この記事は、世界一周で訪れたブラジルのサンパウロにある日本人街「リベルターデ」で日本を満喫し、中学の同級生と再会したことをエッセイにしています。
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ブラジルのサンパウロにある日本人街「リベルターデ」とは?
ブラジルには190万人の日系人が住んでいると言われていて、そのうちの70%がサンパウロに住んでいます。
そのサンパウロはリベルターデという世界一の規模を誇る東洋人街があり、日系人の方が多数生活しています。
世界一の規模と言われるだけあって、街には居酒屋や、日本食を多数揃えたスーパー、ラーメン屋、すき家、鳥居なんかがあり、街の風景は日本の商店街の匂いを強くて感じます。
個人的には日本で有名なロサンゼルスにある日本人街よりも、更に色濃く感じました。
先人たちが何もない状態から、遠くブラジルへと渡り、本当によくここまで街を育て上げたなと感心します。
もちろん街だけではなく、人と人が繋がるコミュニティも発達していて、各県の県人会があって交流がもたれています。
僕はブラジルに訪れたときに鹿児島県人会が提供してくれている宿に宿泊し、ちょうどカーニバルの時期だったこともあって、たくさんの日本人旅人たちと交流をもつことができました。
その鹿児島県人会がオススメする「津軽」という居酒屋には何度か行き、おいしい皿うどん、ちゃんぽん、枝豆なんかをご馳走になりました。
一年以上の期間、日本に帰国せずに旅をしていたので、この温かな雰囲気はかなり居心地がよく、癒されました。
常連の方にはビールなどを奢って頂き、サンパウロの日本人街ライフを完全に満喫したことを覚えています。
ブラジルと言えばカズこと三浦知良選手。
昔放送されていた富士フイルムのCMが、まさにブラジルに行くときの高校生のカズ少年の写真が使われていて、とてもカッコ良かったことを覚えています。
常連さんはその三浦和良選手のお知り合いのようで、カズ選手がブラジルに来たときの話や、夫人であるリサさんとの馴れ初め話など、本当かどうかはさておき、楽しい話をたくさんしていただきました。
ブラジルのサンパウロにある日本人街で、中学の同級生と再会する
そんな僕にとって、ブラジルで最もうれしかったことは、中学校の同級生Kちゃんと、サンパウロの地で再会したことでした。
ブラジルで生まれて、ブラジルで育った彼女は、小学生のときに日本語もわからないまま、僕が通っていた日本の田舎にある小学校に転学してきたんですね。
Kちゃんは、それから22歳くらいまでを日本で過ごし、現在はママになってブラジルで働いている、という情報を旅の途中で得てから、共通の友人を通じて連絡をとり、ここサンパウロで会えることになったんです。
ブラジルの首都であるブラジリアに住むKちゃんは、出張をいいことに、わざわざサンパウロまで足を運び、お店までやってきてくれたんですね。
そんなKちゃんと僕の関係ですが、実は小・中学と同じクラスになったこともなく、ほとんど話をした記憶もないんです。
1学年180人くらいの中学校だったので、もちろんKちゃんの顔と名前は一致していましたが、ほとんど話すキッカケもないまま中学を卒業し、ブラジルに帰っていたことも知らなかった。そんな関係性でした。
それでも、ブラジルを訪れるならば、会ってみたいと思い、連絡をとってみたんですね。
そして、ブラジルで中学校卒業以来の再会を果たした。
久しぶりに会った彼女は、以前よりもリラックスしているような柔和な表情で、スーツ姿に身を包み、大人の女性になっていました。
積もった共通の思い出はないけれど、共通の話はいくらでもあって、彼女の今も知りたいことが山ほどあった。
彼女がブラジルに戻り、愛する息子の幸せのために暮らしていることを知り、無性にうれしくなった。
彼女がブラジルに戻り、ブラジルという国で生活をすることに幸せを感じていることを知り、やっぱりうれしくなった。
彼女がすごく立派な仕事に就いて、バリバリと働き、日本語を使って働いていることに、うれしくなった。
そろそろ夜も更けていって、帰ろうという時間になって、彼女が言ってくれた言葉を今でも覚えています。
「私は今、本当に嬉しいんだよ。
私を知っている人がブラジルまで来てくれて、私っていう存在を覚えてくれていたことに、本当にうれしいんだよ。
連絡をもらってから、ずっと楽しみにしていたんだから」
Kちゃんとブラジルで再会できて、本当によかった。
サンパウロの日本人街で再会した同級生のことを、今も時々思い出す
今も時々、Kちゃんとサンパウロで再会したときのことを思い出す。
世界一周の旅でたくさんの国を訪れ、数々の名所を見て、かけがえのない体験をした。
その中でも、Kちゃんとの再会は僕にとって、スペシャルな体験として今も時々思い出すことがある。
どうして、あの体験が強く心に残っているのだろう。
Kちゃんが住む日本とは遠く離れたサンパウロで会う喜びと、地元のイオンモールで会う喜びは、「会う」という同じ体験だとしても、きっと全く異なる。
異国で再会することの嬉しさ、そこで見たKちゃんの晴れやかな表情、自信をもって取り組んでいる仕事の姿。
全てが、強烈な体験として、今も心に残っている。
あれから10年が経った。
時々、Facebookを開くと、彼女が愛する息子の写真が投稿されていて、その成長具合に目を細めてしまう。
彼女は今日もブラジルで愛する息子と毎日を過ごしている。
仕事で日本語を話し、息子とポルトガル語で話す。
そんな彼女を、僕は日本で想像する。
僕はあのときブラジルに行って彼女と再会したことで、そんな想像をする喜びを感じることができている。
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