめた記事があるので、よかったら読んでみてください。
目次
好きなテレビ番組は「家、ついて行ってイイですか?」
ぼく
好きな理由は、普段語らないような話をディレクターさんが引き出しているからですね。
テレビ東京の「家ついていってイイですか?」という番組が好きで、録画してよく見ています。
どんな番組かと一応説明しておくと、「終電を迎えた深夜の駅で、道行く人に声をかけ、タクシー代を払う代わりに家についていき、家の様子とともにあなたの話を聞かせてほしいとお願いする素人が主役の番組」です。
「Youは何しに日本へ?」や「世界!ニッポン行きたい人応援団」など、テレビ東京では素人がフォーカスされる番組をよく見かけますが、その代表例と言っていい番組ですね。
素人しか出てきませんし、酔っぱらいの率が40%くらいあります。
最近のテレビは、素人が主役の番組がおもしろいですよね。
「激レアさんを連れてきた。」もおもしろいし。
「家、ついて行ってイイですか?」の魅力とは?
さて、話を番組の構成に戻すのですが、無事にオッケーを頂くとタクシーに乗って家についていくことになります。だいたいは深夜12時を回り、夜が更けているのが映像からもわかります。
多少部屋を掃除する時間はとるようだけど、いきなりカメラがついてくることになったため、部屋は丁寧な掃除もされていないことがほとんど。
おそらく出かけたときと、ほとんど変わっていない部屋なのでしょう。カメラを向けられながら、目に映る身の回りの荷物を片づけていく人も多くいます。
手持ちカメラの距離の近さが、とてもリアルな感じです。
そんな中でディレクターは家の中から気になったものを片っ端から質問していきます。
「これ、なんですか?」
机の上に無造作に置かれている紙を見ては質問し、冷蔵庫の中を空けさせてもらったり、ディスプレイされている写真について尋ねていきます。
なんの変哲もない中年の家だなあと思ってVTRを見ていると、ディレクターの質問からふいに衝撃的な言葉がでてくるときがあって、そういったシーンがこの番組の醍醐味ですね。
「去年、娘が亡くなったんですよ」
「余命、1年なんです」
その内容は本当に様々ですが、ふいにその人のもつ背景が浮かんでくる瞬間があるんですね。
この人は予めキャストされていた人なのかと疑いたくなるくらい、びっくりするようなドラマ性をもった話がぽつりと語られて、気がついたら番組に引き込まれていく。
その生々しさに、時に僕の頬に涙が流れる場合もあったりします。

参照:テレ東プラス(https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/entertainment/entry/2018/016560.html)
その日、たまたま出会った人についていったら、部屋の中にはその人の今をつくる背景があった。ぽつりぽつりと、その背景を語っていく姿を見て、ああ、人の一生はなんとドラマ性に飛んでいるんだと実感するわけですね。
ただ、この番組。
どうして、その日初めて出会ったテレビディレクターに、こんな赤裸々な自己開示をするのだろうと不思議になることがある。
想像してみてください。
あなたが初めて会った人に、去年娘が亡くなったことを話すでしょうか?
15年間マスクをとった姿を人に見せていないという状況で、カメラの前でマスクをとることなんてあるでしょうか?
子どもにDVをしていたと話せるでしょうか?
思いもよらなかったことが話されることがこの番組の魅力なのですが、ディレクターはよくこんな話を引き出せたものだなと感心しながら見ています。
自分のこととして置き換えてみてほしいのですが、まず初対面の人に自分のデリケートな部分を話すことはしないでしょう。
では、なぜ彼らは自己開示するのでしょう?
きっと、特別な環境が人を自己開示させる要因のひとつなのだろうと思うのです。
今日は、そのことについて考えたいと思います。
人は特別な環境のときに、初対面だろうが心を開くことがある。
「家、ついていってイイですか?」は、どうして自己開示するの?
深夜、テレビ番組のスタッフが、自分の家にくる。
その中で、自分の背景にまつわる質問を次々と受ける。
きっと日常を生きてると、ここまでグイグイと自分について質問を受ける機会はないでしょう。
「今まで誰かと共有したかったモヤモヤや、自分だけで閉ざしていた思いを、開放してみてもいいかもしれない」
そんな風に思うのかもしれません。
日常とは異なる環境が、自分の心を開示させる。
そう仮説します。
内なる自分を見つけさせ、目標達成を促進させることを目的の一つとする「コーチング」を仕事としている友人が、自分にとって一番自己開放する時に適している環境は、焚き火をしているときだと言っていました。
そうした非日常感に身を置くことで、それぞれの自分の内なる思いを語り合いやすいといいます。
ああ、なるほど。
その話を聞いて、旅人たちが、宿で出会った日の夜に似ているなと思いました。
バックパッカーをしていた頃に、安宿で日本人と一緒になったことがよくありました。
海外の地で久しぶりに会った日本人は「同じことを好きな仲間意識」があるのか、すぐに近い距離で仲良くなることがありました。
普段だったら話さないようなことを、いつもと異なる環境で、その日たまたま出会った人に、まるで昔からの知り合いだったかのように、内なる思いをポロっと話した経験があります。
自分の弱さだったり、コンプレックスだったり、影となる部分を開示するには勇気が必要ですが、環境さえ整えば、時間や関係性などなくても、ひょいっと飛び越えて開示できるようになることがあるんですよね。
この番組の環境は、焚き火や旅先での宿と似ているんだろうなと、思えます。
「家、ついていってイイですか?」から学んだこと
マスクを15年間とっていない。
怪我をして諦めていた夢をもう一度目指そうか迷っている
自分のしてしまった過ちを背負って生きている
吐き出す言葉は本当に様々ですが、それぞれがその日初めて出会ったディレクターに、カメラを向けられ、内なる思いを語る姿は、グイグイと引き込まれていきます。
そこには嘘偽りを感じないし、ようやく言えたというような安心感さえ感じます。
いい番組だなと、改めて思います。
大人になって、自己開示をできる場面って、どんどん減っていきますよね。
思春期の頃のように、「あの子のこと、好きなんだよ」なんて、友人に言うことなんてできませんから。
そもそも誰かと二人で会うことも少なくなってきているし、深い話を共有できるような関係性も減ってきているように思います。
だれかと深い部分で話がしたい。
この番組を見ていると、いつもそう思うんですね。
とてもいい番組です。
「家、ついて行ってイイですか?」から、そんなことを考えました。
■日々の出来事から「考えながら生きる」をテーマに、文章を綴っています。
まとめた記事があるので、よかったら読んでみてください。
(考えながら生きる/まとめ記事)