この記事では、写真展を開催するための「額装」について解説しています。
写真を展示するには、額だけではなくハレパネや木製パネルなど様々な選択肢があります。そのメリット・デメリットを紹介していきます。(2022年1月23日更新)
「写真展の開催方法について」をシリーズ連載していて、はじめて写真展を開催したい方に向けてのノウハウを書いています。
会場選択、額装、当日持参する道具など、細かな手順を書いていますので、写真展の開催に興味のある方は読んでみてください。

目次
写真をどう飾る?写真展の額装方法4選
「はじめての写真展入門」シリーズ第3弾です。
- 第1回は会場選択・ギャラリー編
- 第2回は写真のセレクト編
- 第3回は額装編
- 第4回は宣伝編
- 第5回は会場レイアウト編
- 第6回は当日持参する道具編
- 第7回はスケジュール・費用編
写真家Aさん
額で展示するのって、やっぱりお金がけっこうかかるのかな?
他の方法で展示できないのかな?
今回の『額装編』では、このような悩みに答えます。
アイデムフォトコンテストで入選し、新宿のギャラリーで個展を開催してもらったり、世界旅写真展に入選し、グループ展を開催してもらったこともあります。
最新では2020年2月に個展(Quiet Cuba)を行い、写真集を出版して頂きました。
このような経験から、今となっては写真展開催までの準備で何が必要なのかの見通しを持つことができますが、2015年にはじめて写真展を開催した時は、まさに次のような状態でした。
どこで開催するのがいいの?
なにが必要なの?
写真はどうやってプリントするの?
なにに額装するの?
どう宣伝すればいいの?
お金はいくらかかるの?
なにもわからない状態から試行錯誤を繰り返し、様々な会場で写真展を開催してきた中で、いくつかのノウハウを得ることができました。
写真展を開きたいんだけど、なにから始めればいいのかわからない。
そんなあなたの背中を押したくて、この記事を書きます。
このブログがヒントとなって、あなたの初めての写真展の開催に繋がれば幸いです。
はじめての写真展は、どんな額装で写真を展示したい?
写真を展示しようと思ったときに迷うのが展示方法かと思います。
額に入れるのか、パネルに貼るのか、写真を直接壁に貼るのか、それ以外の方法なのか。
額ならばアクリルは入れるのか、入れないのか。
展示方法によって、写真の見え方は大きく変わります。
- 額装する
- ハレパネに貼る
- 直接壁に貼る
- それ以外
僕は誰かの写真展を見に行く際は、次の展示へのヒントにならないかと必ずどうやって展示をしているかチェックするようになりました。
それぞれの写真の展示方法にはメリット・デメリットがあり、あなたの事情によって選ぶ展示方法は変わってくるかもしれません。
今回は額装などの展示方法について語っていきたいと思います。
そして、僕が初めて写真展をした際に考えた「独自の展示方法」も合わせて紹介したいと思います。

写真展の額装方法4選を紹介
はじめての写真展は、どんな額装で写真を展示したい?
写真展での展示方法として一般的なものは
①額による展示
②ハレパネなどのスチレンボードによる展示
③壁に直接貼る展示
④木製パネルによる展示 ←(僕はこの方法で展示しました)
の、4つが挙げられます。
それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
額による展示は、やはり圧倒的にかっこいいです。写真がより洗練される印象を与えます。
展示空間や写真と、額がピタっと合った展示を見たときには、美しさとともに居心地のよさを感じます。

また、写真の周りにマットと呼ばれる白い余白があることで、写真がさらに引き立ちます。

額にも種類はいくつかあって、アルミフレームや木製フレームがあります。
値段もピンキリで、デザインもピンキリです。
当然ですが、「かっこわるい額にいれると急に栄えない展示になる」という負のスパイラルが存在します。
安っぽい額にいれた写真はやはり安っぽく見えてしまいます。
この辺はけっこうセンスが必要ですね。
あとは、お金がけっこうかかります。
安価なものだとAmazonなどのネットで注文してもいいかもしれないし、これからずっと使うと思えば1つ1万円弱くらいで買える額屋さんの額を買ってもいいかもしれません。
ただ、既製品のため、余白サイズが自由にできないというデメリットがあります。
そのデメリットを解消してくれるのが、写真画像をアップするだけで本格的な額装制作から作品販売までを手掛けてくれる『Artgene』というサービス。注目を集めています。

▶オンライン額装サービス『Artgene』について
Artgeneはネット上で額装シュミレーターを使って、額の色を選んだり、余白の大きさを選んだり、紙質を選んだりできるので、展示をしたい方や家で写真を額装して飾りたいという方は使ってみるといいかと思います。
そのまま額装されたプリント写真を買いたいと思ったら、プリント込みで料金もだいたい1万円くらいですね。
会員登録すれば、無料で額装シュミレーターを使って額の種類や大きさ、余白の大小などの額装イメージを作れる便利なサイトです。まずはシュミレーターで作品イメージを作ってみるのはオススメ!

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Artgene(アートジーン)については、額を実際に購入してプレビュー記事を書いたので、よかったら読んでください!
ちなみに僕は3回目の展示をするタイミングでA2サイズの写真が入る711×559と、A3ノビサイズの写真が入る508×406の額を購入しました。詳細を知りたければ個別でご連絡ください。
また、額はレンタルすることも可能ですので、調べてみてください。
レンタル額

◎額装展示のメリット
◎ 展示が映える。洗練された空間になる。
◎ レンタルもできるので、初めての方でも展示数によっては使いやすい。
◎ 購入した際には、次回以降も使用できる
▲額装展示のデメリット
△ 値段が高い。
△ 額にもいろいろな種類があり、センスが問われる。
ハレパネ等のスチロールに写真を貼り、展示場では直接壁に貼る展示を行う方法です。
写真が立体的になり、存在感が増すことが特徴です。
厚みも選べるので、5mm〜7mmくらいを選べば無難でしょう。
予算的にも、額に比べればはるかに安いというメリットがあります。
A2サイズで700円程度なので、お金をかけずに大量に写真を展示したいという方にはオススメです。
学生の卒業展を中心に、この方法で展示している写真展もよく見かけます。
また、写真だけでなく「キャプション」と呼ばれる写真のタイトルだったり、文章を展示するボードは、ほとんどの展示でこのハレパネが使われています。
なので、一度ハレパネで作ってみて、写真にも使えそうだったら採用するという形をとってもいいかもしれません。
デメリットとしては、写真の大きさに自分で切らなければいけないことや、空気が入らないように慎重に作業をしなければいけないことが挙げられます。
そんなに難しい作業ではないので、カッターと定規を使ってやってみるといいでしょう。
その際は、大きめのカッターマットがあると、楽に作業ができます。
展示会場の壁に貼るときは、ひっつき虫で簡単に貼ることができますが、湿気によってボードが歪んでくる関係上、作品が落ちてしまうことがあるのであまりケチらずにしっかりと貼りましょう。粘土のような素材で壁に簡単にくっつくので、めちゃくちゃ便利です。
ひっつき虫は、写真展の会場準備当日に必ず持っていったほうがいい道具ですので、準備しておいてください。
- 写真展を開こう!当日持参する道具編
また、素材が柔らかく、角がつぶれたり傷みやすいという特徴があります。ぶつけてしまったり、落としてしまうとすぐに傷んでしまいます。
よく四隅がつぶれてしまったまま展示をしているものを見かけます。
強度の両面テープに貼られているので再利用が難しく、一度展示をすると再び利用することは難しいです。その都度購入する場合がほとんどでしょう。
◎ハレパネのメリット
◎ 値段が安い。
◎ 写真に立体感がでる。
◎ 大きくも小さくもできるので、自分でアレンジがしやすい。
▲ハレパネ展示のデメリット
△ やや安っぽい印象になる。
△ 次の展示のときには使えない。
△ 余白をつくれない。
虫ピンやテープで壁に写真を直接貼る展示もたまに見かけます。
上級者がやるとなかなかかっこよくなる場合があるのですが、初心者がやるとかなり安っぽくなります。
なんででしょうか?
荒々しい写真の場合は、空間演出としてかっこよく映るかもしれません。
自信があれば、無料でできるのでコストの心配はかなり減ります。
デメリットとしては、写真に穴があいたり傷がついてしまうことです。
あとは、やはり安っぽくなってしまうという点がマイナスですね。
◎写真を壁に直接貼る展示のメリット
◎ 費用を抑えられる
◎ 荒々しい展示には向いている。
▲写真を壁に直接貼る展示のデメリット
△ 写真に穴があいたり傷ついてしまう。
△ 多くの場合、展示が安っぽくなってしまう。
これは番外編だと思って頂きたいのですが、実は僕の初めての写真展は、この方法で展示をしました。
どうやって展示しようかと考えた際に、自分なりに最もよい方法を考えた結果が、こちらの方法です。あまりこの方法で展示している人はいないかと思いますが、かっこよく展示ができます。
木製パネルとマットを買い、自作の額を作成するという方法です。
クレサンジャパン シナベニヤパネル F8 455×380mm
木材は世界堂で3種類の大きさの異なる木製パネルを購入。
マットはマルニ額縁画材店というサイトで自分の好みの大きさにマットをオーダーできるサービスがあるので、木材パネルにあった大きさの外枠に、写真に合った内枠を注文。
2つを合わせると木材の立体感に、マットの余白というとてもバランスのよい額ができあがりました。

まず、木製パネルについて。
名前の通り、木材なので木でできています。
僕はA3ノビ、A4、2Lと3種類の大きさの写真を展示しようと考えていたので、木材パネルも3種類購入しました。
白い余白を作りたかったので、それぞれ写真サイズよりも一回り大きなサイズのパネルを選び、マットを上から重ねることにしました。
A3ノビには写真全紙、A4には写真半切、2Lには写真四切の木材パネルをそれぞれ購入。


そうして届いたのが、こちら。


木材パネルは展示会場が真っ白の大きな空間だったので、それに合うように真っ白に塗装することにしました。
塗装にはターナー色彩 ミルクペイントという商品を購入し、木材の外側を2度塗りました。
この商品はかなり優れていて、簡単にかっこよく仕上がります。




料金は額に比べればはるかに安いですが、ハレパネに比べれば高い。
労力はかかりますが、制作工程はなかなかおもしろいです。


木材パネルにA4の写真を貼った様子です。
この上に白いマットを貼って、余白を作ります。
マットはマルニ額縁画材店で購入。
木材パネルと写真に合ったマットをオーダーメイドで購入できます。
マットのサイズを入力し、窓と呼ばれる空いているスペースのサイズを入力すれば完成です。
僕の場合、マットの外寸サイズは写真全紙と同じなので縦420×横530、窓はA3ノビに白フチをつけたサイズで印刷しているので縦290×横434となりました。


こういうことを自分で考えて、作成していく過程は非常に面白かったですね。
1つ1つ、個展に向けて進んでいくのが実感できました。


最後に、マットと木材は両面テープで固定します。
マットの裏側は両面テープを外すことでボロボロになりますが、裏側なのでこれは仕方ないと割り切りました。
僕は3回の展示で同じものを使っていますが、そろそろマットも汚れてきたので寿命かもしません。


デメリットとしては、木材がかさばって保管場所がとられることですね。
あとは、料金がまあまあかかります。
ただ、今後もこの木材を使用して展示をすることができるので、2度3度と展示をする場合はコスト面でもお得な気がしています。
自宅でも飾っておけますし。




展示をしてみた結果としては、額を含めて写真が空間ととてもよく合っているとお褒めの言葉を頂きました。自分としても白い空間に、白いパネルに白いマットでスッキリした印象の展示になったかと思っています。
◎木製パネル展示のメリット
◎ 完成度が高く、展示空間がとてもかっこよくなる。
◎ 色や大きさはアレンジできるので、自分の展示に合ったものが作れる。
◎ これから何回も展示していきたい方には、再利用できるのでオススメ。
▲木製パネル展示のデメリット
△ 料金はそこそこかかる。
△ 時間と労力がかかる。
△ 展示終了後の置き場所がけっこう取られる。
写真展でオススメの額装方法 まとめ
4つの展示方法のメリット・デメリットを含めて紹介していきました。
はじめての写真展ならば、ハレパネが料金的にも手軽かもしれません。
ただ、展示場所にあまりお金がかからない場合や、ちょっと背伸びをして洗練された展示を目指したいという方には木材パネルによる展示をオススメしたいです。
私は3度木材パネルによる展示を行いましたが、白い壁に白い額は、展示会場でとても映えました。
もしくは思い切って額装をするのもありですね。額装した写真はご自宅でも飾ることができるので、オススメですよ!
▶オンライン額装サービス『Artgene』について
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Artgeneで写真を販売する方法について書いた記事です。
⇒ アート写真を個人で販売|Artgene-アートジーン-でアマチュア写真家も副業が可能!


Artgeneで僕自身が額装写真を購入した時のレポートです。
⇒『Artgene|空間を彩るオシャレな額装写真の購入レポート【アートジーン】』
写真展の開催を考えていたり、写真を販売したいと考えている方は、ぜひ合わせて読んでみてください!
写真をもっと楽しむための関連情報
<はじめて写真展を開きたい!という方に>
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写真展ではなくて、フォトコンテストに挑戦してみたい!という方は、コチラをお読みください!


【写真集を出版することになりました!】
キューバを撮影した写真集「SEEKING QUIETNESS」を出版することになりました
はじめまして。山田と申します。何かの為に写真を額装或いはパネルにしたく色々と考えておりました所、SOGENさんの記事に巡りあいました!特に木製パネル+マット紙+水性塗料には…「これこそ探していたイメージ」です!早速試作品を作ろうと、木製パネル写真全紙にA3ノビの組合せを真似させて頂こうと考えました。唯1つ疑問が起きました?★A3ノビは一般的に 329×483㎜と云われているそうですが、マットをこれより若干小さくカットしてもマットの余白があまり無いようで、バランスがどうなのかな?と…☆A3サイズは 297×420mmと云われているのでこれなら余白がある様に思われますが、この辺りどの様に対処したらよろしいでしょうか?お忙しいところ突然の質問コメントをお許しください!よろしくお願い致します。
山田さん、はじめまして!
仰る通り、バランスはとても重要ですよね。余白の大きさは好みもなく、なにが正解ということはありません。「小さな写真を大きな額に入れて余白がめちゃくちゃある」みたいな展示もありますしね。なので、山田さんがどんな風に飾りたいかによります。
質問に対する回答は、「何を最優先するか」でけっこう変わってきます。例えば写真のプリント用紙を大きくしたい!という希望があるならば
①写真プリントをA3ノビにする→②それなら木製パネルのサイズを大きいものにする→③マットのサイズを木製パネルに合わせる
という考え方になるので、木製パネルのサイズを大きくするか、マットの余白が少なくても仕方ないやと思うか…といった感じになるのかと。
質問から山田さんはプリントサイズはA3でも構わないという意向がありそうなので、木製パネルのサイズをそのままにするならば、バランスを見てプリントサイズを選べばいいかと思います!
木製パネルのサイズから決めるのか、プリント用紙から決めるのか、何を優先するかを決めればいいですね!