フォトコンテスト入選マニュアル③|応募写真のセレクト方法編

この記事では、『フォトコンテストで入賞・入選するための方法』について解説した連載記事です。
第3回目の今回は、「フォトコンテストにどんな写真をセレクトし、応募するか?」ということについて書いていきます。

今回は実例の写真を出しながら紹介していますので、より想像しやすいくなっているかと思います。

 

このブログでは、「フォトコンテストで入選・入賞するために」というシリーズを連載しています。

フォトコンテストの攻略法ってあるの?

SOGEN

SOGENです。これまで大小合わせると10以上の写真コンテストで賞を頂きました。ギャラリー主催の公募展で入選し、写真展を開催してもらったこともあります。

最初にこの記事の信憑性を確保するためにお伝えしておくと、僕はこれまで大小合わせると10以上のフォトコンテストで賞を頂きました。

そんな僕が、実際にフォトコンテストで入選するために、どんな戦略を立て、どんな写真を、どういう理由で選んでいるのかのプロセスをお伝えしていきます。

 

これまでの連載記事で、フォトコンテストで受賞するための写真の撮り方、どんなフォトコンテストに応募すればいいのか?ということをお伝えしてきました。

第3回目の今回は、「どんな写真を選び、フォトコンテストに応募するか?」ということについて、書いていきます。

 

さて、フォトコンテストに応募しようと考えたときにこんな疑問が浮かびませんか?

写真好きAさん

どうすれば、コンテストで受賞することができるの?
フォトコンテストの攻略法ってあるの?
どんな写真を選べばいいの?
どんなコンテストでもいいから入賞したい!
コンテストに入選して、展示会を開催したい!

きっと、こんな疑問をもったことがある方も多いかと思います。

この記事は、そんなあなたの疑問を解消する連載記事です。

「これから写真コンテストに応募して入選したい」
「写真はよく撮るんだけど、どんな写真をフォトコンに応募していいのかわからない」
「これまでフォトコンに応募してきたけれどなかなか受賞しない」

そんなあなたに読んでもらいたい連載記事です。

フォトコンテストで入賞する写真とは?

写真コンテストに応募し、入選するための過程を細分化すると、以下のような流れになります。

STEP.1
コンテストに入賞するためのスタートライン
STEP.2
数あるコンテストを3種類に分類。自分に合ったフォトコンテストを選ぶ。
STEP.3
③応募する写真を正しく選ぶ ←今回の記事
コンテストのニーズに合った写真はどんな写真なのかを分析し、セレクトする
STEP.4
印刷用紙やインクによって完成が大きく変化するので、印刷には写真を撮ることと同じくらいこだわる
STEP.5
⑤作品の意図を伝える
ステートメントを書いて、あなたの作品を100%理解してもらおう

前回の「どんなコンテストに応募する?」で、たくさんあるコンテストには大きく分けて3つの種類があることをお伝えしました。

① 初級者コンテスト
② ハイアマチュアコンテスト
③ 写真で発表活動をしていくためのコンテスト

あなたがどんなレベルで、どんな写真を持っていて、どんな未来を目指していているのか。
それによって選ぶコンテストは異なってきます。興味のある方は、読んでみてください。

 

さて、ここからが本題の③写真のセレクトについてのお話です。

写真のセレクトは前回の「②コンテストを選ぶ」とリンクしていて、どんなコンテストに応募するかによって変化します。

初級者コンテストでは1枚の写真(単写真)を応募する場合が多く、
ハイアマチュアコンテストでは4枚程度(組写真)を応募する場合が多く、
写真で発表活動をしていくためのコンテストでは展示をイメージして40枚程度を応募する場合が多くあります。

応募枚数が異なるんですね。それぞれを詳しく説明していきましょう。

フォトコンテストの受賞写真から考える写真セレクト実践編

コンテストには大きく分けて3つの種類があると書きました。

それぞれの特徴に合ったセレクトを説明していきます。

①初級者向けフォトコンテストに応募する写真のセレクト方法

初級者向けコンテストのセレクトでは先述したように作品1点を選ぶことについて書きます。

1点の写真なので、とにかくテーマに合った「あなたの好きな写真」を選んでください。

ただ、「好きな写真」というと「自分の身近な人が笑顔でアップでうつっている写真」や「美しい海をバックに赤く染まった夕日」等になりがちなので、避けたほうがいいように思います。



↑こんな写真は初級者向けフォトコンテストに向いていません。

 

なぜなら、笑顔でアップの写真はあまりに私的な光景のため、審査する立場の方にとっては接しにくい写真となるからです。また、夕日の写真は誰でも美しく撮れるような写真だからです。

光や色味を計算し尽くして「作品」として仕上がっているポートレイトではない限り、そのような写真はオススメしません。

 

では、どんな写真を選ぶといいのでしょうか?

あなたの好きな写真の中から、「物語を想像できるような写真」や「人と人の関わりの光景の写真」を選ぶといいでしょう。

 

初級者向けフォトコンテストに応募する写真を選ぶときに覚えておいてほしい考え方は、「撮影者」としての視点から「初めて写真を見た人」としての視点へスライドすることです。

むむむ…わかりづらい(笑)
どういうことか説明しますね。

 

あなたはその写真を撮影したので、この写真の物語の裏側まで知っています。
付き合った恋人が幸せそうに笑ったことや、旅行先で散々な歩いた末に出会った真っ赤な夕焼けなど、その写真の背景を知り、より鮮明な記憶として残っていることでしょう。

ただ、その「知っている」ということが、思い入れを強くさせすぎることがあります。

 

フォトコンテストに応募してきた写真が、「彼女と初めて出かけた思い出の地で撮った写真なんです」と言われても、審査員としては「いや、知らん!」ですよね。
あなたの思い入れのあるエピソードや物語は一回捨てて、フラットな視点で写真を見つめてみてください。

言葉で説明しなければわからない写真ではなく、写真を見ただけで物語を想像してしまうような写真を選ぶといいでしょう

初級者向けフォトコンテストでセレクトする写真

②ハイアマチュア向けフォトコンテストに応募する写真のセレクト方法

ハイアマチュア向けコンテストのセレクトでは、組写真について書きます。

組写真とは1枚ではなく2枚以上の写真(4枚とか)で表現する方法です。
雑に説明すると、「1つのテーマのもとで複数枚を使ってストーリーを想像させるような作品」が良い作品とされています。

大切なことは、単写真として魅力的な作品を4枚並べることではなく、4枚を使ってストーリーを想像させることです。

第65回ニッコールフォトコンテストカラー部門で第一位に当たるニッコール大賞を受賞した作品と、第二位に当たる推選を受賞した作品を審査員の講評とともに分析してみましょう。

フォトコンテストでセレクトした方がいい写真

この4枚の組作品が65回続いているニッコールフォトコンテストの大賞作品です。

 

写真に馴染みの薄い方は正直「ん?」と思うこともあるかもしれません。
例えば、二枚目のお見舞いに持ってきてもらっただろう花の写真。

あたかもスマホでさっと撮影したような、なんの変哲もない写真に見えます。

ニッコール大賞を受賞した作品でありながら、きっとこの写真1枚だけを①初級者向けコンテストに応募しても、おそらく受賞しないでしょう。

ここが重要なポイントです。

 

さて、それではどうしてこの写真群がニッコール大賞を受賞したのか?
タイトルとともに4枚の写真を眺めたときに、その答えのヒントが見えてきます。

 

きっとそれは「想像」だと思います。
この4枚の写真群とタイトルには、作家の視点や背景を想像したくなるようななにかがあります。

【作品講評】
ニッコール大賞を受賞した小島実さんの作品「明日天気になあれ」は、入院というネガティブな状況が、暗すぎず、かといって明るすぎることもなく表現されています。4枚の組写真から、作者の心情が見る側に伝わってきます。独特の美しい色使いで表現され、入院中の静かな時の流れを感じました。

(引用元)
https://www.nikon-image.com/activity/nikkor/contest/nikkor/65/award_02/index.html

タイトルを含めた作家の視点が見る人に伝わってくることで、作品の質をより深めます。
それらは、「こころの動きや背景を想像してしまう作品群」になっているということです。

講評にも「作者の心情が見る側に伝わってきます」と書かれていますよね。
組写真としての良い写真とは「作家の視点を想像させること」ということの代表的な作品ですね。

 

この作品群は是非大きく表示して頂きたいのですが、二枚目の縄を引っ張っている写真が抜群に強い写真です。
きっと単写真としてこの写真を応募しても、評価を受けるでしょう。

さて、そうなったときにこの伊藤さんのとった方法は「この強い写真をメインとし、その他の写真は周りを固めるような作品とした」ことです。

1つの写真を最大限引き立たせるための組み方と言ってもいいかもしれません。

【作品講評】
推選に選ばれた伊藤邦美さんの作品「追憶の坂」には、祭りの人びとの動きやその場の雰囲気がいきいきと表現されています。まさに、躍動感溢れる写真です。

(引用元)
https://www.nikon-image.com/activity/nikkor/contest/nikkor/65/award_02/index.html

実際に講評でも「祭りの人びとの動きやその場の雰囲気がいきいきと表現されています。まさに、躍動感溢れる写真です」と評されているように、ほとんど二枚目の写真について書かれている講評です。

この作品群は、二枚目の写真を活かすことを考え、その他の写真は二枚目の写真の舞台や詳細や背景を想像させることに徹しています

印象の強い写真がある場合には、こういった引き立てさせるための組み方も参考になりますね。

 

2つの作品に共通していることは、組写真の中に「一見するとなんの変哲もないような写真」を組んでいることです。それらは、この1枚だけでは決してコンテストで入選しないような写真です。

でも、考えてみてください。

あなたがフォトコンテストに応募するとして、なんの変哲もないような作品を応募することができますか?

 

きっと「コンテストに応募する」となると、どうだ!と言わんばかりの快心の作品を応募したくなることが多いでしょう。
対してこれらの作品は、少し力の抜けたような目の前の日常を撮影した作品を混ぜています。

野球で例えると、全て4番バッターで構成されたチームがうまくいかないように、快心の作品を集めた組写真はあまり評価されません。
全体のバランスを考えて構成していくことで、作品の質が深まっていきます。

 

ハイアマチュア向けフォトコンテストに受賞したいと思ったら、そんな視点をもって写真作品をセレクトしてみてください。

③写真で発表活動をしていくためのフォトコンテストに応募する写真のセレクト方法

写真で発表活動をしていくためのコンテストでは、40枚程度の写真の応募を求められることが多いので、ある程度の枚数を必要とした組写真について書きます。

基本的な考え方は先述した「②ハイアマチュア向けコンテスト」と同じですが、あなたの「視点」や「世界観」がより求められます。

 

「世界一周をしてきたので、その時に撮った絶景写真です!」というような、なんとなく集められた作品は、恐らくそれらがカレンダーになるような美しい写真だとしても、あまり受賞はできないでしょう。

なぜなら、そこにはあなただけが見ているような「視点」や、あなたが写真を通して表現したいような「世界観」が存在しにくいからです。

 

写真を見ただけで、「ああ、この人の作品だね」と感じてもらえるような作品群を作ることができると、それは世界観になります。
写真家の石川直樹さんや荒木経惟さんの写真は、ひと目見ただけでそれが彼らの写真だとわかるような特徴があります。

 

プリントの色味や構図にもこだわりましょう。

そこでは「以前にどこかで誰かの作品として見たことがあるよね」といった既視感を持たれないことが理想です。
写真群の説明書となるステートメントを書き、あなたの写真をしっかりと説明できるようにしてみてください。

そうすれば、あなたが表現したいような世界観が、あなたの写真群で表現できるはずです。

 

ちなみに手前味噌ですが、僕のキューバの写真は、「キューバの静寂」という世界観が出ているので、ぜひ展示会を開いた際には見に来てみてください。

 

►参考:SOGEN HIROSHI ポートフォリオ
►参考:宗玄浩 写真集 SEEKING QUIETNESS

フォトコンテストに応募する写真のセレクト まとめ

写真コンテストに応募する際に、どんな写真を応募すればよいかという考え方はわかりましたか?
フォトコンテストによって、選ぶ枚数も、選ぶ写真も、選び方も異なります。
そのフォトコンテストに合った写真を選び、応募してみてください。

 

どんな写真を選び、どんな写真と組み合わせ、どんな世界観をつくるのかはとても大切な作業です。

過去の受賞写真を調べ、主催者側のニーズを知ることが入賞への近道になるはずです。
ぜひ入選を目指してください。応援しています!

あなたの大切な写真をどんなコンテストに応募しようか、じっくりと考え、よりよい写真をセレクトすることを考えてみてください。

(次回に続く)

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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►参考:SOGEN HRISOHIお問い合わせフォーム

 

 

どんどん写真が好きになって、次のステップとして写真展を開催してほしいですね。
写真展の開催方法については、他の連載記事でまとめているので参考にどうぞ。

1番やさしい写真展の開き方入門【知識ゼロから写真展開催まで】

はじめての写真展入門シリーズ
はじめての写真展入門① 〜会場選択編〜
はじめての写真展入門② 〜写真のセレクト編〜
はじめての写真展入門③ 〜額装編〜
はじめての写真展入門④ 〜宣伝編〜
はじめての写真展入門⑤ 〜会場レイアウト編〜
はじめての写真展入門⑥ 〜当日持参する道具編〜
はじめての写真展入門⑦ 〜写真展開催までのスケジュールや費用編〜

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