【旅のエッセイ】海外ひとり旅を再開して気づいたこと

SOGEN

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この記事では、「海外ひとり旅を再開したときに気づいた旅の楽しさ」について考え、エッセイにしています。
世界一周の旅を終えてから3年間は海外へ旅をしませんでした。
それから重い腰を上げてインドのラダックへ旅をするのですが、そこでオアシスを目にしたことで、その後の感覚が大きく変わることになります。
今回はそんなことを綴っています。

 

旅のエッセイ」をカテゴリーで分類していて、旅の体験から得た自分なりの考えを物語にして書いています。

【旅のエッセイ】海外ひとり旅を再開した背景

最初に僕の旅歴について紹介します。

2010年から2011年にかけて、1年半くらいの期間で世界50ヶ国を旅していました。特に行く宛のない、放浪の旅です。
それまでずっと温めていた旅への欲求が爆発し、4年間働いた仕事を辞めて「今しかできないことをしたい」と思ったことがキッカケで、長い旅をしていました。

旅を終えて日本に帰国し、それからは社会人として再び働きはじめました。
幸運にも仕事は見つかり、行くあてのない無期限の旅をしていたのが嘘のように、再び日本で規則正しい生活を送るようになったのです。

 

インドのラダック地方へ旅に出たのは、世界一周を終えてから3年ぶりの海外ひとり旅でした。
世界一周を終えてから3年間、僕は海外へのひとり旅は行かなかったんですね。

単純に時間がなかったのもあるし、お金ももったいなく感じました。
長い旅行を終えた後は、短期で海外へ行くことを億劫に感じ、なかなか旅をしようと思えなかったのも理由の一つとしてあります。

 

“たった”1週間の旅のために、休みを使って、高いお金を払って、旅するのか・・・。

 

そう、1週間の旅では満足できないような感覚になっていたんですね。

長期旅行中は移動の連続のため、10時間の飛行機移動なんて全く苦にならなかったのですが、そのことを想像しただけで足が遠のくようになっていました。
仕事の休みを全て使って旅をするのも、日本からだと高く感じる航空券代金も、旅に出る意志を削がれる原因でした。

 

そんな感覚をもっている時に、それでも旅に出ようと思えたきっかけは、「写真」でした。

世界一周のときには行けなかった場所。だけど、ずっと気になっていた場所。
写真に撮りたい世界だとずっと思っていた場所。

そんな光景に出会い、山を登りながら、自分の感じるままに写真を撮りたい。

そう決意し、ラダックへとひとり旅に出ることを決めることにしました。
実に3年間、なにかしらと理由をつけては辞め、温めてきたことをついに行動できた瞬間でもありました。

 

<追記>
ちなみにこのときのラダックの旅写真を「写真家が撮影した10枚のラダック写真」という記事でまとめてあるので興味があれば見てみてください。

►参考: 写真家が撮影した10枚のラダック写真

写真家が撮影したラダックの写真10選

 

【旅のエッセイ】海外ひとり旅を再開して気づいたこと

ラダックってどこ?と感じる人も多くいるかと思います。

ラダックはインドの北部にある場所で、チベット仏教を思想する人が多くいる町です。

中心となる町は、標高3500メートルに位置する「レー」で、標高が高いこともあって空気が薄く、乾いています。
日中は太陽が強く照りつけ、夜になると気温がグっと下がる、そんな荒涼とした場所です。
「山の中の砂漠」と考えてもらえれば、想像しやすいかもしれません。

 

そんな日本とはかけ離れたような町を歩いていると、自分が視覚のみで異世界を捉えているわけではないということに気づかされます。
 

小便くさい路地の臭いや、常に鳴り続けているクラクションの音。
パサパサの米の味、目が痛くなるほどの強い太陽。

町を歩いているだけで、五感を通して次々と異世界にいるということを実感させられます。

そんな時に、普段は当たり前に存在することだけど、全く気づかなくなっていた感覚が、突如目を覚まします。
僕はそんな感覚が好きで、旅をしているのかもしれません。

乾燥した岩肌の大地を車で数時間走ったときのこと。

まるで月の世界であるかのように、人が住むことを選ばない圧倒的に乾いた大地が世界にはたくさんあります。

荒涼とした地を数時間走ると、ふと緑溢れる山々と川が見えてきました。
すると、急に集落がポツポツと出てきて、それぞれの家には馬や牛がいて、商店なんかも見つかりました。

人が絶対的に生きていけないような場所を走っていたはずなのに、突如として緑が出てきて、その周囲には人の暮らしがあったんですね。

オアシスでした。
オアシスは、砂漠のイメージがあるのですが、荒涼とした山にもあった。
そんな世界があることなんて、旅をするまでは知らなかった。

荒涼とした大地にある緑。
これがなんとも心に染みるんですね。

人を寄せ付けない地域から突然姿を現す自然美に、僕は目を奪われていました。
ああ、緑ってこんなにも美しかったんだと実感することができたんですね。

普段は当たり前にあるはずの緑や草花が、なんと愛しい存在なんでしょうか。
緑がなかった場所に、突然緑が現れた瞬間。そのなんともいえない安心感に一瞬にして心を奪われました。
 

日本を歩いていると、小便くさい道も、クラクションに鳴らされ続けることも、パサパサの米を食べることも、ありません。
もちろん、それでいいです。日本でそんな道を歩きたくありません。
 

だけど、世界のどこかでは、それが当たり前として存在しています。

そんな当たり前を実感として知れるのは、旅の大きな魅力だと思っています。

 

この場所だけが正解ではないし、この場所だけが世界でもありません。

「ああ、僕は旅をしているな」
そんな瞬間を、ラダックで感じることができました。
 
 

旅から離れたことで、旅の魅力をもう一度感じられた場所。
ラダックは、僕にとってそんな場所です。

 

【旅のエッセイ】まとめ

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旅のエッセイ:始まりは、いつも外の世界を知ろうとすることからだった
旅のエッセイ①:旅する本に出会った奇跡的な出会いの話
旅のエッセイ②:生まれて初めて映画館で映画を見た記憶
旅のエッセイ③:人と人が繋がる場所は世界中にあったという話
旅のエッセイ④:僕が旅に出る理由
旅のエッセイ⑤:世界一周を終えて3年間旅をしなかった理由と、3年後に旅をして感じたこと
旅のエッセイ⑥:旅について考えてみた。旅に物理的な距離は必要なのか?
旅のエッセイ⑦:「また会おう」と握手した。「元気でいてね」とハグをした。
旅のエッセイ⑧:台湾と聞いて連想する「ツボとハナと夢」
旅のエッセイ⑨:一家の命運を賭けた家族旅行の思い出について語ろう
旅のエッセイ⑩:初めて働いた職場で出会った絵描き
旅のエッセイ⑪:ネパールのチトワンからポカラへ移動しているバスで出会ったおまじないの話
旅のエッセイ⑫マサイ族の男性から教えてもらった世界の真実についての話
旅のエッセイ⑬高校を卒業し、実家を出て一人暮らしを始めた日のこと
これまで世界50カ国以上旅をしている僕が、オススメのトラベルグッズ9選を紹介する
僕が企画しているタビノコトバについて
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旅のエッセイ:始まりは、いつも外の世界を知ろうとすることからだった
旅のエッセイ①:旅する本に出会った奇跡的な出会いの話
旅のエッセイ②:生まれて初めて映画館で映画を見た記憶
旅のエッセイ③:人と人が繋がる場所は世界中にあったという話
旅のエッセイ④:僕が旅に出る理由
旅のエッセイ⑤:世界一周を終えて3年間旅をしなかった理由と、3年後に旅をして感じたこと
旅のエッセイ⑥:旅について考えてみた。旅に物理的な距離は必要なのか?
旅のエッセイ⑦:「また会おう」と握手した。「元気でいてね」とハグをした。
旅のエッセイ⑧:台湾と聞いて連想する「ツボとハナと夢」
旅のエッセイ⑨:一家の命運を賭けた家族旅行の思い出について語ろう
旅のエッセイ⑩:初めて働いた職場で出会った絵描き
旅のエッセイ⑪:ネパールのチトワンからポカラへ移動しているバスで出会ったおまじないの話
旅のエッセイ⑫マサイ族の男性から教えてもらった世界の真実についての話
旅のエッセイ⑬高校を卒業し、実家を出て一人暮らしを始めた日のこと
これまで世界50カ国以上旅をしている僕が、オススメのトラベルグッズ9選を紹介する
僕が企画しているタビノコトバについて
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<追記>
【旅と日記の相性の良さ】沢木耕太郎さんが「深夜特急」を書けたのは大量の日記があったからの記事では、ラダックへ旅立つその最初の日の日記をそのまま公開しています。

なにをメモしているのか、どんな心境で旅立つのかを克明に記録したノートをそのまま転記してあるので興味のある方は読んでみてください。

【旅のエッセイ】沢木耕太郎さんが「深夜特急」を書けたのは大量の日記があったからだった

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