この記事は、「子どもの写真の撮り方」について書かれた記事です。
連載第5回は「家族をテーマとしたオススメの写真集「もう、家に帰ろう」」について語りたいと思います。
<連載記事>
第1回: スナップ写真を撮影しよう
第2回: 撮影テクニックを紹介
第3回: 撮影機材と写真の保存方法を紹介
第4回: 構図が同じ写真を定期的に撮る
第5回: 参考になる家族をテーマとしたオススメの写真集「もう、家に帰ろう」 ←※今回の記事※
第6回: オススメの写真集「ダカフェ日記」
目次
美しい子ども写真の撮り方を解説します(写真集「もう、家に帰ろう」から撮影方法を学ぶ)
子どもを撮影するヒントとなるような写真集ってありますか?
パパ・ママ
今回の記事では、このような疑問に答えていきます。
第1回〜4回の記事でも書きましたが、どうして家族写真を美しく残すことをオススメする記事を書こうと思ったかを簡単に紹介します。
家族の形はいつだって変化していきます。
子どもが生まれ、自分ではなにもできなかった小さな子がグングンと成長していく。赤ちゃんだった子どもが幼児になって歩くようになり、幼稚園に入ったり、小学校に入学したり、思春期を迎えたり。
日々変化していく家族の記憶を記録することで、後々写真を見返したときに様々なことを語ることができるはずです。
どうすれば子どもの写真を上手に撮影できるかと考えたとき、いい家族写真ってどんな写真なんだろう?ということを考えます。
SOGEN
後々その写真を家族で見返したときに、その写真からいくつものエピソードが語られる写真こそが「いい家族写真」だと思います。
時間の経過とともに薄れていく記憶。
一枚の写真がその忘れかけていた記憶を蘇らせ、思い出を共有する。
最高の贅沢の1つですよね。
この連載では、子どもの写真を、より美しく残す方法を紹介していきます。
この記事を読んで、あなたが子どもの写真を残したいと思ってもらえれば嬉しく思います。
オススメする子ども写真の撮り方・・・写真集「もう、家に帰ろう」から学ぶ
藤代冥砂さんの写真集「もう、家に帰ろう」をご存知でしょうか?
家族をテーマとした写真集では真っ先に浮かんでくる写真集と言っても過言ではないかもしれません。
出版されたのは10年以上前になりますが、先日訪れた代官山の蔦屋書店で「家族」をテーマとした棚があり、この写真集で未だに平置きで特集されていました。
とても人気の写真集です。
第二弾である「もう、家に帰ろう〈2〉」は、息子である龍之介くんが生まれてからの写真で、妻だけだった被写体に息子が加わり、親子を表現した写真集となっています。
今回の記事では、親子関係を写した2作目について解説し、紹介したいと思います。
いい家族写真を撮影したいと思ったら、いい作品を見ることが一番の近道です。
「もう、家に帰ろう」は家族をテーマとした写真集の名作中の名作で、きっとカメラ初心者の方が見ても、なにかしらの影響を受ける作品です。
そんな家族をテーマとした写真集を紹介します。
オススメする子ども写真の撮り方…藤代冥砂さん撮影「もう、家に帰ろう2」を徹底解説
第一弾である「もう、家に帰ろう」では写真家の藤代冥砂さんが妻の田辺あゆみさんと出会い、結婚に至り、共に暮らしていく中での日々を撮影した写真集です。
藤代冥砂さんはMr.Childrenの「クロスロード」や「イノセントワールド」を担当し、週刊朝日の表紙を7年間撮影してきた方です。
また、旅と恋愛に焦点をあてたバックパックの旅を綴った「ライド・ライド・ライド」は、僕が最も好きな本の1つでもあります。
「もう、家に帰ろう〈2〉」は、藤代家が2005年の春に妊娠し、2005年11月の出産、息子が5歳になった2011年までを撮影した写真集です。
写真集の構成としては、夫の藤代冥砂さんが撮影するためほとんど写っていなく、妻のあゆみさん、息子の龍之介くん、あとはペットの犬との暮らしを撮影しています。
写真には短いテキストが添えられてあり、その言葉が非常に胸に響いてきます。
写真の状況を説明しているものもあれば、詩的なものもあって、一貫しているのが藤代さんがその写真を見ながら語っているようなテキストなことです。
下の右の写真には「あみがこの子を産んだのだ、と時々しみじみ思う」と書かれています。
読み進めていけばわかりますが、これらのテキストが写真集の魅力をグっと上げていきます。
写真として特徴的なのは、「家族の関わり」を写していることが挙げられます。
経験したことがある方ならばわかるかと思いますが、子どもを撮影しようと思ったら、ついついその美しい表情ばかりを寄って撮影したくなってしまいますよね。
だけど、この写真集ではそれをメインに撮影した写真ではなく、家族との関わりの光景を撮影しています。
子どもの美しい表情はもちろん、素晴らしい。それはそれで撮影しましょう。
だけど、それだけしか撮影しないことは、ちょっともったいない。
この写真集では、子どもの小ささや、子どもを見る大人の表情や、初めて目にした雪の光景を撮影したものをセレクトしています。
つまり、「その瞬間にしかない家族の関わり」が写し出されているということです。
それらを撮影しようと思ったら、撮影者と被写体の距離感が重要になります。わかりやすく言うと、少し引きの写真を撮っているとも言えるかもしれませんね。
一見すると無駄なものが入っていることで、写真の情報量は格段に上がり、様々なことが記録されます。
例えば、この右の写真。
メインとして写したいものは、息子の龍之介くんと犬の関わりなのは間違いないですよね。プールで寝転ぶ子どもに犬が寄ってきているのは、とても絵になります。
だけど、奥に庭の全容が写っていることで、庭の草木の長さや彩りを記録しておくことができます。ガーデニングにも凝っていることが伺えますし、きっとそれぞれの草木の成長具合から撮影した時期と照らし合わせて、様々な話が膨らみそうな情報がある。
結果としてこの藤代家は、この大きな庭のある家から引っ越しし、沖縄に移住するのですが、この大きな庭のある家で暮らした日々は二度と戻ってこない過去の光景へと変化するわけですよね。
そういった光景を写真に収めておくことに価値があり、それこそが時間の変化とともに起こる家族の変化と繋がってくるわけです。
きっと藤代家はこの写真を見返し、様々な会話が生まれるはずです。
他の写真を見ても、特別に美しい写真が掲載されているわけではありません。
インスタでアップしてもそんなにいいね!の数が増えるわけでもなさそうだし、キラキラした写真はほとんどありません。
でも、なぜか心に届く。他人の家族写真でありながら、どうしてこんなにも自分の心に届くのだろうと考えると、一つの答えが浮かんできます。
あまりに平凡で、日常的な写真たち。
赤ちゃんをぬいぐるみと遊ばせたり、赤ちゃんにサングラスをかけさせたり、動物と遊んだり、誕生日ケーキのろうそくを消したり。
笑顔のものもあれば、無表情のものも、しかめっ面なものも、必死そうなものもあります。
あまりに自然体だからこそ、きっと誰もがこんなシーンがあったなと心に響き、過去や未来の自分たちと投影する場面が浮かんでくる。
自分の記憶とリンクするような写真群です。
この写真集は藤代家の写真ですが、きっとあなたの家の写真とどこかリンクし、あなたの記憶を呼び起こすことになるはずです。
最初にも書きましたが、いい写真とは、語れる写真です。
きっとこの写真集はあなたの物語を呼び起こし、語りたくなる作品です。
あなたの家族写真の参考にしてみてください。
オススメする子ども写真の撮り方まとめ
「子ども写真の撮り方」についての連載記事、第5回目はいかがでしたか?
<連載記事>
第1回: スナップ写真を撮影しよう
第2回: 撮影テクニックを紹介
第3回: 撮影機材と写真の保存方法を紹介
第4回: 構図が同じ写真を定期的に撮る
第5回: 参考になる家族をテーマとしたオススメの写真集「もう、家に帰ろう」 ←※今回の記事※
第5回: オススメの写真集「ダカフェ日記」
今回は参考になる家族をテーマとしたオススメの写真集「もう、家に帰ろう〈2〉」についてお伝えしました。
ぜひ、この写真集を読んで、なにかしらの影響を受けてほしいと思います。
子どもの写真の質を高めたいと思ったら、いい作品を見ることが一番の近道です。
「もう、家へ帰ろう」は家族をテーマとした写真集の名作中の名作で、きっとカメラ初心者の方が見ても、なにかしらの影響を受ける作品です。
あなたがこの本を読み、なんだか家族の写真を撮ってみようかな、と感じてくれればとても嬉しく思います。
次回は2冊目の僕がオススメする家族写真をテーマにした写真集「ダカフェ日記」について解説したいと思います。
「ダカフェ日記」は「もう、家に帰ろう」とは対照的に、あまり無駄なものは構図の中に入っていません。
美しい光景ばかりが入っていて、引きよりは寄りの写真を中心に構成されています。次回は「ダカフェ日記」について語りたいと思います。
また遊びに来てください。