村上春樹のおすすめエッセイ5選を紹介【エッセイを書かせて一番面白い作家は村上春樹】

小説家として名高い村上春樹さんですが、実はエッセイ作品がべらぼうに面白いことをご存知でしょうか?
村上春樹さんのエッセイは、旅行記・紀行文、趣味(マラソン・レコード)、人生相談、海外生活など、様々なジャンルに渡ります。
村上春樹さんの作品は『小説よりエッセイのほうが好き』という方も意外に多くいますよね。今回は、そんな村上春樹さんのエッセイ作品からオススメの5作品を紹介します。

『本当に面白いオススメの本』ジャンルごとに紹介

村上春樹のおすすめエッセイ5作品を紹介

村上春樹さんの小説作品はちょっと読みにくい…という方も、ぜひエッセイを読んでほしいです。ちょっと気が抜けていて読みやすく、ユーモアがあって、文章の美しさを感じるという見事な調和がとれています。

新幹線や飛行機などの長時間移動にオススメなので、ぜひ手にとってみてください!

ラオスにいったい何があるというんですか?

ラオスにいったい何があるというんですか?

▶どんな本?

村上春樹さんの紀行文は「遠い太鼓」や「辺境・近境」など、これまでいくつも出版されていますが、2010年代の紀行文はきっとこの本だけなはず。
以前に住んでいたボストンや、アイスランド、「ノルウェイの森」を書いたギリシャの島、ラオス、ポートランドなど、様々な旅について書かれた一冊です。

こんなに文章が上手い人が「旅」について言語化すると、こんな表現ができるんだと思わず唸ってしまったことを覚えています。

『ラオスにいったい何があるというんですか?』に書かれた名言

僕がラオスから持ち帰ったものといえば、ささやかな土産物のほかには、いくつかの光景の記憶だけだ。
でもその風景には匂いがあり、音があり、肌触りがある。そこには特別な光があり、特別な風が吹いている。何かを口にする誰かの声が耳に残っている。そのときの心の震えが思い出せる。
それがただの写真とは違うところだ。それらの風景はそこにしかなかったものとして、僕の中に立体として今も残っている。これから先もけっこう鮮やかに残り続けるだろう。
それらの風景が具体的になにかの役に立つことになるのか、ならないのか、それはまだわからない。結局のところたいした役には立たないまま、ただの思い出として終わってしまうのかもしれない。しかしそもそも、それが旅というものではないか。それが人生というものではないか。

 

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

▶どんな本?

村上春樹さんは、仕事を淡々と真面目にこなすイメージが強くありますが、マラソンランナーとしても同じで淡々と真面目に走ります。
25年にわたって世界各地でフル・マラソンや100キロマラソンやトライアスロン・レースを走ることを通して、村上春樹さん自身が自分のやりたいこと(やるべきこと)に対してどのように考え、向き合ってきたのかが書かれている本です。

走ることを仕事や人生に置き換え、物事の向き合い方について考えさせられる一冊です。

『走ることについて語るときに僕の語ること』に書かれた名言

人生は基本的に不公平なものである。それは間違いのないことだ。しかし、たとえ不公平な場所にあっても、そこにある種の「公平さ」を希求する事は可能であると思う。そこには時間と手間がかかるかもしれない。あるいは、時間と手間がかかっただけ無駄だったね、ということになるかもしれない。そのような「公平さ」にあえて希求するだけの価値があるかどうかを決めるのは、もちろん個人の裁量である。
小説を書こうと思い立った日時はピンポイントで特定できる。1978年4月1日の午後一時半前後だ。その日、神宮球場の外野席で一人でビールを飲みながら野球を観戦していた。(中略)そしてその回の裏、先頭バッターのデイブ・ヒルトン(アメリカから来たばかりの新顔の若い内野手だ)がレフト線にヒットを打った。バットが速球をジャストミートする鋭い音が球場に響きわたった。ヒルトンは素速く一塁ベースをまわり、易々と二塁へと到達した。僕が「そうだ、小説を書いてみよう」と思い立ったのはその瞬間のことだ。晴れわたった空と、緑色をとり戻したばかりの新しい芝生の感触と、バットの快音をまだ覚えている。そのとき空から何かが静かに舞い降りてきて、僕はそれをたしかに受け取ったのだ。

職業としての小説家

職業としての小説家

▶どんな本?

村上春樹さんが、小説家として仕事について語る仕事論です。
小説を書くと決めた日のことや、物語を生み出すためのプロセス、小説への向き合い方など、村上春樹さんの生きる姿勢が見事なまでに描かれた一冊です。
「職業としての小説家」の名言を後で紹介しますが、そこに書かれた神宮球場での出来事は、エピソードとしてなんとも言えない美しさがありますよね。

僕はこの本を読んでいる時にずっと興奮しっぱなしだったことを覚えています。『書く』ことについて、ここまで美しい言葉で事象を捉えられる人はいないですね。

『職業としての小説家』に書かれた名言

僕は三十数年前の春の午後に神宮球場の外野席で、自分の手のひらにひらひらと降ってきたものの感触をまだはっきりと覚えています。その一年後に、やはり春の昼下がりに、千駄ヶ谷小学校のそばで拾った怪我をsいた鳩の温もりも、同じ手のひらに記憶しています。
そして「小説を書く」意味について考えるとき、いつもそれらの感触を思い起こすことになります。僕にとってそのような記憶が意味するのは、自分の中にあるはずの何かを信じることであり、それが育むであろう可能性を夢見ることでもあります。そういう感触が自分の内にいまだに残っているというのは、本当に素晴らしいことです。

村上ラヂオ

村上ラヂオ

▶どんな本?

今回紹介する5冊の本の中では一番エッセイらしい本です。雑誌「anan」に掲載された50のエッセイをまとめた本で、日々の出来事から感じたことをツラツラと綴っています。村上春樹さんが作った言葉「小確幸(しょうかっこう)」→【小さいけれど、確かな幸せ】が詰まった一冊です。

公園のベンチで食べる熱々のコロッケパン。冬のゴルフコースをスキーで走る楽しさ、楽しいレストランでの大惨事、理想的な体重計の考察など、村上春樹さんのユーモアが散りばめられていて、幸せな気持ちになりながら読むことができる本です。

『村上ラヂオ』に書かれた名言

10代後半位の少年少女の恋愛には、ほどよく風が抜けていく感じがある。もちろんそういう日々はあっという間に過ぎ去り、気がついたときにはもう永遠に失われてしまっているということになるわけだけど、でも記憶だけは新鮮に留まってそれが僕らの残りの人生をけっこう有効に温めてくれる。
「いつもオーバーの中に子犬を入れているような、ほのぼのとした気持ちで日々を送れるといいだろうな。
実際にオーバーの中に子犬を入れて生活するのは、 かなりむずかしそうだけどね」

村上さんのところ

村上さんのところ

▶どんな本?

村上春樹さんが、特設サイトに送られた37465通の質問・相談メールから、3か月半にわたって回答し続けた3716問の答えを、一冊にまとめた質問&相談本。
村上作品に関する素朴なクエスチョンから、日常生活のお悩み、ジャズ、生き方、翻訳小説、社会問題、猫、スワローズ、そして珍名ラブホテルまで村上春樹節健在の回答連発です。

なんと、kindle版ではこのブログの筆者であるSOGENの質問も、村上春樹さんが回答してくださっています。探してみてください!

『村上さんのところ』に書かれた名言

僕が後悔しないためにやっていること?だいたいなにをやっても後悔はします。
大事なのは学ぶことです。いくつになっても学ぶことはたくさんあります。そして人は多くの場合、痛みから学びます。それもかなりきつい痛みから。
大人というのはあくまで容れ物です。そこに何を入れるかというのは、あなたの責任です。達成なんてそんなに簡単にはできません。ちょとずつそのへんのものを容れ物に入れていくことからすべては始まります。

 

村上春樹さんのおすすめエッセイ まとめ

この5冊以外にも、オススメの村上春樹さんの本がいくつもあります。

個人的に特に好きだったのが、小説家の川上未映子さんとの対談本「みみずくは黄昏に飛びたつ: 川上未映子 訊く/村上春樹 語る」です。
川上さんがバカなふりをして、読者の立場になって村上春樹語録を深堀りしていくところが、とても面白かった。

他にも紀行文として根強い人気がある「遠い太鼓」もオススメです。
ギリシャやイタリアで暮らしていたときにノルウェイの森やダンス・ダンス・ダンスを書き上げたそうで、そのギリシャやイタリアでの日々を綴ったエッセイです。
ちなみに僕は、世界一周をしたときに3冊の本を持っていきましたが、1冊はこの本でした。

 
村上春樹さんは小説が世界的に有名ですが、エッセイは肩の力が抜けていて、リズムもよく、とても面白く読むことができます。
ぜひ、手にとってみてください!

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■第17弾は村上春樹のおすすめエッセイ5選
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『本当に面白いオススメの本』ジャンルごとに紹介