アラスカを旅した写真家・星野道夫の魅力とは?星野道夫さんの本や写真集からオススメ作品を紹介する

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この記事では、「写真家・星野道夫さんの魅力とオススメの本」を紹介しています。
あまりに星野道夫愛が強すぎるために、10000字程度の文章になってしまいました…。星野道夫さんの魅力が伝われば嬉しく思います。

これまで読んできた本の中から「おすすめの本特集」をカテゴリーで分類していて、様々なジャンルの本を紹介しています。本が好きな方はぜひ読んでみてください

アラスカを撮影した星野道夫さんについて

星野道夫とは?
星野道夫は、1985~90年代に活躍した写真家・随筆家。 主にアラスカの大自然と動物の写真を撮るかたわら、エッセイなども執筆し出版されています。「旅をする木」は、僕が最も好きなエッセイの1つです。 1996年8月8日、テレビ番組の取材のため、ロシアのカムチャツカ半島南部のクリル湖畔に設営したテントにいたところ、餌付けされたヒグマに襲われ死去。享年43歳。公式HPからもたくさんの写真が見られます。

Coyote No.72 特集 星野道夫 最後の狩猟

写真家の星野道夫さんをご存知でしょうか?

アラスカの大地を旅し、悠久の時が流れても変わらない光景を撮影し、エッセイを書いた写真家です。

日本人の旅好きや写真家はアラスカの大地に惹かれる傾向がありますが、そのほとんどが星野道夫さんの影響を受けているような、伝説的な写真家です。



►参考:写真家・石塚元太良さんのアラスカへ行きたい/石塚 元太良
►参考:写真家・松本紀生さんのアラスカ無人島だより

 

しかし、星野道夫さんは残念ながら1996年、43歳の若さで亡くなってしまいました。テレビ番組の取材に同行するためにロシアのカムチャッカ半島を訪れた際に、餌付けされヒグマによる事故が原因でした。

星野道夫さんのアラスカを舞台にした写真は、没後25年が経った今でも語り継がれているような作品で、時々展示会が全国各地で開かれています。僕も、2018年に伊豆フォトミュージアムで開催された星野道夫さんの没後20年特別展「星野道夫の旅」に行ってきました。

星野道夫さんの没後20年特別展「星野道夫の旅」

星野道夫さんの没後20年特別展「星野道夫の旅」

星野道夫 写真」で画像検索をしてみてください。

シロクマの親子が戯れる写真カリブーが大移動する写真クジラが水しぶきをあげながら飛び跳ねる写真
圧倒的な写真がたくさん残されています。

 

また、その写真と同様に人々を惹き付けるのが彼の言葉です。

旅好きな友人たちの中で、最も好きな本は星野道夫さんの著書である「旅をする木」だと挙げる人も多くいます。


旅をする木 (文春文庫)

もちろん、僕も「旅をする木」が好きで、旅の本・紀行文を挙げた記事で紹介していす。

►参考:心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文22冊」

 

この記事では、写真家としても、エッセイストとしても稀有な存在である星野道夫さんの、なにが魅力的なのか、オススメの本とともに紹介していきます。

写真家・星野道夫さんの魅力

①星野道夫という一人の人間のストーリー

アラスカを舞台に活躍した写真家の星野道夫さんですが、その生涯の対象となるアラスカとの出会いは大学1年生の頃でした。

東京・神田にある古本屋で「アラスカ」という洋書に出会い、その本に掲載されたシシュマレフの村の空撮写真に魅せられ、その村の村長宛に手紙を出すと、半年後に返信が届いた。
そうして、その村を訪れ、3ヶ月間を過ごしたことが全ての始まりでした。

星野道夫の手紙

シシュマレフ村長様

拝啓
私は20歳の日本の学生で、星野道夫と申します。
私はアラスカの大自然や、野生生物にとても興味があります。この夏、アラスカへ行く予定でおります。可能であれば、ぜひ私主婦を訪れ、1ヵ月ほどシシュマレフの人たちと一緒に生活してみたいと思っています。しかし私はシシュマレフに知人がいません。よろしければ、私は受け入れてくださるご家族を紹介いただけないでしょうか。私は、アラスカの大自然や、野生生物、日常生活を知りたいのです。
私の手紙は以上です。拙い英語をお許しください。早くお返事いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

敬具

星野道夫

星野道夫の手紙

親愛なる星野様

お返事が遅くなり、すみません。私たちの家に滞在していただけるかどうか妻と話し合いました。何月にいらっしゃるのか教えてください。
6月と7月、私たちはトナカイの世話をしながら大半の時間を村で過ごします。7月10日から15日まではトナカイの角を取り、印をつける作業をします。
いつごろ到着されるか、予定を知らせていただけると助かります。また、ノームからシシュマレフまでの交通も手配して差し上げられると思います。
私たちはあなたを歓迎いたします。

敬具

クリフォード・ウェイオワナ

この手紙を受け取り、実際にアラスカを訪れ、26歳の時にアラスカを拠点に活動を始めるようになります。

アラスカの自然に惹かれ、アラスカの人々に愛され、多くの出会いとともに、アラスカに住んだ星野道夫さん。
この物語のスタートだけでも、星野道夫さんの魅力が伝わるかと思います。

②アラスカそのものを捉えた写真

星野道夫さんの写真の対象はアラスカでしたが、そのジャンルは多岐に渡ります。

息を呑むような美しい動物写真はもちろん、そこで暮らす人々、伝統的な文化であるクジラ漁、一瞬の四季を感じさせる植物トーテムポールやアラスカの神話など、被写体となる対象はアラスカの全てでした。

シロクマたちの動物写真

伝統的なクジラ漁

アラスカに暮らす人々

きっと動物写真だけだったら、こんなに語り継がれる作品群にはならなかったでしょう。
アラスカの全てを愛したからこそ、それを写真に撮ることができた星野さん。インターネット上にもあるので、ぜひ写真を見てみてください。

►画像検索:「星野道夫 写真

③大切ななにかを伝えてくれる名言の数々

写真家の星野道夫さんの写真はもちろん魅力的ですが、その語りを綴った書籍も人気があって、稀代の文筆家として知られています。
旅をする木」に描かれている「もう1つの時間」の話や、「長い旅の途上」の「ワタリガラスの神話を捜して」の話は、その強くて優しい言葉に、きっと惹かれることでしょう。

僕が好きな星野道夫さんの言葉をいくつか紹介します。

一年に一度、名残惜しく過ぎてゆくものに、この世で何度めぐり合えるのか。
その回数を数えるほど、人の一生の短さを知ることはないのかもしれません。
アラスカの秋は、自分にとって、そんな季節です。『旅をする木』
彼女が打たれたものは、フレームの中の巨大なクジラではなく、それを取り巻く自然の広がりだったのだろう。その中で生きるクジラの小ささだったのだろう。そして、一瞬ではあったが、彼女はクジラと共有した時間だった。
東京に帰って、あの旅のことをどんなふうに伝えようかと考えたのだけれど、やっぱり無理だった。『旅をする木』

長く、厳しい冬があるというのはいいことだ。もし冬がなければ、春の訪れや、太陽の沈まぬ夏、そして美しい極北の秋にこれほど感謝することはできないだろう。もし1年中花が咲いているなら、人々がこれほど強い花に対する思いを持てないだろう。

 

『長い旅の途上』

子供の頃に見た風景が、ずっと心の中に残ることがあります。ルース氷河で見た壮大な自然が、そんな心の風景になってくれたらと願います。いつか大人になり、様々な人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり、勇気を与えられたりすることがきっとあるような気がするからです。

 

『長い旅の途上』

自分が本当に好きなことをやっていれば、他人がそれを見て辛そうだと思っても、本人にとってはそれほどではないんですよね。好きなことをやると言うのは、そういうことなのだと思います。

『魔法のことば』

当たり前のことですが、やっぱりどの民族でも、どの国でも、そこの暮らしている人にとってはその場所が世界の中心で、そういうふうに世界は成り立っているんだと言うことが、本当の実感としてわかった。それが僕にとって旅の1番の大きな収穫でした。

 

『魔法のことば』

いかがでしょうか?

強さと、優しさが混在した言葉を届けてくれる星野さんの言葉は、多くの人の心を惹きつけます。
ぜひ、どれか一冊を手にしてみてください。

星野道夫さんの書籍を紹介する池澤夏樹さんの紹介文がとても印象的なので引用します。

彼は本当に大事なことしか言わなかった。
そして本当に大事なことは何度でも言った。

池澤夏樹

まさに、星野道夫を表現した一文ですね。

④次々と拡がっていくアラスカへの興味

星野道夫さんは21歳で初めてアラスカを訪れてからはしばらく日本で過ごし、26歳にアラスカ大学に入学して本格的にアラスカに住み着くようになります。

最初は興味の対象が野生動物や圧倒的な自然美でしたが、徐々にその土地で暮らす人々や文化に移っていき、ブッシュパイロットの飛行士や伝統的なクジラ漁へ、直子夫人と出会ってからは花の魅力に惹かれるようになり、朽ちたトーテムポールなどの過去の文化、アラスカの神話へと興味が拡がっていきます。

中でも遺作となった「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて (文春文庫)」の文章が格別に面白い。

その本はワタリガラスの伝説を追うという大きなテーマでした。しかし、その連載途中で事故により突然に亡くなってしまったため、完遂されなかった。

インディアンでありシャーマン的人物であるボブとの出会いによって、インディアンの精神世界に急速に引き込まれていく様子がとても印象的な一冊です。

 

アラスカに伝わるワタリガラスの神話を伝承するボブ

そうやって、次々と興味をもち、行動し、発信していく星野道夫さん。
その人間的な魅力にも、僕はとても惹かれます。



星野道夫さんのオススメの本・写真集

1.
旅をする木


旅をする木 (文春文庫)

アラスカを愛し、アラスカに愛された写真家・星野道夫さんの代表作が「旅をする木」です。

アラスカの絶対的な自然
太古の昔から変わることがないカリブーの大移動
人々が語り継いできた神話の世界
芯に刺さる言葉を持ったブッシュパイロット達
クジラやシロクマたちの不思議な行動
短い夏や長い冬の間に彩る春や秋の美しさと季節の移り変わり。

それらを温かく優しい言葉で描写しています。

この本を読んだ以前と、この本読んだ以後で、なにかが変わった。
大袈裟ではなく、そういった人は多いような気がしています。

 

ある人は仕事を辞めたかもしれないし、
ある人は日常の尊さに気がついたかもしれない。
ある人は旅立ったのかもしれないし、
ある人は日々の些細な変化に目を向けるようになったのかもしれない。

僕にとって旅をする木は、この世界を旅しようと思ったキッカケになった一冊です。

 

彼女が打たれたものは、フレームの中の巨大なクジラではなく、それをとりまく自然の広がりだったのだろう。その中で生きるクジラの小ささだったのだろう。そして、一瞬ではあったが、彼女がクジラと共有した時間だった。
東京に帰って、あの旅のことをどんなふうに伝えようかと考えたけれど、やっぱり無理だった。

時が過ぎていく儚さをここまで完璧に表現する文章を、僕は他に知りません。
この文章に出会えただけで、この本に出会えてよかったと思えます。

2.
長い旅の途上


長い旅の途上 (文春文庫)

人間の豊かさとは、人間の幸とは、アラスカを通して星野道夫さんが学んだことを、僕たちに語りかけてくれる一冊です。
写真を交えた短いエッセイがたくさん掲載されており、きっとこの一冊を読めば星野さんのアラスカでの日々を追体験できるはずです。

どこから読んでもいいし、読まなくてもいい。いつ止めてもいいし、何度読んだっていい。
星野道夫は、いつだって大切なことを伝えてくれます。そして、大切なことは何度でも、伝えてくれる。
あなたが読みたいときに、読みたいページから読むことをオススメします。

 

この本で、星野道夫さんは「自然には二種類ある」と話しています。

人間には、二つの大切な自然がある。

日々の暮らしの中でかかわる身近な自然、それは何でもない川や小さな森であったり、風がなでてゆく路傍の草の輝きかもしれない。

そしてもう一つは、訪れることのない遠い自然である。ただそこに在るという意識を持てるだけで、私たちに想像力という豊かさを与えてくれる。

そんな遠い自然の大切さがきっとあるように思う。

『長い旅の途上』 星野道夫

僕はこの本から自分の身近にある自然をとても強く意識するようになりました。

►参考:アラスカを撮影した写真家、星野道夫さんの言葉「身近な自然を感じられる場所」の大切さについて

 

子どもの頃に見た風景が、ずっと心の中に残ることがあります。ルース氷河で見た壮大な自然が、そんな心の風景になってくれたらと願います。
いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり、勇気を与えられたりすることがきっとあるような気がするからです。

3.
魔法のことば


魔法のことば

星野道夫さんの講演をまとめた一冊です。
この本を読むと、星野道夫さんは偉大な写真家でもあり、稀代の文筆家でもあり、ストーリーテラーであったことが伝わってきます。

池澤夏樹さんが「大事なことしか言わなかった。そして本当に大事なことは何度でも言った」と表現していますが、まさにこの本には大切なことが繰り返し書かれています。

講演をまとめた一冊ということで、星野さんの息遣いや語りを感じられる本です。

アラスカを旅していて、「あと100年くらい早く生まれていたらよかった」という思いがいつもある中で、初めてカリブの大移動に出会った時、「間に合った」と言う気持ちをすごく強く持ったんですね。もう1000年も2000年も同じような時間が流れていて、今も同じようにカリブーが旅しているということが、本当に不思議な気がしたのです。

4.
森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて


森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて (文春文庫)

物語は原住民のアサバスカン族やハイダ族の先住民が、伝承しきた「ワタリガラスの神話」をテーマとしています。
ワタリガラスの伝説を追うというとても興味深いテーマですが、事故によりこの世を去ったことで完成されぬままそのテーマは終わりを迎えました。

古くから現地に住む民族であるインディアンのシャーマン的人物・ボブとの出会いにから、インディアンの精神世界に急速に引き込まれていく様子がとても印象的な一冊です。アラスカの自然美から、もっと深いところへ旅を続けたことで生まれた一冊です。

ボブとの出会いのシーンは、文章でありながら本当に音が止まったかのような世界が拡がり、精神世界の深いところを旅している感覚を味わえます。

この本の完成形を読みたかった。

人間がもし本当に知りたいことを知ってしまったら、私たちは生きてゆく力を得るのだろうか。それとも失ってゆくのだろうか。そのことを知ろうとする想いが人間を支えながら、それが知り得ないことで私たちは生かされているのではないだろうか。
彼女とかって、付き合ってる時はあんなに一緒で何でも知ってたのに、別れると、ほんとに何にも分かんなくなりますよねえ。
だよなあ。

5.
新版 悠久の時を旅する


新版 星野道夫 悠久の時を旅する

星野さんの写真と文章に触れたければ、この本が最もオススメです。
代表的な写真や、本に書かれた言葉をまとめら総集編のような一冊です。

星野さんがどうしてアラスカに惹かれたのか、アラスカとの出会い、動物たちとの一瞬の光景、追い求めたカリブーやシロクマ、トーテムポールやアラスカの神話。

どれだけ時間が経っても色褪せることのない星野道夫の作品がここに詰まっています。
決定版。この本は一生持ち続けるでしょう。

 

星野道夫さんについて

アラスカを旅した写真家・星野道夫さんの魅力についてと、オススメの本・写真集を紹介しました。
あまりに愛が溢れてしまい、かなり長い文章になってしまった(笑)

星野さんの書いた本は他の特集記事でも紹介しています。

►参考:心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文22冊」
►参考:本当にオススメする「写真家が書いた本」

 

また、いろいろなジャンルのおすすめの本を紹介する記事もあるので、興味が湧いた方はぜひ読んでみてください。

<おすすめの本を紹介する記事>
■第1弾は本当にオススメする写真家が書いた本
■第2弾は本当にオススメする「エッセイ」
■第3弾は本当にオススメする「サッカーにまつわる本」
■第4弾は心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文20冊」
■第5弾は本当にオススメする「ルポタージュ」
■第6弾は本当にオススメする「日本の現代小説」
■第7弾は「家族をテーマとしたオススメの写真集7選」
■第8弾は「旅写真」をテーマとしたオススメの旅写真集12冊
■第9弾は誰かに贈りたくなるプレゼント本50冊
■第10弾は僕が最も好きな小説家・伊坂幸太郎作品ベスト10
■第11弾は「アラスカを旅した写真家・星野道夫の魅力とオススメの本・写真集」←※今回の記事※
■番外編:心からオススメできる面白い映画12作品

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