この記事では、アラスカを旅した写真家・星野道夫さんのオススメの本ランキング5選と、星野道夫さんの魅力を紹介します。
星野道夫さんは、1985~90年代に活躍した写真家であり、随筆家です。主にアラスカの大自然と動物の写真を撮影し、エッセイを執筆して出版しています。
カリブーやシロクマを中心とした動物たちの生き生きとした写真や、代表作の「旅をする木」のように心が動かされるエッセイも多数出版しているアラスカ旅の第一人者です。
個人的にはあまりに星野道夫さんへの愛が強すぎるために、10000字程度の長い長い記事になってしまいました…。
この記事の内容
目次
星野道夫のプロフィール アラスカを撮影した写真家
それでは、まずは星野道夫さんとはどんな人だったのかといったプロフィールや、アラスカを旅して住むようになった背景などを解説していきます。
星野道夫のプロフィール紹介
まずは、星野道夫さんのプロフィールについて紹介していきます。
写真家の星野道夫さんをご存知でしょうか?
アラスカの大地を旅し、悠久の時が流れても変わらない光景を撮影し、エッセイを書いた写真家です。
日本人の旅好きや写真家はアラスカの大地に惹かれる傾向がありますが、そのほとんどが星野道夫さんの影響を受けているような、伝説的な写真家です。
星野道夫の死因はロシアで餌付けされた熊に襲われた事故
そんな星野道夫さんは、残念ながら1996年、43歳の若さで亡くなってしまいました。
テレビ番組の取材に同行するために普段のフィールドとは異なるロシアのカムチャッカ半島を訪れた際に、餌付けされヒグマに襲われたことによる事故が原因でした。
星野道夫さんの事故死については、小坂洋右さんの著書『星野道夫 永遠のまなざし』に詳しく書かれています。
星野道夫さんのアラスカを舞台にした写真は、没後25年が経った今でも語り継がれているような作品で、時々展示会が全国各地で開かれています。
僕も、2018年に伊豆フォトミュージアムで開催された星野道夫さんの没後20年特別展「星野道夫の旅」に行ってきました。
星野道夫が撮影したアラスカの写真
星野道夫さんの写真はぜひ一度見てほしい。
「星野道夫 写真」で画像検索をしてみてください。
シロクマの親子が戯れる写真、カリブーが大移動する写真、クジラが水しぶきをあげながら飛び跳ねる写真。
圧倒的な写真がたくさん残されています。
また、その写真と同様に人々を惹き付けるのが彼の言葉です。
僕は星野道夫さんの言葉がとても好きで、星野道夫さんの至極の名言を集めた記事も書いているのでぜひ読んでみてください!
星野道夫の代表的な本
旅好きな友人たちの中で、最も好きな本は星野道夫さんの著書である「旅をする木」だと挙げる人も多くいます。
僕自身も『旅をする木』は星野道夫さんの本の中では一番好きな本で、星野道夫さんの代表作と言ってもよい本だと思います。
この記事では、写真家としても、エッセイストとしても稀有な存在である星野道夫さんの、なにが魅力的なのか、オススメの本とともに紹介していきます。
星野道夫のオススメ本と写真集ランキングベスト5を紹介
それでは、星野道夫さんのオススメ本ランキングベスト5を紹介していきます。
旅をする木【星野道夫のオススメ本ランキング1位】
星野道夫を代表する一冊
星野道夫のオススメ本ランキング第1位は、『旅をする木』です。
『旅をする木』は、アラスカを愛し、アラスカに愛された写真家・星野道夫さんの代表作ですね。
アラスカの絶対的な自然
太古の昔から変わることがないカリブーの大移動
人々が語り継いできた神話の世界
芯に刺さる言葉を持ったブッシュパイロット達
クジラやシロクマたちの不思議な行動
短い夏や長い冬の間に彩る春や秋の美しさと季節の移り変わり。
それらを温かく優しい言葉で描写しています。
この本を読んだ以前と、この本読んだ以後で、なにかが変わった。
大袈裟ではなく、そういった人は多いような気がしています。
ある人は仕事を辞めたかもしれないし、
ある人は日常の尊さに気がついたかもしれない。
ある人は旅立ったのかもしれないし、
ある人は日々の些細な変化に目を向けるようになったのかもしれない。
僕にとって旅をする木は、この世界を旅しようと思ったキッカケになった一冊です。
この文章に出会えただけで、この本に出会えてよかったと思えます。
長い旅の途上【星野道夫のオススメ本ランキング2位】
星野道夫の至極のエッセイ
星野道夫のオススメ本ランキング第2位は、『長い旅の途上』です。
『長い旅の途上』は、人間の豊かさとは、人間の幸とは、アラスカを通して星野道夫さんが学んだことを、僕たちに語りかけてくれる一冊です。
写真を交えた短いエッセイがたくさん掲載されており、きっとこの一冊を読めば星野さんのアラスカでの日々を追体験できるはずです。
どこから読んでもいいし、読まなくてもいい。いつ止めてもいいし、何度読んだっていい。
星野道夫は、いつだって大切なことを伝えてくれます。そして、大切なことは何度でも、伝えてくれる。
あなたが読みたいときに、読みたいページから読むことをオススメします。
この本で、星野道夫さんは「自然には二種類ある」と話しています。
人間には、二つの大切な自然がある。
日々の暮らしの中でかかわる身近な自然、それは何でもない川や小さな森であったり、風がなでてゆく路傍の草の輝きかもしれない。
そしてもう一つは、訪れることのない遠い自然である。ただそこに在るという意識を持てるだけで、私たちに想像力という豊かさを与えてくれる。
そんな遠い自然の大切さがきっとあるように思う。
『長い旅の途上』 星野道夫
僕はこの本から自分の身近にある自然をとても強く意識するようになりました。
魔法のことば【星野道夫のオススメ本ランキング3位】
星野道夫の講演をまとめた一冊
星野道夫のオススメ本ランキング第3位は、『魔法のことば』です。
『魔法のことば』は、星野道夫さんの講演をまとめた一冊です。
この本を読むと、星野道夫さんは偉大な写真家でもあり、稀代の文筆家でもあり、ストーリーテラーであったことが伝わってきます。
池澤夏樹さんが「大事なことしか言わなかった。そして本当に大事なことは何度でも言った」と表現していますが、まさにこの本には大切なことが繰り返し書かれています。
講演をまとめた一冊ということで、星野さんの息遣いや語りを感じられる本です。
悠久の時を旅する【星野道夫のオススメ本ランキング4位】
星野道夫の総集編
星野道夫のオススメ本ランキング第4位は、『悠久の時を旅する』です。
星野さんの写真と文章に触れたければ、『悠久の時を旅する』が最もオススメです。代表的な写真や、本に書かれた言葉をまとめら総集編のような一冊です。
星野道夫さんがどうしてアラスカに惹かれたのか、アラスカとの出会い、動物たちとの一瞬の光景、追い求めたカリブーやシロクマ、トーテムポールやアラスカの神話。
どれだけ時間が経っても色褪せることのない星野道夫の作品がここに詰まっています。
決定版。この本は一生持ち続けるでしょう。
森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて【星野道夫のオススメ本ランキング5位】
ワタリガラスの伝説を追いかけた一冊
星野道夫のオススメ本ランキング第5位は、『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』です。
『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』の物語は、原住民のアサバスカン族やハイダ族の先住民が、伝承しきた「ワタリガラスの神話」をテーマとしています。
ワタリガラスの伝説を追うというとても興味深いテーマですが、事故によりこの世を去ったことで完成されぬままそのテーマは終わりを迎えました。
古くから現地に住む民族であるインディアンのシャーマン的人物・ボブとの出会いにから、インディアンの精神世界に急速に引き込まれていく様子がとても印象的な一冊です。アラスカの自然美から、もっと深いところへ旅を続けたことで生まれた一冊です。
ボブとの出会いのシーンは、文章でありながら本当に音が止まったかのような世界が拡がり、精神世界の深いところを旅している感覚を味わえます。
残念ながらこの本の執筆途中で星野道夫さんは亡くなってしまったのですが、この本の完成形を読みたかった。
アラスカを旅した写真家・星野道夫の4つの魅力
①アラスカへと旅立った行動力【星野道夫の魅力1】
アラスカを舞台に活躍した写真家の星野道夫さんの魅力1つ目は、アラスカへと旅立った行動力です。
その生涯の対象となるアラスカとの出会いは大学1年生の頃でした。
東京・神田にある古本屋で「アラスカ」という洋書に出会い、その本に掲載されたシシュマレフの村の空撮写真に魅せられ、その村の村長宛に手紙を出すと、半年後に返信が届いた。
そんな偶然が結びついて、そのシシュマレフの村を訪れ、3ヶ月間を過ごしたことが全ての始まりでした。
シシュマレフ村長様
拝啓
私は20歳の日本の学生で、星野道夫と申します。
私はアラスカの大自然や、野生生物にとても興味があります。この夏、アラスカへ行く予定でおります。可能であれば、ぜひ私主婦を訪れ、1ヵ月ほどシシュマレフの人たちと一緒に生活してみたいと思っています。しかし私はシシュマレフに知人がいません。よろしければ、私は受け入れてくださるご家族を紹介いただけないでしょうか。私は、アラスカの大自然や、野生生物、日常生活を知りたいのです。
私の手紙は以上です。拙い英語をお許しください。早くお返事いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。敬具
星野道夫
親愛なる星野様
お返事が遅くなり、すみません。私たちの家に滞在していただけるかどうか妻と話し合いました。何月にいらっしゃるのか教えてください。
6月と7月、私たちはトナカイの世話をしながら大半の時間を村で過ごします。7月10日から15日まではトナカイの角を取り、印をつける作業をします。
いつごろ到着されるか、予定を知らせていただけると助かります。また、ノームからシシュマレフまでの交通も手配して差し上げられると思います。
私たちはあなたを歓迎いたします。敬具
クリフォード・ウェイオワナ
星野道夫さんは、この手紙を受け取り、実際にアラスカを訪れ、26歳の時にアラスカを拠点に活動を始めるようになります。
アラスカの自然に惹かれ、アラスカの人々に愛され、多くの出会いとともに、アラスカに住んだ星野道夫さん。
この物語のスタートだけでも、星野道夫さんの魅力が伝わるかと思います。
②アラスカを撮影した美しい写真【星野道夫の魅力2】
アラスカを舞台に活躍した写真家の星野道夫さんの魅力2つ目は、アラスカを撮影した美しい写真です。
星野道夫さんの写真の対象はアラスカでしたが、そのジャンルは多岐に渡ります。
息を呑むような美しい動物写真はもちろん、そこで暮らす人々、伝統的な文化であるクジラ漁、一瞬の四季を感じさせる植物、トーテムポールやアラスカの神話など、被写体となる対象はアラスカの全てでした。
きっと動物写真だけだったら、こんなに語り継がれる作品群にはならなかったでしょう。
アラスカの全てを愛したからこそ、それを写真に撮ることができた星野さん。インターネット上にもあるので、ぜひ写真を見てみてください。
③大切なことを伝える名言【星野道夫の魅力3】
アラスカを舞台に活躍した写真家の星野道夫さんの魅力3つ目は、大切なことを伝え続けてくれる名言の数々です。
写真家の星野道夫さんの写真はもちろん魅力的ですが、その語りを綴った書籍も人気があって、稀代の文筆家として知られています。
「旅をする木」に描かれている「もう1つの時間」の話や、「長い旅の途上」の「ワタリガラスの神話を捜して」の話は、その強くて優しい言葉に、きっと惹かれることでしょう。
僕が好きな星野道夫さんの言葉をいくつか紹介します。
『旅をする木』に書かれた言葉の紹介【星野道夫の名言集】
東京に帰って、あの旅のことをどんなふうに伝えようかと考えたのだけれど、やっぱり無理だった。
『長い旅の途上』に書かれた言葉の紹介【星野道夫の名言集】
『魔法のことば』に書かれた言葉の紹介【星野道夫の名言集】
星野道夫さんの名言、いかがでしょうか?
強さと、優しさが混在した言葉を届けてくれる星野さんの言葉は、多くの人の心を惹きつけます。
ぜひ、どれか一冊を手にしてみてください。
星野道夫さんの書籍を紹介する池澤夏樹さんの紹介文がとても印象的なので引用します。
彼は本当に大事なことしか言わなかった。
そして本当に大事なことは何度でも言った。池澤夏樹
④アラスカの魅力を引き出す発信力【星野道夫の魅力4】
星野道夫さんは21歳で初めてアラスカを訪れてからはしばらく日本で過ごし、26歳にアラスカ大学に入学して本格的にアラスカに住み着くようになります。
最初は興味の対象が野生動物や圧倒的な自然美でしたが、徐々にその土地で暮らす人々や文化に移っていき、ブッシュパイロットの飛行士や伝統的なクジラ漁へ、直子夫人と出会ってからは花の魅力に惹かれるようになり、朽ちたトーテムポールなどの過去の文化、アラスカの神話へと興味が拡がっていきます。
中でも遺作となった「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて (文春文庫)」の文章が格別に面白い。
その本はワタリガラスの伝説を追うという大きなテーマでした。しかし、その連載途中で事故により突然に亡くなってしまったため、完遂されなかった。
インディアンでありシャーマン的人物であるボブとの出会いによって、インディアンの精神世界に急速に引き込まれていく様子がとても印象的な一冊です。
そうやって、次々と興味をもち、行動し、発信していく星野道夫さん。
その人間的な魅力にも、僕はとても惹かれます。
星野道夫のオススメ本や写真集 まとめ
アラスカを旅した写真家・星野道夫さんの魅力についてと、オススメの本・写真集を紹介しました。
あまりに愛が溢れてしまい、かなり長い文章になってしまった(笑)
星野さんの書いた本は他の特集記事でも紹介しています。
最高に面白い本をまとめて紹介
様々なジャンルのおすすめ本を紹介しています。本が好きな方はぜひ読んでみてください
■第1弾は本当にオススメする写真家が書いた本
■第2弾は本当にオススメする「エッセイ」
■第3弾は本当にオススメする「サッカーにまつわる本」
■第4弾は心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文20冊」
■第5弾は本当にオススメする「ルポタージュ」
■第6弾は本当にオススメする「日本の現代小説」
■第7弾は心からオススメする「家族愛を感じさせる写真集」
■第8弾は「旅をテーマとした写真」を撮りたいと思ったときに参考になるオススメの旅写真集12冊
■第9弾は誰かに贈りたくなるプレゼント本50冊
■第10弾はオススメの伊坂幸太郎作品ランキング・トップ10
■第11弾はアラスカを旅した写真家・星野道夫の魅力とオススメの本・写真集」←今回の記事
■第12弾はオススメのシリーズ本「就職しないで生きるには」
■第13弾はオススメの「超ヤバい人(スペシャリスト)の本」
■第14弾は3歳におすすめの「子どもが何度も読み返すおもしろい絵本」
■第15弾は探検家・角幡唯介のオススメ本10選と3つの魅力を紹介
■第16弾は本当にオススメの「ノンフィクション」
■第17弾は村上春樹のおすすめエッセイ5選を紹介
■第18弾は本好き必見!行きたい本屋が見つかる【本がテーマの本15選】
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