フォトコンテスト入選マニュアル⑤-応募作品の意図を伝えるステートメント-

この記事では、『フォトコンテストで入賞・入選するための方法』を解説した連載記事です。
第5回目の今回は「応募作品の意図を伝えるステートメント」について書いていきます。

 

このブログでは、「フォトコンテストで入選・入賞するために」というシリーズを連載しています。

フォトコンテスト入賞マニュアル【ステートメントで作品の意図を伝える】

SOGEN

SOGENです。これまで大小合わせると10以上の写真コンテストで賞を頂きました。ギャラリー主催の公募展で入選し、写真展を開催してもらったこともあります。

最初にこの記事の信憑性を確保するためにお伝えしておくと、僕はこれまで大小合わせると10以上のフォトコンテストで賞を頂きました。

そんな僕が、実際にフォトコンテストで入選するために、どんな戦略を立て、どんな写真を、どういう理由で選んでいるのかのプロセスをお伝えしていきます。

 

  • STEP.1
    コンテストに入賞するためのスタートライン
  • STEP.2
    数あるコンテストを3種類に分類。自分に合ったコンテストを選ぶ。
  • STEP.3
    コンテストのニーズに合った写真はどんな写真なのかを分析し、セレクトする
  • STEP.4
    印刷用紙やインクによって完成が大きく変化するので、印刷には写真を撮ることと同じくらいこだわる
  • STEP.5
    ⑤作品の意図を伝える←今回の記事
    ステートメントを書いて、あなたの作品を100%理解してもらおう

第5回目の今回は「ステートメントであなたの作品の意図を伝える」ということについて、書いていきます。

これだけ写真が身近になった現在、フォトコンテストに応募したことがある方や、応募しようと思ったことがある方も多いでしょう。せっかく応募するからには入選・入賞したいですよね。

そんな時に、こんな疑問が浮かびませんか?

 

写真好きAさん

どうすれば、コンテストで受賞することができるの?
フォトコンテストは、どんなコンテストがあるの?
入選しやすいコンテストってあるの?
どんなコンテストでもいいから入賞したい!
コンテストに入選して、展示会を開催したい!

この記事は、そんなあなたの疑問を解消する「フォトコンテストに入選する」ための連載記事です。

こんな人にオススメ
  • これから写真コンテストに応募して入選したい
  • どんな写真をフォトコンに応募していいかわからない
  • これまでフォトコンに応募してきたけれどなかなか受賞しない

ステートメントってなに?作品の説明書

これまでの記事で、①写真を撮り、②応募するコンテストを選び、③写真をセレクトし、④プリントすることについて書いてきました。

さて、今回はいよいよ応募です。応募しようと募集要項を読み進めていると、【応募用紙】の提出を求められることに気がつくかと思います。

応募用紙には、様々なタイプの様式がありますが、氏名や住所などの個人情報以外に必ず記入するものがあります。
それは、「この写真って、どんな写真なの?」という欄です。

撮影場所、撮影状況、タイトル、制作意図などそれぞれのコンテストによって具体的な欄は異なりますが、大きく括ると『あなたが応募した写真を紹介して!』ということなのかなと思います。当然ですが撮影者のあなたはこの写真の背景を含めたドラマを全て把握していますが、審査員はその写真についてビジュアル的な情報しか知りません。

審査員は、その写真のもっと奥にある、『なぜ、なにを、いつ、どこで、どんな状況で、なにに惹かれて撮ったの?』ということを知りたいわけです。
それらの情報を知ることで、その写真をより深く見ることができる可能性があるんですね。

 

そういった『なぜ、なにを、いつ、どこで、どんな状況で、なにに惹かれて撮ったの?』といった写真の説明書を、文章で書いたものをステートメントと言います。
自分の作品は、なにを表現したものなのかを審査員に100%伝えるために必要な情報ですね。

ステートメントで写真作品の魅力が増す

ステートメントがあることで、作品の魅力が増す例を紹介してみましょう。

御苗場vol.26で、ジム・キャスパー賞を受賞した友人の水池葉子さんという写真家がいます。素晴らしい賞を受賞した写真のうち、ピックアップした2枚をまずはご覧ください。

photo by 水池葉子

photo by 水池葉子

左の写真は、赤いレンガをバックにパンが置かれている写真。
右の写真は、大通り沿いの歩道にチャイルドシートがある写真です。

一見するとなんの変哲もない写真に見えます。これがジム・キャスパー賞を受賞した写真?と疑ってしまいたくなるかもしれません(笑)

しかし、ジム・キャスパーさんは、これらの写真群を『軽快で、遊び心があり、同時に哲学的です』と評しています。
作家である水池さんの意図が100%伝わっているからこそ、ジム・キャスパーさんはそう評しているのは間違いないですよね。
なぜ、この写真が『軽快で、遊び心があり、同時に哲学的』なのか?

答えは、タイトルにあります。この作品は、タイトルを『のら』と名付けています。野良猫の『のら』ですね。
水池さんが作品のステートメントで、こう説明しています。

街中にゴミのようにぽつりと置かれたものを「のら」と名付けました。 生産された時に与えられた役割や所属を失った「のら」たちの人生を通じ、自分を自分たらしめるもの、アイデンティティについて考察することをテーマとしています。

#水池葉子

つまり、水池さんが偶然落ちているものに出会ったときに被写体を撮影した写真群だったんですね。

フランスパンや、チャイルドシートが「のらフランスパン」や「のらチャイルドシート」になっているわけです。

一見するとなんでもなさそうな写真が、タイトルや制作意図を知るだけで「もっと見たい」と思わせるような作品に変化する。
これが、ステートメント(作品の説明書)のもつ力です。

 

水池さんの受賞作「のら」については、コチラの記事でより詳しく知ることができるので読んでみてください。面白いですよー!
▶:https://phat-ext.com/event/onaeba/44307

フォトコンテストで入賞するためのステートメントの書き方

ステートメントによって写真の見え方が変わった事例と出会ったことが、他にもあります。

20枚程度の写真群を募集したとあるコンテストがあり、僕は審査に同席させてもらったことがありました。
そのコンテストである応募者から、植物の写真が応募されてきました。特別に目を引く写真というわけでもないけれど、なんとなく気になる写真。被写体となっている植物も不思議なフォルムをしているし。

選考していく過程で、審査員は気になった写真の応募用紙を眺めていました。
タイトルや説明を読み、印象が変わることを期待していたのかもしれません。

その植物の写真は、応募用紙に加えて自分が用意したA4用紙のステートメントが添付されていました。
審査員はそのA4用紙にも目を通していました。

そこには、「自分は珍しい植物を撮影している写真家である。応募した写真は100年に1度しか咲かない花や、砂漠に咲く彩り豊かな花などがある。それらは一見して目を引く美しさというよりも、説明されないとその希少性がわからないものがほとんどだ。目に見える美しさも魅力的だが、本質的な美しさを撮影したいと思った」といったことが書かれていました。

 

ここで僕は2つの発見をしました。

1つは、ステートメントによってその写真をもっと見たいと僕自身が思ったこと。
もう1つは、応募用紙以外にステートメントがあっても審査員は読んでくれる(かもしれない)こと。

これは、とても大きな発見でした。

そうです、応募用紙だけで表現できないと思ったら、A4用紙1枚くらいなら添付してもいいんです。
読んでくれるか、読んでくれないかはわかりませんが、少なくても読んでくれる可能性があるんですね。それなら、無いよりは、あったほうがいい。

 

結果として、その写真群は入賞することになりました。
ステートメントがなかったらどうなっていたかはわかりませんが、ステートメントがあったことでその写真群の印象が変わったことは間違いないでしょう。

その写真をより深く理解してもらうことで写真の質が上がるのならば、ステートメントを添付してみることをオススメします。

写真 ステートメントの例文

最後に、ステートメントの事例を紹介します。

何度もお伝えしますが、ステートメントは写真の説明書です。
なので、「いつ、どこで、何を、なぜ、どのように撮っているのか?」といった「5W1H」が書かれていることが重要になります。

手前味噌ですが、僕が開催した写真展でのステートメントを紹介しますので、読んでみてください。
第三者がそのステートメントを読んだことで、どんな写真があるの?と興味を示したり、想像したりするか、といった視点をもつことが重要です。

僕の写真展「Quiet Cuba」が東京・神楽坂で2月22日から開催されることになりました

2016年と2019年にキューバを旅して撮影した。アメリカとの国交が回復したことで、変わりゆく前のキューバを撮影したいと思ったことが最初の動機だった。陽気な国民が音楽を奏で、上半身裸姿の少年が路上で野球をし、派手な塗装のクラシックカーが走り去っていくような喧騒を期待してキューバへ向かった。

メキシコシティを経由し21時間かけてやっと到着したキューバには、確かに期待通りの世界が広がっていた。街を歩けば“これぞキューバ”と頷きたくなるような音楽や、ゲバラの名残が五感を刺激する。だが、想像通りの街を歩いて残ったものは、不思議なくらいに強烈な違和感だった。渇望していた喧騒の光景は初めて訪れた場所であるにも関わらずいつかどこかで見たような感覚を呼び起こし、灼熱の太陽を浴びながらいくつもの道を歩いてみたものの、音楽も野球も派手なクラシックカーもあまり撮ることはなかった。

思い返せば過去にもそんなことがあった。ガイドブックやSNSを通して繰り返し想像してきた世界を目の前にすると、最初こそ心躍るがそれ以降は徐々に興味が萎んでいく。では、どんな光景ならずっと心に残るだろうと考えていたが、キューバを訪れて初めて気づくことができた。

自分のフィルターを通してその土地の断片を見つけられたとき、旅の記憶は深まり、心に残り続ける。誰かの軌跡を辿るだけでは得られなかったキューバの色彩は、本質的に惹かれたものを見つけた途端に鮮やかな色味を増して強くなった。喧騒ばかりを追っていたら気づくことがなかった静寂を含んだ光景は、同じ場所であるにも関わらず、はっきりと美しく浮かび上がって見えた。

旅は外の世界との出会いの機会であると同時に、内の世界と出会う機会でもある。人の想像力は無限の可能性を拡げてくれるものであるが、世界をどこまでも狭くしてしまう一面も内存しており、誰かに提示された世界だけではその先にある拡がりに気づくことができない。手軽に情報を得られる現代だからこそ、本質的に惹かれるものに目を向けることで、知った気になっていた世界とは異なる一面が見えてくるのかもしれない。

じっと目を凝らして見えた世界は、きっと今よりも少しだけ美しくなる。

写真コンテスト(フォトコン)で受賞するために〜まとめ〜

フォトコンテスト入賞マニュアル第5弾「作品の意図を伝えるステートメント」編でした。
あなたの写真をより深く審査員に伝えられると、その写真の魅力が上がるはずです。その魅力を伝える努力をしてみてください!

「これから写真コンテストに応募して入選したい」
「写真はよく撮るんだけど、どんな写真を応募していいのかわからない」
「これまで応募してきたけれどなかなか受賞しない」

初めてコンテストに入選するまで、僕もこんな気持ちをもってコンテストに挑戦していました。
あなたがフォトコンに入選し、賞状や景品を頂き、このサイトにご連絡をくださることを楽しみにしています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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►参考:SOGEN HRISOHIお問い合わせフォーム

 

 

どんどん写真が好きになって、次のステップとして写真展を開催してほしいですね。
写真展の開催方法については、他の連載記事でまとめているので参考にどうぞ。

1番やさしい写真展の開き方入門【知識ゼロから写真展開催まで】

はじめての写真展入門シリーズ
はじめての写真展入門① 〜会場選択編〜
はじめての写真展入門② 〜写真のセレクト編〜
はじめての写真展入門③ 〜額装編〜
はじめての写真展入門④ 〜宣伝編〜
はじめての写真展入門⑤ 〜会場レイアウト編〜
はじめての写真展入門⑥ 〜当日持参する道具編〜
はじめての写真展入門⑦ 〜写真展開催までのスケジュールや費用編〜

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