エルサレムの旧市街を歩いていると、会いたくもないのに頻繁に出会ってしまうヤツがいる。
そいつはライフル。
もちろん男でも女でもない。
改めて確認する必要もないけれど、銃のことだ。
イスラエルに入国してからというもの、毎日ライフルを間近で見る生活をしている。
あ、ライフル。
お、ライフル。
ひえっ、ライフル。
ライフルと出会ったら緑色のキノコを食べた時のように1アップできるならいいけれど、もちろんそんなわけはないから、ただのライフルとの出会い損。
できることなら出会いたくないけれど、エルサレムを旅するならば出会わないことは不可避なので、ただ目の前に現れるライフルと顔を合わせないように目を逸らす。
ここまで書いてわかるように、エルサレムはライフルが日常にある街だった。
体の大きな軍人がアゴで僕たちを指示しながら入域許可を出す片手にはライフルを抱えているし、彼らが仲間内で冗談を言い合って談笑している時も、片腕にはライフルを抱えている。
特別何か事件が起きるわけでもないけれど落ち着かない街。エルサレムは僕にとってそんな街だった。
そんな落ち着かない街・エルサレムは、ユダヤ教の嘆きの壁、キリスト教の聖墳墓教会、イスラム教の岩のドームと、世界三大宗教の聖地が混在している特別な場所だ。
街には黒い衣装に特徴的なモミアゲをしたユダヤ教徒、キリストが十字架を背負って歩いた道を辿って歩いてキリスト教徒、肌や髪の毛を露出せずにスカーフを巻いて歩いているイスラム教徒と、三つの宗教を信じている人々が混在していて、スナップ写真を一枚撮ればいろいろな宗教の信者が写真に写る。
野球好きな人にとっては阪神と巨人とソフトバンクが大阪を本拠地に活動しているみたいな状況だし、ジャニーズ好きにとってはSMAPと嵐とSEXYZONEのメンバーが同じマンションに暮らしていてそこにファンも一緒に住んでるみたいなカオス状態が、エルサレム。
そりゃ、混乱するし、喧嘩もする。
そんな特別な場所にはもちろん特別な歴史があって、現代のライフルのある生活に象徴されるように、争いの歴史が存在する。
ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺があったように、ユダヤ人には常に迫害されてきた歴史がある。そんな迫害の長い歴史の後でユダヤ人がやっと作った自分たちの国、それが現在のイスラエル。
とはいえ、現在のイスラエルがある場所には当時1000年間以上もパレスチナ人(イスラム教徒)が住んでいたのだけれど、国連の決定を後ろ盾に、パレスチナ人を一方的に追い出し、ここは自分たちの国だ!と半ば強引に建国したわけだから、そりゃシコリが残る。
シコリは軍隊を生み、イスラエル人とパレスチナ人を分断した壁を作って、街中にはライフルをぶら下げた軍人が溢れるようになった。エルサレムの土地を巡っては、今も争いが続いている。
宗玄浩が世界中の人々から夢を尋ねた旅の書籍化が決定しました。
2023年3月(予定)に、みらいパブリッシングより出版予定となっています。
・首長族の女性にどんな夢があるの?
・世界を巡って一番印象に残った夢は?
・一番切なかった夢は?
日本で暮らしているだけでは思いつきもしなかった世界中の夢を、ぜひ読んでみてください!
情報はこのブログより随時更新していきます。