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あなたのカメラは埃をかぶせていませんか?
写真を撮っていますか?
大きな一眼レフカメラを買ったものの、ほとんど写真を撮ることなく埃を被せてしまっていませんか?
実を言うと、僕にもそんな時期がありました。
毎日写真を撮り続けていた世界一周の旅から帰ってきてからというもの、あまり写真を撮りたいと思うことなく1年半ほどの期間を過ごしていました。
その間に一眼レフで撮影した写真は、100枚程度。
ハードディスクにはきれいサッパリとその期間の写真がありません。
そんな僕が再び写真活動を始め、初めての展示会を開催し、様々なコンテストに入選するようになったことには様々な背景がありました。
きっと僕と同じように毎日に追われ、やりたいことを後回しにし、モヤモヤとした日々を過ごしている人も多いのではないでしょうか。
僕が再び写真を撮りたいと思い立った長い話をさせてください。
日々の忙しさから活力や判断能力を失っていった
2012年。
1年半の世界一周の旅を終えて再び日本で働き始めた僕は、つまらないつまらないと毎日を愚痴るような、そんな生活を送っていた。
「帰国したら旅の写真展を開きたい」
「撮りためた写真を本にして出版したい」
旅をしていたときの夢や希望は、忙しすぎる日常を生きていくうちに少しずつ薄れていっていた。
誰に止められたわけでもないのに勝手に手のひらから消えていった夢は、次第に僕の体力や気力を奪い、日々の生活に追われては判断する力を失って、できない理由を並べるだけの日々を造っていった。
やりたいことと、やらなくてもいいこと。
そんな簡単なことすらわからなくなった僕は、大切だった人を傷つけたりもした。
やりたいことをやれる人?やれない理由を並べる人?
安定した仕事を辞めて26歳で長い旅に出た自分は、やりたいことをやれる人だと思っていた。
「なんとかなるでしょ」
やりたいことを躊躇なくできる人と、やれない理由を並べて停滞する人。
ひょいっと飛び越えていくような軽いステップで目の前の壁を超えていく。
自分のことを、そんな行動力をもった人間だと思っていた。
でも現実には、旅を終えて様々な世界を吸収し身軽になって帰ってきたはずの29歳の自分は、「しなければならない・こうすべき」という見えない鎖を自分自身で繋いでいた。
不思議なものだ。
やりたいことがいくつもあるにも関わらず、やれない理由を並べるだけ。
いつの間にかどっぷりと凝り固まっていた自分の思考。
忙しさは判断能力を奪い去り、本当にやりたいことと、そのためにやらなければいけないことを見えなくさせた。
筒のなかに入ったように視界は狭まり、目の前の明かりに引き寄せられるようにしか歩けなくなっていった。
旅先の沖縄で書いた「やりたい100のこと」
2013年。日本に帰国してから初めて長い旅をした。
沖縄列島を巡って辿りついた石垣島。
街を歩き回ってぶらりと入ったお店のテラス席で、1冊のノートを開いた。
涼しくなった夜風に吹かれながら、やりたいことや、なりたい自分を100個書こうとペンを持った。
その最初の1つ目。
自分に対して失望し、自信を失った時期であったからこそ、こうはなりたくないという想いで真っ先に書いた。
「やりたいことをやるために、行動できる人になる」
たったそれだけのきっかけが、好転していく石ころのように今回の写真展に繋がっていった。
振り返ると、確かにそう思う。
やりたいことをやるために行動できる人になろう、と行動した
写真や文章を発表しよう。
自分があの時やりたいと思ったことを、行動してみよう。
そう決めてから、偶然に引き寄せられるように写真家石川直樹氏のワークショップに出会い、写真のセレクトを学んだ。
東松泰子さんに出会い、プリントする技術を学んだ。
それらは写真を展示する時には必要不可欠な能力だった。
写真家・石川直樹さんのベスト・アルバムのような写真集「この星の光の地図を写す」の書評記事はこちらです。
参考にどうぞ。
きっとそれまでだったら「料金が高い」や、「行っても仕方がない」と理由をつけて行かなかったように思う。
そこで行動したことで、いくつかの知識と少しの勇気を得て、自分にもできるかもしれないと小さな写真展を開いた。
初めて写真展をしたいと思った2011年から4年の月日が経っていた。
ささやかな、でも感動的な一歩だった。
そうした積み重ねが自然と流れを作っていく。
それから、いくつかの賞を頂き、新宿のギャラリーで写真展を開催して頂けることになった。
全ての行動が繋がっていた。
やりたいことのために行動していると、まるでなにかのご褒美のようにパッと灯りを照らしてくれる道が見えてくることがある。
面白い現象だなと思う。
きっとこれからの写真活動も、「やりたいことのために活動し続けていれば」、なにかに繋がっていく。
きっとそう。
写真が導いてくれたキューバへの旅
2019年に入選したことで展示させてもらった世界旅写真展で、キューバの写真を評価してもらった。
僕はそのことがキッカケで、この夏再びキューバに行こうと決意した。
もう二度と行かないと思っていたキューバへ。
これも、写真が導いてくれた現象だ。
そうして撮影したキューバの写真は、僕を展示会へと導いてくれ、再び誰かと出会うことに繋がるように思う。
そうした繋がりを、楽しみにしている。