心からオススメできる面白い「旅の本・紀行文20冊」

僕が読んだ1200冊からオススメの紀行文を紹介する

2005年から読んだ本を記録し始めて、今まで続けてきた。
きっと生涯この習慣は続くだろう。

1200冊を超えた今、本当にオススメする本を紹介していこうと思う。

オススメの本といっても、ジャンルは多岐にわたる。
1200冊も読んでいれば、おのずと好みがわかってくる。
「僕が選んだ本」という視点を盛り込みたいので、僕ならではのジャンルのオススメ本を紹介しようと思う

今回は、そのシリーズ第4弾「旅・紀行文」だ。

 

第1弾は本当にオススメする「写真家が書いた本」

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「写真家が書いた本」

第2弾は本当にオススメする「エッセイ」

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメするエッセイ

第3弾は本当にオススメする「サッカーにまつわる本

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「サッカーにまつわる本5冊」

私のオススメ記事一覧
http://himatsubushi23.com/category/recommend/

オススメの旅本20選

僕は一番好きな本のジャンルは旅・紀行文だ。
1番好きなジャンルだからこそ本当にオススメの本を紹介したいと思い、とても長い記事を書いた。

旅本のランキング記事は山ほどあるが、ここまで濃密な記事はなかなかないだろう。
きっと、読んだことのない本も多いかもしれない。

写真が多いフワっとした本ではなく、文章で旅を表現している本を多く入れた。
本が好きで、旅が好きな人には刺さる本だと思う。

ちなみにこれはランキングではなく、順不同である。

1.
極夜行/角幡唯介


極夜行

白夜という言葉を聞いたことはあるだろうか?
北極や南極などの緯度の高い地域では、夏の間は夜になっても太陽が沈まない地域があることを社会の時間で習ったことがある方も多いと思う。
タイトルにもなっている「極夜」とはその反対に位置する言葉で、冬の間は朝になっても太陽が昇らない現象である。

探検家・角幡唯介が四年の歳月をかけて太陽の昇らない冬の北極圏を探検する旅をまとめた一冊。
僕の2018年ベスト本だ。

【2018年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

この一冊には、絶望や希望や復活や未知や妄想や無力や前進や誕生や愛情が描かれていて、つまりは人生が描かれている。

死をも覚悟した状況で四ヶ月間の極夜生活の先に見た太陽の光。
その光を例えた表現は本当に感動的で、僕の人生にもリンクし、娘の人生の始まりをも想像させた。

紹介する本の中から心に残った言葉も一緒に紹介したい。

ちなみに2018年に読んだ本の中から強く心に残った20の言葉をまとめた記事も書いた。

2018年に読んだ本から心に響いた20の言葉をまとめてみる

母体という始原の闇空間から生まれ出て初めて目にしたもの、それは光だった。
出生とは、安心・安全な母体空間から未知で危険な外の世界に飛び出すという絶体絶命の瞬間だ。つまり、出生とは人間がひとしく経験する人生で最大の冒険なのである。
冗談ではなく、俺の人生は終わったと思った。
私には短い人生の中で三十五歳から四十歳という期間は特別な期間だという認識があった。なぜなら、体力的にも感性も、経験によって培われた世界の広がりという意味においても、この年齢が最も力のある時期だからだ。
この時期にこそ人は人生最大の仕事ができるはずであり、その時期にできるはずの仕事を最高なものにできなければ、その人は人生最大の仕事、さらに言えば人生の意味をつかみ損ねると、そのように考えていた。

2.
謎の独立国家ソマリランド/高野秀行


謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア (集英社文庫)

タイトルも長いが、本もハードカバーで500ページを超えて、おまけに内容まで情報量がビッシリで重たい。

だいたいソマリランドってなんだよ、ソマリアって言ったら海賊と紛争のイメージしかないけど、そんなところに行けるのかよ、とツッコミたくなるのだが、著者の高野秀明氏曰く
リアル北斗の拳状態のソマリアの中に、独自のシステムや政府を確立したと言われている謎の国家“ソマリランド”が独立国として存在している」とのこと。

しかもそのソマリランドは超絶危険地域に囲まれながら、独立から10数年にわたって平和を維持し、電話やインターネットなどのインフラが充実し、カートという嗜好品を愛用しながら高野さんのような旅行者も暮らしていける、らしい。

誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」をモットーに作品を生み出し続ける高野さんの本領を遺憾なく発揮した渾身の作品。

日本社会とはかけ離れたシステムの中で成り立った社会があり、世界には様々な常識が存在するのだと感じられる一冊。

ちなみに僕は大学生の頃から高野さんの著書が好きでよく読んでいた。
特に「幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)」は、それまで小説ばかり読んでいた僕に旅行記やルポタージュのおもしろさを教えてくれた一冊だった。

また、エッセイも面白く、 ワセダ三畳青春記も、オススメのエッセイとして紹介している。

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメするエッセイ

ワイヤップが言うには、ソマリランドはもともと産業なんて牧畜しかない。首都のハルゲイサも一時は廃墟になった。こんな貧しくて何もない国だから、利権もない。利権がないから汚職も少ない。土地や財産や権力をめぐる争いも熾烈ではない。
「でも、いったん国際社会に認められたらどうなる? 援助のカネが来て汚職だらけになる。外の世界からわけのわからないマフィアやアンダーグランドのビジネスマンがどっと押し寄せる。そのうちカネや権力をめぐって南部と同じことになるよ…」
ワイヤップの言うことは瞠目に値した。ソマリランドは「国際社会の無視にもかかわらず自力で和平と民主主義を果たした」のではなく、「国際社会が無視していたから和平と民主主義を実現できた」と言っているからだ。
そして「今後も無視し続けてくれたほうがいいかもしれない」と言っているのだ。

3.
深夜特急/沢木耕太郎


深夜特急(1~6) 合本版

言わずと知れた紀行文の王道。キングオブ紀行文

沢木耕太郎さんが書いたこの作品を読んで旅に出た若者もきっと多いはずだ。

内容は、バックパッカーの若者が乗合バスでインドのデリーからイギリスのロンドンを目指す紀行文。
ユーラシア大陸を巡る中で様々な人と出会い、異国の文化を肌で感じ、旅を続けていくというもの。

インドからと言いながらも最初にストップオーバーで香港に立ち寄り、マカオへ行く。
そこでの過ごし方がまた面白い。

僕はこの本を大学生の頃に読み、世界を想像し、ウズウズした。
この本自体はかなり古い一冊だが、きっと今の大学生も同じように刺激を受けると思う。

深夜特急の背景を描いた「旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)」もオススメ。

ちなみに沢木耕太郎さんはストーリーテラーとしても魅力的で、毎年クリスマスイブにラジオを放送している。

クリスマスの楽しみは沢木耕太郎のMIDNIGHT EXPRESS

また、ゴロウ・デラックスにも出演し、その哲学を話してくれた。

ゴロウ・デラックス最終回に沢木耕太郎さんが出演した

無性に旅したくなる一冊。

あの夜、私は仲居さんが焼いてくれる甘く柔らかい肉を食べながらこの店の黒光りするような古く暗い廊下を歩きつづけていくろ、その向こうには胸躍る思いをさせてくれる光り輝くような世界があるのかもしれないと思った。
そこには別に光り輝く世界はなかったが、胸躍る思いをさせてくれる瞬間は間違いなくあった。(旅する力)

4.
あの日、僕は旅に出た/蔵前仁一


あの日、僕は旅に出た (幻冬舎文庫)

今は休刊してしまった「旅行人」という雑誌を発行していた著者の蔵前仁一さん。
旅をし、旅行者の声を本にした「旅行人」を発行し、旅を続けた日々が書かれた一冊。

旅行のガイドブックといえば、地球の歩き方が有名だが、地球の歩き方には記載されていないディープな地域を旅行人は出版していた。

チベット、ラダック、アフリカ。

実際に旅行者が旅行し、うまい飯やオススメの宿や国境での注意点を投稿し、生の情報によって作られていた旅行雑誌で、情報ノートのような本だった。

ノンフィクション作家の石井光太さんがデビューする前に投稿してきた話なんかも書かれていて面白い。

まだ何者でもなかった若者が、自分の足で歩き、自分の道を作っていく話はなんだか妙に親近感が湧いて、僕も頑張ろうとやる気になった一冊

この世界をリアリティを持って感じられることが、僕にとって切実な欲求だった。僕は中国大陸の東側に浮かぶ島国の一員に過ぎない。一歩、外へ足を踏み出すと、僕の知らない世界が果てしなく広がっている。それを見ずして、どうやって人生を過ごせというのか。有名になどならなくてもけっこう。世界を見たい。リアルに感じたい。それだけが僕の願いだった。

5.
ツンドラ・サバイバル/服部 文祥


ツンドラ・サバイバル

サバイバル登山家、服部文祥のベスト本

ちなみにサバイバル登山とは、長期山行に装備と食料を極力持ち込まず、食料を現地調達するスタイルの登山。
なのでもちろん狩猟もするし、GPSを持ち込もうとしないし、テントなんかも使わない。

服部さんは情熱大陸、クレイジージャーニー、カリギュラなどメディアにも多数出演。

 

そんな服部さんが、下記の引用文章を書いた。これが感動的で、震えた。

彼は横浜の自宅で動物を捌いたり鶏を飼ったりして暮らしている。
恐らく奇異の目で見られることも今まで多くあっただろうが、彼が毎日を積み重ねて実践してたことを、ツンドラの大地で当たり前のように実践している人に出会った瞬間。

この喜びは、きっと僕にはわかりえない感情だろう。

自分が積み重ねてきことが間違いではなかったし、自分が積み重ねてきたからこそ彼の行動を理解できたし、自分が積み重ねてきたように今も昔も狩猟している人がいるという安心感。

そんな途方も無い感覚を想像させてくれる一冊。

言葉は通じなくても、私にとってミーシャは気心が通じ合う猟仲間であり、ミーシャの存在は私の理想だった。理想の人間に出会い、理解し合えたことは、これまでの自分の生き方が間違いでなかったと確認することでもあった。
狩猟の経験がなければ私は性格にミーシャを理解できたとは思えないし、正しく評価できたとも思えない。
さらにミーシャはミーシャのような狩人が世界中にいるという証拠でもあった。それはそのまま過去にも未来にも、私にとって信用できる狩猟仲間、山仲間が存在するという証拠だとも考えることができるはずだ。

6.
極北へ 石川直樹


極北へ

写真家・石川直樹の旅にまつわるエッセイ。

僕は石川さんを知ったのは写真ではなく文章からだったのだけれど、相変わらず石川さんの文章は想像を拡げるのがうまい。

全ての装備を知恵に置き換えること (集英社文庫)」が今までの様々な旅について感じたことを綴っていたのに対し、今作は極北に特化した文章なのもおもしろい。

極北の世界を体感しに行きたくなる。

動物と人間が同じ目線をもち、お互い畏怖の念をもって向き合える大地は、今や希有な存在である。
「はるか昔、人間と動物が同じ言葉を話していた」という先住民の神話はおとぎ話ではなく、畏れるべき存在をもっていた本来の人間の思考から生まれたものだったのだ。眠っていた野生を呼び覚まし、今見ている世界が世界のすべてではないということを思い出すためには自分と切り離されたものとして風景を眺めるのではなく、自分と繋がる環境として地球を感じなくてはならない。

7.
そして、僕は旅に出た/大竹英洋


そして、ぼくは旅に出た。: はじまりの森 ノースウッズ

だれもが、何者でもなかった頃。
一人の偉大な写真家は、写真家に憧れるただの旅人だった。

導かれるようにノースウッズの森にたどり着き、人々と出会い、写真を撮る楽しさを感じていった著者。

大きな流れに乗ることで、偶然が必然であるかのような不思議な出会いがやってくる。
そんなことを感じさせる一冊。

大切なことは、なにを見ようとしているか、その心なんだよ。こうして並べると、きみがなにを見つけようとしていたかがわかる。花や動物ばかりに目がいきがちだけどね。水滴や雲、森のシルエット、さまざまな色にも反応している。わたしは、そんなきみの視線がとても好きだ。

8.
ラダックの星/中村安希


ラダックの星

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日」で開高健ノンフィクション賞を受賞した中村安希さんが、とある理由からラダックに星を見に行くことになった紀行文。

紀行の描写もさることながら、その心理描写が大変に素晴らしい。
動作ひとつ、視線ひとつ、心の葛藤ひとつが、締め付けられるような苦しさや、虚無感を感じさせる。

インパラの朝でもこんな文章があった。

帰り路の電車の中で、私は窓から夜景をみていた。そこには私が誇りに思い、期待していた母国の街が視界の限りに広がっていた。私の街がそこにあり、生きるべき社会がそこにあり、共に見たいを生きぬいていく同胞たちがいるはずだった。けれどそれは私が抱いた自分勝手な想像であり、楽観すぎる妄想だった。私は再び日本を離れ、街の一員を辞める日がそう遠くないということをこの夜はっきり予感した。

一人の女性を巡って現在と過去が交錯していく表現がなんとも儚く、過去の美しさを知っているからこそ、それがなくなってしまった現在の虚無感が響いてくる。

前に前に。一歩づつ歩き続けたくなる一冊。
ちなみに僕の2018年第2位にランクした本だ。なんとなく、女性にオススメ。

【2018年】本当に読んでよかったオススメ本ランキング11

春がきたら種を蒔き、秋が来たら麦を刈り、たっぷり日に焼けてどぶろくを飲み、酔っぱらってみんなで深夜まで騒ぐ。
もしもラダックに生まれていたら、きっとそうやって生きてきた。私もミヅキも。

9.
アフリカにょろり旅/青山 潤


アフリカにょろり旅 (講談社文庫)

大真面目にふざけたことをやっている人が面白いと感じることは、きっとクレイジージャーニーが人気があることと一致しているだろう。

人が1つの世界に没頭すると、それだけでドラマよりも面白い話が生まれる。

 

筆者は東京大学海洋研究所のウナギ研究グループに属していた。
ウナギは日本でも馴染みのある魚だが、実は当時はまだ多くのことが解明されていなかった。

そもそも、ウナギ全18種類の標本を持っている研究チームすら世界中に存在していなかったし、ニホンウナギがどこで産卵するのかすら誰も知らなかった。

それくらい、近くて知られていない存在だったウナギを、とりあえず全種類集めてみようとアフリカへ旅立ち、苦戦しながら採取していくドラゴンボール的な一冊

 

過酷の状況下でアフリカの大地を駆け回り、2人の若い研究者がウナギを求めて人々と交流し、川を上り、ボロボロになっていく。

現地の人々から見れば「なにをそんな真剣にウナギなんて」と思うものも、研究者の彼らにとってはとてつもなく貴重なサンプルというギャップも面白い。

また、ウナギの生態がドラマチックで神秘的なのも興味深い。

2009年5月、私たちのチームは、天然ウナギの卵を採集することに世界で初めて成功しました。場所はマリアナ諸島西方に連なる海底山脈、西マリアナ海嶺の周辺(グアム周辺)です。
日本からはるか2500キロも離れたところで、ウナギは産卵し、卵が孵化していたんです。

2011年と2012年の調査でも、西マリアナ海嶺周辺で卵を産んでいることが明らかになりました。
遊泳能力に乏しいレプトセファルス(ウナギの稚魚)が海流に乗るだけで、無事、日本にまでたどり着くメカニズム自体が不思議でしかたがない。もっといえば、採集したレプトセファルスを詳しく調べてみると、孵化したと推定される日は、いずれも新月の日に一致することもわかりました。
つまり、月明かりもない真っ暗な夜に、ウナギのオスとメスが大海原の中、ピンポイントと呼べる1か所で出会い、“愛”を育むわけです。これをロマンと言わずして何をロマンというのでしょう(笑)

 

ふざけたことを真面目にやりたくなる一冊。

その時私は、初めて生態学研究が何も作り出さないのではなく、自分自身が作り出したものを料理できないだけだったことに気がついた。
思えばアンデスの友人たちも夜空を見上げて、星の不思議について語り合っていた。たとえ貧しくとも、人が人である限り、知的好奇心は、心の栄養になっていることを知った。そして私は、博士課程への進学を決意したのだった。

10.
木曜日のボール/近藤篤


木曜日のボール

世界中を旅しながら、サッカーボールのある風景を撮影していく写真家、近藤篤

日本、エジプト、トルコ、キューバ、アルゼンチン。

筆者にとっての特別な場所、ブエノスアイレス。
筆者が夢を追いかけ、写真家になった場所、ブエノスアイレス。

サッカーボールをめぐる70の写真と、55のお話をまとめたフォトエッセイ。
愉快な話、哀しい話、カメラを始めた話、思い出したくもない話。

有名・無名を問わず、サッカーを通して人生を生きている人たちがここにいる。
この本には、人が自らの足で歩んでいく姿が描かれている。

もちろん「本当にオススメするサッカーにまつわる本」でも紹介した。

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「サッカーにまつわる本5冊」

僕は近藤さんの「ボールピープル」という写真展を新宿に見に行った。
その時に書かれていたカズこと三浦知良さんについて書かれた文章が強く印象に残っている。

日本対コートジボワール戦の前日、日暮れのレシーフェ、ボアビアージェン通り沿いのビーチサッカーボールを追いかける子供たちの写真を撮っていると、後ろから名前を呼ばれた。
振り向くと、ジョギング姿のカズが足踏みしながらそこに立っていた。

日本サッカー協会のアンバサダーとしてこちらに来ているのは知っていたけれど、まさかこんなところで会うよは夢にも思っていなかった。
W杯の撮影に来て、偶然カズに出会う。なんだか嬉しかったので、カメラをバッグにしまい、すこし雑談でもしようと一緒に走り始めた。
100mほど走ったところでカズが言った。
「ねえ、ねえ、なんでオレを撮らないの?」
相変わらず、カズはカズだ。

25年くらい前、サンパウロで初めて会ったときから、彼はいつもこうだった。朗らかで、瞳をキラキラと輝かせ、目立ちたがりやで、そしてサッカーを自分の身体と心の中心に置いて生きていた。サッカーがうまくなるためには、誰よりも努力する覚悟があり、そしてたぶん誰よりも努力していた。

ワールドカップには世界中のサッカー好きが集まる。
カズさん、どう考えても君は、ワールドカップの舞台に立つべき人だったよ。

特別な日常を紡いだ一冊
大好きな写真エッセイ。

ブエノスアイレスのことはなにも知らなかった。でも、何も知らなくてもよかった。あのときは動くこと自体が目的だったから。カテドラルがどこにあるか、美味しいレストランがどこにあるか、そんなことはどうでもよかった。全て着いたらわかることだった。

僕はブエノスアイレスでいろいろな人と知り合い、いろいろなことを体験し、いろいろなことを学んだ。それは東京に住み続けていては決して学ぶことのできないものだった。
ブエノスアイレスは僕にいろいろなものを与えてくれた。
そして、何一つ奪わなかった。

11.
行かずに死ねるか!/石田 ゆうすけ


行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫)

世界には色々な旅人がいる。
リュックだけを背負って旅するバックパッカー、バイクで旅を続けるバイカー。
リヤカーを引きながら旅する超人なんかもいる。

この本の著者、石田ゆうすけさんはチャリダー
自転車で旅をするスタイルだ。

石田さんはチャリダー界のカリスマで、この本を読んでチャリダーとして旅だったという人に何人か出会った。

一生に一度、こんな旅をしてみたくなる一冊。

なんで世界一周なの?
理由はいろいろある。だけど根本の部分はひどく頼りないのだ。ただ、やりたかった。せっかく生まれてきたのだから、世界中を全部この目で見てみたかった。でもそんなことをすると、あまりに単純すぎて、言っている本人でさえしらけてしまう。

12.
EARTH GYPSY/naho maho


EARTH GYPSY(あーす・じぷしー)-はじまりの物語-

恐らく今回紹介している本の中ではちょっと異色の本。

普通の生活を送っていた双子姉妹が、今の生き方をはじめるまでの過程が書かれていて、もっと言えば旅や紀行文というよりは、「流れ」に乗って旅に出たらいろいろなことが好転していった、という引き寄せの話が中心に書かれている。

「ああ、そういえば僕が旅に出たのは…」とか、「写真に本気になろうと思ったときに石川直樹さんのワークショップがあって、一歩を踏み出してから流れが変わったなあ…」とか、自分に置き換えることができた。

「人生をよく見て生きよう」と感じたくなる一冊。

本当のやりたいことは他にあるんじゃないか?という心の声は「絶対聞いちゃいけないこと」になっていた。だって今までの苦労や、私の証明が全部なくなってしまうから。私には何の価値も無くなってしまうから。だから本当の気持ちは全部心の奥に隠したんだ。何十にも蓋をして。絶対見てはいけないもの、それは自分の本音だった。

13.
ラオスにいったい何があるというんですか?/村上 春樹


ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (文春文庫 む 5-15)

村上春樹さんのエッセイは大好きで、恐らくほとんど読んだ。

日々の出来事や紀行文はもちろん、「小説家という仕事」について書かれた本も出版しているが、どれも「言語化」が抜群に上手で、読んでいて多くの気づきを与えてくれる。

僕は15年前から本を読んだら心に残った文章を一冊のノートにまとめる作業をしているのだが、村上春樹さんの文章を読んだら、いつもたくさんのメモをすることになる。

15年前から私が本を読んだら必ず行っている2つの習慣

旅について書かれた最後の文章がとても好きで、旅ってそうだよなと何度も読み返した。

僕がラオスから持ち帰ったものといえば、ささやかな土産物のほかには、いくつかの光景の記憶だけだ。
でもその風景には匂いがあり、音があり、肌触りがある。そこには特別な光があり、特別な風が吹いている。何かを口にする誰かの声が耳に残っている。そのときの心の震えが思い出せる。
それがただの写真とは違うところだ。それらの風景はそこにしかなかったものとして、僕の中に立体として今も残っている。これから先もけっこう鮮やかに残り続けるだろう。
それらの風景が具体的になにかの役に立つことになるのか、ならないのか、それはまだわからない。結局のところたいした役には立たないまま、ただの思い出として終わってしまうのかもしれない。しかしそもそも、それが旅というものではないか。それが人生というものではないか。

14.
旅情熱帯夜/竹沢うるま


旅情熱帯夜 1021日・103カ国を巡る旅の記憶

写真家の竹沢うるまさんの文章は、心に刺さる。

以前にも書いたが、写真家の文章が好きだ。

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「写真家が書いた本」

竹沢さんの書く文章や些細な光を写し出す写真は、多くの人が何気なく見過ごしてしまう日常の出来事に、彼が気づき、足を止め、切り取っているからなのだと気づかせてくれる。

本を読むだけで、旅を通して自分との対話を深く実践しているのがわかる。

彼の旅を追体験することで、自分まで旅をしているような、そんな気持ちを味わえる一冊。

何となく、この子に自分のこれまでの旅の話を伝えたくなった。
列車をいくつも乗り継ぐと、その先に自分の知らない世界があり、またさらにバスを乗り継ぐと、どこまでも行くことができる。
山を越え、海を渡り、砂漠を歩き、川を下る。そこには見知らぬ人々が住んでいて、聞き慣れない言葉を話し、不思議な伝統とともに生きている。
旅人として彼らの日々のなかに溶け込み、未知の世界に融和していく。
そこに知らなかった価値観があり、幸せがあり、また危険がある。それをひとつひとつ経験して、一歩ずつ進む。
そんな冒険譚を、話したくなった。

15.
アラスカへ行きたい/石塚元太良


アラスカへ行きたい

アラスカへの憧れはずっとある。
それはきっと星野道夫さんが僕にもたらしてくれたもので、星野さんが見た景色を一度見てみたいとずっと思っている。

この本はアラスカのガイドブック的な本で、広大なアラスカの大地のどこにどんな魅力があるかが書かれている。
著者は石塚元太良さんという写真家で、アラスカの自然豊かな大地に不自然に伸びる石油を運ぶ巨大なパイプラインを撮影した写真集が有名だ。

この本を持ってアラスカへ行く。
僕の夢の1つだ。

エスキモーと雪にまつわる大好きな挿話がある。
彼らエスキモーの言語には、英語や美本後で「雪(snow)」と一言で表してしまうものに対して、さまざまな異なる種類の雪を示す言葉があるという。
例えば「アニュイ」は降りしきる雪、「アピ」は地面に積もった雪、「クウェリ」は木の枝に積もる雪、「ブカック」は雪崩を引き起こす雪、「スィクォクトアック」は一度とけて再凍結した雪…などなど。
日本語にも「粉雪」や「ざらめ雪」といった表現があるけれど、彼らは多くの日本人よりもずっと高い解像度で雪を見分けているということになる。こんなふうに、同じように見えるひとつのものを見ても、人によってその見え方はまったく違うし、また一人の人間の中でもその見え方は刻々と変化する。
旅することの醍醐味のひとつは、このような「経験を積むことで得られる視点の変化」ではないだろうか。

16.
ライド・ライド・ライド/藤代冥砂


ライド・ライド・ライド

写真家の藤代冥砂さんは、まだ何者でもなかった若かりし頃に、世界中を旅した。
飛行機に乗り、バスに乗り、女に乗る。
愛する人と出会い、愛した人と別れ、また愛する人と出会った。

美しい景色の話など、なにひとつ書かれていない。
いろいろな人と出会い、心の浮き沈みを体験し、移動することこそが彼にとっての旅なのだ。

もちろんこの本も「オススメする写真家が書いた本」で紹介した。

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「写真家が書いた本」

もう、家に帰ろう」では優しさに包まれた達観したような文章を書いた藤代さん。

そんな藤代さんからはあまり想像できないちょっぴりセンチメンタルな描写も、若さと捉えればこの時期にしか書くことが出来ない特別な文章なのだと納得できる。

もしかすると、僕が世界で一番好きな本はこの本かもしれない。

ペギーと会うことは二度とないだろう。ユージンと会うこともないだろう。これから、二・三十年生きたとしてももう会えない人たちなのだ。
ペギーと交わしたキスは最後のキスだ。
たぶん生まれ変わったら忘れてしまう。だけど、生きているうちは、ずっと覚えているだろう。自分の娘が誰だかわからなくなるほどボケてしまったあとでも、きっと忘れないことがある。誰にでもそんな十日間があるはずだ。
あの、サイゴンでの十日間がなかったら、私の旅はもっと早くに終わってしまったかもしれない。つまり、生きることの意味の半分を失うことになっていただろう。そうだったとしたら、意味が半分しかない人生はどんなふうにすぎていったのだろう。
静脈を震わす青さに満ちた明け方の五分を知っていたとしても、ギターアンプから初めて音を出した時の喜びを知っていたとしても、それはとるに足りないことだ。どうでもいいことだ。
空港に向かう車の中での思いが好きだ。どんなに失っても、また何かが勝手に始まっていく。そんな、どうしようもなさが好きだった。

17.
旅をする木/星野道夫


旅をする木 (文春文庫)

アラスカを愛し、アラスカに愛された写真家・星野道夫さんの代表作が「旅をする木」だ。

アラスカの絶対的な自然
太古の昔から変わることがないカリブーの大移動
人々が語り継いできた神話の世界
芯に刺さる言葉を持ったブッシュパイロット達
クジラやシロクマたちの不思議な行動
短い夏や長い冬の間に彩る春や秋の美しさと季節の移り変わり。

それらを温かく優しい言葉で、星野道夫が紡いでくれている。

この本以前とこの本以後で、なにかが変わった。
もしかすると、大袈裟ではなく、そういった人は多いのかもしれない。

ある人は仕事を辞めたかもしれないし、
ある人は日常の尊さに気がついたかもしれない。
ある人は旅立ったのかもしれないし、
ある人は日々の些細な変化に目を向けるようになったのかもしれない。

僕にとって旅をする木は、この世界を旅しようと思ったキッカケになった一冊である。

もちろんこの本も「オススメする写真家が書いた本」で紹介した。

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「写真家が書いた本」

一年に一度、名残惜しく過ぎてゆくものに、この世で何度めぐり合えるのか。
その回数を数えるほど、人の一生の短さを知ることはないのかもしれません。
アラスカの秋は、自分にとって、そんな季節です。

時が過ぎていく儚さをここまで完璧に表現する文章を、僕は他に知らない。
この文章に出会えただけで、この本に出会えてよかったと思える。

星野道夫の旅をする木に、栞はいらない。
どこから読んでもいいし、読まなくてもいい。
いつ止めてもいいし、何度読んだっていい。

星野道夫は、いつだって大切なことを伝えてくれる。
そして、大切なことは何度でも、伝えてくれる。

あなたが読みたいときに、読みたいページから読むことをオススメする。

18.
作家と一日/吉田修一


作家と一日 (集英社文庫)

ANAの機内誌「翼の王国」で連載されている吉田修一さんのエッセイをまとめた本。
ANAの飛行機に乗ったことがある方は、一度は目にしたことがあるかもしれない。

吉田修一さんは悪人や横道世之介などの小説家として有名。

旅先で感じるふとした瞬間、切り取った風景、出会った誰かとの大切なひととき、毎日の暮らしの中で起きるちょっとした奇跡と、心の揺らぎ。

旅先で感じた些細だけれど忘れたくないことを、丁寧な文章で綴っています。

きっとあなたの過去にもそんな物語があって、その出来事を回想する一冊。

考えてみれば、このように旅先で偶然出会い、その後も頻繁ではないにしろ、付き合いが続くようなことがわりと多い。
もちろん、一人旅も多いし、一人で歩き回ることが好きなので、大勢でいる人よりも話しかけられる機会は多いのだろうが、旅先で触れ合う一瞬というのは、なぜ日常の一瞬よりも強く印象に残るのだろうか。

19.
プラントハンター/西畠清順


プラントハンター 命を懸けて花を追う (徳間文庫カレッジ)

プラントハンター・西畑清順をご存知だろうか?

知らない人はyoutubeででも見てもらいたい。
https://www.youtube.com/watch?v=VuDzXl5Oj6M
僕は時々かっこよい男性の動画を片っ端から見て、本が出版されていれば片っ端から読むのだが、彼にハマって様々なメディアを見た。

ちなみに過去には写真家の石川直樹さん、坂口恭平さん、ジブリの鈴木敏夫さんなどを巡ったりした。

そもそもプラントハンターってなに?という方も多いかと思う。
プラントハンターとは、有用植物や、観賞用植物の新種を求め世界中を探索する人のこと(wiki)だ。

それは野生に生えている植物かもしれないし、誰かの広大な敷地内に生息しているものかもしれないし、誰かの所有物かもしれない。
それらを適切な方法で処置し、船便で日本まで運搬し、日本で命を継続させる。
その作業がめちゃくちゃかっこいい。

太陽のようにピカピカと光り、優しい眼差しを向けながら力強く話す西畑さん。
きっとすぐにその魅力の虜になる方も多いはず。

ちなみに代々木駅にある代々木ビレッジには、西畑清順さんが世界中から持ってきた植物が植えられています。
とても気持ちの良い空間なので、オススメ。
https://www.youtube.com/watch?v=VAV40upuLaY

コーアン・コー氏はもうすでにあらゆるものを手に入れてるんだよ。豪邸もあるし、自家用機も、何十台というスーパーカーも、ハーレーダビットソンも、自分専用のガソリンスタンドも持っている。
ほしいものを全部手に入れたとき、最後にほしくなったのが、植物だったのだ。

20.
タビノコトバvol.1,vol.2/タビノコトバ

タビノコトバ

最後の一冊は、僕が企画運営に携わっているタビノコトバだ。

旅にまつわる文章や写真を公募し、優秀作品から一冊の本を作り、展示会を開催するという企画
これまで第1回を東京で、第2回を鎌倉で開催してきた。

タビノコトバ

旅での出会いや気づきが書かれた文章は、誰かの旅であるはずなのにいつかの自分の旅であるかのような感覚を受ける。

誰かの旅は、いつかの私たちの旅でもある。

旅を回想したくなる一冊。

勇気を出した一人旅 二人だけの温泉旅行
家族で出かけたドライブ 必然の世界一周あなたの旅の出会いを綴った「タビノコトバ」を聞かせてほしい

心からオススメする旅本・紀行文を随時追加していく

20作品を紹介したが、まだまだ旅に関するオススメの本はあるし、今後も読んでいくだろう。

だが、あえて今回は20作品に絞って紹介した。
ここに紹介した本は僕が1200冊を読み、記録してきた本の中でも自信を持ってオススメできる旅・紀行文だ。

これらの本が好きで、趣味が合うという方は、あなたのオススメの旅・紀行文を紹介してもらえると嬉しいです。

 

関連記事
第1弾は本当にオススメする「写真家が書いた本」

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「写真家が書いた本」

第2弾は本当にオススメする「エッセイ」

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメするエッセイ

第3弾は本当にオススメする「サッカーにまつわる本

これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメする「サッカーにまつわる本5冊」

3 Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です