はじめて写真展を開催したいと思ったときに気になるのは、お金と時間ですよね。
この記事では、そんな写真展のお金と時間についての疑問を解決する『写真展を開催するための「スケジュールや費用」』について解説しています。
写真展をしてみたいけど、どれくらいのお金がかかるの?どれくらい準備が必要なの?どれくらい時間がかかるの?といった疑問に答えていきます。
結論から言うと、費用に関してはピンきりです。安くすることもできるし、お金をかけて写真展示のクオリティを高めることもできます。
「はじめての写真展シリーズ」では、はじめて写真展を開催したい方に向けてのノウハウを書いています。会場選択、額装、当日持参する道具などをまとめて解説しているので読んでみてください!
はじめての写真展入門【知識ゼロから写真展開催まで】総まとめ写真展開催までのスケジュールや費用を徹底解説
「はじめての写真展入門」シリーズ第7弾は、写真展のスケジュールと費用について徹底解説していきます。
写真家Aさん
DM作成やプリントなどやらなければいけないと思うんだけど、いつから動きだせばいいの?
写真展開催のための費用はいくらくらいかかるの?
この記事では、写真展を開催する時に浮かぶお金とスケジュールの悩みに答えていきます。
アイデムフォトコンテストで入選し、新宿のギャラリーで個展を開催してもらったり、世界旅写真展に入選し、グループ展を開催してもらったこともあります。
最新では2020年2月に個展(Quiet Cuba)を行い、写真集を出版して頂きました。
会場費用がかかった展示、かからなかった展示を経験しているので具体的な費用もお伝えできます。
これまで7回の写真展経験から、今は写真展開催までの準備で何が必要なのかの見通しを持つことができますが、2015年にはじめて写真展を開催した僕は、まさに何もわからない状態でした。
写真展は何を準備すればいいの?
どこで写真展を開催すればいいの?
道具はなにが必要なの?
写真はどうやってプリントするの?
なにに額装するの?
どう宣伝すればいいの?
お金はいくらかかるの?
写真展を開きたいんだけど、なにから始めればいいのかわからない。
そんなあなたの背中を押したくて、この記事を書きます。
このブログがヒントとなって、あなたの初めての写真展の開催に繋がれば幸いです。
写真展のスケジュールの組み方は?写真展の費用はいくら?
それでは、写真展開催に向けて準備してきたことや・費用、スケジュールを整理していきます。
具体的な例があるとわかりやすいと思うので、僕が2020年2月に開催した写真展「Quiet Cuba」に合わせてお伝えしていきます。
【2019年8月】⇒写真展開催の7ヶ月前
まずはなんと言っても、写真がないと写真展を開催できませんよね。
展示したい写真が既にあるという方は飛ばしてください。
僕の場合は写真を撮るためだけに2度目のキューバへ行ってきました。
詳細は「写真を撮るためにキューバへ行ってきた」に書いています。
この時点ではまだ写真展開催も写真集出版もなにも決まっていませんでした。
【2019年9月】⇒写真展開催の6ヶ月前
写真を撮れたなら、展示会場を決めなければいけません。
企業ギャラリーなのか、私設ギャラリーなのか、市民ギャラリーなのか、カフェやバーなのか、あなたが展示したい場所を決めましょう。
詳細ははじめての写真展入門①会場選択・ギャラリー編に、それぞれのメリット・デメリットや費用を書いていますので参考にしてください。費用はギャラリーによって大きく異なりますが高いところだと1週間で10万円超、安いと無料〜1万円台くらいですかね。
僕の場合は、初めて写真展を開催した場所は市民ギャラリーでした。理由は簡単で「使用料が安いから」です。5日間で19000円でした。
企業ギャラリーなら審査が通れば無料で写真展を開催できるところもありますし、私設ギャラリーなら1週間で10万円以上かかるギャラリーもあります。
写真展会場の選択は一番費用に大きな差が生まれるところなので、ご自身のお金と意志を考えて検討してください!
0円から10万円以上と開きが大きい。
市民ギャラリーは安いけど、おじいちゃんおばあちゃんの趣味の世界のイメージが強い。
企業ギャラリーは審査が厳しいけど通れば安く素敵なギャラリーで開催できる。
私設ギャラリーは金額に大きな差がある。
今回の僕のケース「Quiet Cuba」の展示では、 第4回世界旅写真展でキューバの写真を評価してくださったBEHIND the GALLERYの中村風詩人さんに写真を見せに行ったところ、その場で「写真展を開催しましょう」と言って頂いたことで、展示が決まりました。
ステートメントってなに?
【2019年10月】⇒写真展開催の5ヶ月前
ステートメントは初めて写真展を開催する方には若干難しいかもしれませんが、やっておくと絶対にプラスになるのでオススメします。
ステートメントとは作品の説明書のようなもので、この写真は、なぜ、なにを、いつ、どのように撮っているのかを文章にしたものです。これがないと「ただ好きな写真を集めただけ」ということになりかねず、コンセプトが定まらない極めて自己満足な展示になる可能性があります。
この作業は自分の作品がなにを表現したいのかを考えるうえでとても大切で、ステートメントに時間をとったことで作品群がより鮮明になります。僕の場合は、信頼する二人の方から助言を頂きました。
ステートメントは写真のセレクトにも大きく影響する
ステートメントを書くことで、写真のセレクトに大きく影響します。
例えば、僕の場合は「Quiet Cuba」がテーマなのに、美しい写真だからといって賑やかな写真を展示すると、作品群の一体感がなくなりますよね。
ステートメントで「キューバの静寂」をテーマとする、と整理したことで、これらの写真はセレクトしませんでした。
写真のセレクトの考え方は、はじめての写真展入門②写真のセレクト編で詳細に書いています。
額装は写真展の費用や完成度に大きく影響する
【2019年11月】⇒写真展開催の4ヶ月前
写真を展示する時に額に入れるのか、ハレパネに貼るのか、直接貼るのかは、やりたい展示によって変わってきます。
僕は初めての展示の時には「木製パネル」を購入し、自作の額を作成しました。
かっこいい額を購入するならArtgene-アートジーンはオススメ
写真を額に飾ることに興味のある方は、最近では、画像をアップするだけで額装制作から作品販売までを手掛けてくれる『Artgene-アートジーン』というサービスがあって、注目を集めています。
Artgeneはネット上で額装シュミレーターをチェックして、額の色を選んだり、余白の大きさを選んだり、紙質を選んだりできるので、展示をしたい方や家で写真を額装して飾りたいという方、両親に写真を額装してプレゼントしたいという方などにオススメです!
料金はだいたい1万円くらいです。
Artgeneはオンラインのアート額装サービス。ユーザーは画像をアップするだけで額装のイメージが作れてネット注文できます。
また、出品者登録をしたクリエイターはArtgene内で作品の販売ができ、マイページでオンラインギャラリーを作ることも可能。新規登録すれば、額装だけでなく、あなたの作品が販売までできるサービスです。
額装シュミレーターで額装のイメージがわかる
※無料会員登録で額装シュミレーターが使えます
Artgeneについては、僕自身も額を購入して詳細なレポート記事を書いたので、興味のある方は読んでみてください! ⇒ 『Artgeneアートジーンでオシャレな写真の額を買った体験談』
写真やイラストをオシャレに額装する方法|おすすめの額を買った体験談展示費用を安くすませたい方はハレパネもオススメ!
額を購入するのはちょっと…という方にはハレパネが特にオススメです。
ハレパネは発泡スチロールのような素材でできていて、シールで写真を貼るだけで、立体的な作品が作れます。
価格もA2サイズで1200円弱なので、値段も抑えられます。予算が厳しい方は、断然ハレパネをオススメします。
「Quiet Cuba」では、額屋さんを幾つか巡り、A2サイズの写真が入る711×559と、A3ノビサイズの写真が入る508×406の額を購入しました。額は1つ1万円くらいです。
もし、額の情報を知りたいという方がいましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
写真展の壁に額で展示をしたいと思ったら、費用はけっこうかさみます。
額は購入してもいいし、レンタルすることも可能です。購入する場合は1つ1万円くらいの見積もりでいてください。
ハレパネならA2サイズでも1200円になるので費用はかなり少なくなります。
とはいえ、額のかっこよさはハレパネの比ではないので、かっこよさと料金のトレードオフになりますね。
【2019年11月】⇒写真展開催の4ヶ月前
写真展を開催するときに集客は大きな課題です。せっかくなら写真に興味のある方に来てもらいたいですよね。
写真に興味のある方を集客する方法については「はじめての写真展入門④宣伝編」で詳細に書きました。
写真展のプレスリリースを作成|メディアで紹介・掲載してくれる
「Quiet Cuba」では、A4用紙3枚分のプレスリリースを作成しました。
1枚目は展覧会名・会場・期間・トークイベントなどの概要を書いたもの、2枚目は展示についての紹介文を長文で書いたもの、3枚目は僕自身の紹介について書きました。
これらをIMAなどの写真サイトに送付すると写真展情報の記事として紹介してくれることがあります。
他にも、個展なび、CAPA CAMERAさんにプレスリリースを送り、紹介・掲載して頂きました。
写真展のDMを作成
DMはイラストレーターで作成。こちらも詳細は「宣伝編」に詳細が書いてあります。
紙の大きさ・質・カラーの有無・部数によって大幅に値段が変わります。
余談ですが、「Quiet Cuba」では、このタイミングで写真集制作の声をかけて頂き、写真集を作成することが決定しました。
BEHIND the GALLERYで写真集の装丁やデザインをして頂き、2度ほど打ち合わせをして掲載する写真を選定していきました。
【2019年1月】⇒写真展開催の2ヶ月前
写真のプリントは自宅?ラボ?
写真のプリントは展示前の最も重要な作業の1つです。
自宅でプリントするのか、はたまたラボに出すのか、あなたの作業環境によって大きく異るでしょう。
また、選ぶ用紙によっても大幅に完成プリントの質が変わります。
こんなに違うの?と驚くかと思うので、自分好みのプリント用紙を見つけることが重要になるかと思います。
自宅でA3ノビの写真をプリントするためのプリンター
僕は基本的には全て自宅でプリントしています。
A3ノビという大きなプリントに対応したプリンター【Canon インクジェットプリンター PIXUS PRO-100S】を購入したことで、プリントの再現性が高まり、自分でこだわった色に調整できるようになりました。このプリンターがなかったら、きっと展示をやっていなかったと思います。
値段は高いし、大きいしで、なかなか買うのに勇気がいるかと思いますが、写真を本格的にしたい方には強烈にオススメするプリンターです。
自宅で美しい写真をプリントするためのプリント用紙
プリント用紙は個人的には「ピクトリコ ピクトリコプロ・ソフトグロスペーパー」を使用することが多いです。A4だと用紙1枚が100円くらい、A3ノビでは1枚300円以上します。
►参考:劇的に写真が楽しくなったオススメのアイテムを紹介する
ピクトリコラボでA2とA1サイズの写真をプリント
「Quiet Cuba」では、せっかくの展示なので大きな写真も展示したいと考え、ピクトリコのプリント工房にA2サイズとA1サイズの写真を数点発注しました。
全てデータ上でのやり取りで、納品まで2週間程度かかりました。A1サイズは圧巻の大きさで、さすがにこのサイズの額を用意はできなかったので、ハレパネに貼って展示しました。
【2020年2月】⇒写真展開催の1ヶ月前
せっかく写真で表現するのだから、写真展ではキャプションはなくてもいいのでは?と考えてきました。
キャプションとはタイトルや説明文ですね。
ただ、写真について学んでいく中で「展示者の意図は思ったよりも伝わらない」という助言をもらい、「見る人が理解を深めるのに間違いなく役立つ」というアドバイスから、キャプションをつけることにしました。
今回はキャプションをつけましたが、初めての展示ではキャプションはつけませんでした。
これは展示者の好みによって判断すればいいかと思うので、好きな展示の仕方を検討してみてください。
会場図に関しては会場レイアウト編で詳細に書きました。
写真展会場のレイアウト作成方法【はじめての写真展入門⑤】【2020年2月】⇒写真展開催の2週間前
写真を飾るために、額に入れたり、ハレパネに貼ったりと、地道な作業をします。
額装するならばマットに写真を固定し、アクリルガラスにホコリが入らないように気を遣い、紐を結びます。これは展示する上で最も重要な作業になるので、時間に余裕をもって行うといいでしょう。
ハレパネに貼るにしても、カッターを使ってハレパネを切ったりするので、なかなか時間はかかるかと思います。頑張ってください。
写真展準備に必要な道具は?当日持参する道具リスト【はじめての写真展入門⑥】【2020年1月〜2月】
展示会場では、写真以外にも「作家プロフィール」や「ステートメント」、「キャプション」などを貼る展示が多くあります。
これは必ず必要というわけではありませんが、せっかく行う初めての展示なのに、どんな展示なのか、作家は誰なのか、というのがわからないのも勿体ない。
「Quiet Cuba」では、ステートメントとプロフィールをハレパネに貼って、短いエッセイと写真を合わせて額装して展示しました。
写真集の入稿作業などは全てBEHIND the GALLERYにおまかせしていました。写真集が完成したというご連絡を頂きました。
写真集が手元に届き、デザインや紙質などの完成度の高さに嬉しくなった。
その後慌ただしく娘と風呂に入っている時に、ふとこれまでの写真活動のことを思い出して、涙が溢れて止まらなくなった。一歳半の娘は、風呂場で急に泣き出した父に驚いただろうが、頭を撫でてくれた。
幸せだなーと思った。 pic.twitter.com/1Im8aH6z6B— 23時の暇つぶし (@23himatsubushi) February 9, 2020
はじめて写真展を開く方法 まとめ
写真展開催までのスケジュールと費用をまとめました。いかにやることが多いかは理解して頂けたでしょうか?
ただ、自分がやりたいと思って始めた展示で、1つ1つ手作りで進めていくのはとても面白い作業だと思います。
ここに書いたプレスリリースやDMの作成、ステートメントの作成なんかは必ずしなければいけないわけではなく、なくても開催することはできます。
もっと言うと、写真だって額に入れずに壁にそのまま貼ることだってできます。
だけど空間をしっかり作ってできるだけ多くの人に見て頂きたいという思いがあれば、可能な限り細部まで突き詰めたくなりますよね。
あなたの初めての写真展の開催を応援しています。
このブログを読んで写真展を開催してみよう!と思ってもらえたら、嬉しく思います。
写真展ではなくて、フォトコンテストに挑戦してみたい!という方は、コチラをお読みください!
フォトコンテスト入賞までの完全マニュアル【写真集を出版することになりました!】
キューバを撮影した写真集「SEEKING QUIETNESS」を出版することになりました