これまで読んできた1200冊を全て記録している僕が、本当にオススメするエッセイ

2005年から読んだ本を記録し始めて、今まで続けてきた。
きっと生涯この習慣は続くだろう。
1200冊を超えた今、本当にオススメする本を紹介していこうと思う。

オススメの本といっても、ジャンルは多岐にわたる。
1200冊も読んでいれば、おのずと好みがわかってくる。
「僕が選んだ本」という視点を盛り込みたいので、僕ならではのジャンルのオススメ本を紹介しようと思う

今回は、そのシリーズ第2弾「エッセイ」だ。

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エッセイの魅力

【エッセイとは?】
自由な形式で、通常はある1つのテーマをめぐって書かれた散文。
語源は「試み」の意であるフランス語のessaiより。

エッセイというと、小説家が雑誌の月1連載みたいな企画で日々の出来事を綴っているイメージがある。
ANAの機内誌である翼の王国で発表されている吉田修一さんの文章を読んだことがある人も多いのではないだろうか?

個人的にはエッセイはとても好きで、よく読む。

ちなみに朝日新聞が識者120名からアンケートを実施し、平成の30冊を選定した。
どれも素晴らしい本ではあるが、僕が選んだ本はここには入っていない。
でも、それでいいんだと思う。
https://book.asahi.com/article/12182809

 

本当にオススメするエッセイ5作品

1.
えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる/小山田咲子


えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる 新装版

著者の小山田咲子さんは、もうこの世にはいない。
2005年、パタゴニアを自動車で疾走中に横転し、そのまま死亡。享年24歳だった。

この本は、彼女が大学へ進学するとともに上京し、日々の気づきや事柄を綴ったブログをまとめた本である。
言ってしまえば大学生のブログ本。
だが、こんなにも心に響くのはどうしてだろうか。

彼女のことばを紹介したい。

ある人が本気でなにかをやりたいと思った時、その人意外の誰も、それを制止できる完璧に正当な理由など持ち得ない。そんなのあり得ない。

ブログというものは、不思議なものである。

当然彼女に会ったことはないのだが、彼女の繊細な精神が、太陽のような華やかさが、怒りを隠そうともしない素直さが、目の前に浮かんでくる。

僕はこの本を読み終えた後に、しばらく彼女のことばかり考えていた。
心が動く本とは、このような本のことを言うのだろう。

離れて感じる故郷というのは不思議なものだ。そこで過ごした日々を思い出すことは懐かしさとともに少しの後ろめたさと痛みをともなう。
平和で退屈で、皆が何となくやけになっていて、捨ててきたつもりはないのになんとなく戻れない気がする。私の町。

2.
ありがとう、さようなら/瀬尾まいこ


ありがとう、さようなら (MF文庫ダ・ヴィンチ)

瀬尾まいこさんは小説家でありながら、中学校の教員として勤務していた。

中学生の日常には、たまに奇跡のような瞬間が訪れる。
日常はきっと激務で、様々な事件が起こり、流れるように過ぎていくのだろう。
ただ、一年に何度かご褒美のような瞬間がやってきて、瀬尾さんはその瞬間に立ち止まれる感性があるのだ。
なんとなくわかる。

読んだ後に温かな気持ちになる一冊。

実はもう一曲、”決意の朝に”という歌を僕らは練習しています。でも、これは駅伝メンバーが1つにならないと歌いません。1つになったら、大会の前日にみんなで”決意の朝”にを歌いましょう」と宣言した。
歌につられたわけではない。やっぱり仲間の思いには応えなくては、と思ってしまえるのが中学生なのだと思う。
自分が気持ちを曲げてなくてはいけなくても、クラスが動いていることに協力せずにはいられないのが、中学生のよいところだ。

3.
ワセダ三畳青春記/高野秀行


ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

「だれも行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」をモットーに、コンゴに怪獣を探しに行ったり、危険地帯とされているソマリランドの実態を取材しながら本をつくる辺境作家・高野秀行さんのエッセイ。

三畳一間、家賃月1万2千円。
ワセダのぼろアパートで暮らすひと癖もふた癖もある住人たちとの日々を、同じように癖の強い高野さんが書き記す。

そのキャラクターが濃すぎて、私たちの想像の斜め上をいく出来事や思考が飛び交っていき、読んでいておもしろい。
だけど、絶対に実際には関わりたくはない。

ギャグのような日常を大まじめに生きている(書いている)のは、筆者の今の作風とやっぱりリンクする。
大人気ノンフィクション作家の原点的な作品なのではないだろうか。

高野さんの作品に出会ったもう15年くらいが経とうとしているが、やっぱりこの人はおもしろい。

引っ越しの朝は初めての失恋のときとそっくりだった。街がちがって見えるのだ。
朝日を照り返す木々の緑はこんなに美しかったか。近所の中学生がなんと楽しそうにしているのか。近くのラーメン屋から流れる煙は、こんなにもうまそうな匂いを発散させていたのか。
街が客観的に美しい。
私と街が切り離されるように感じる。

4.
断片的なものの社会学/岸政彦


断片的なものの社会学


人が生きていく中で感じたことを、自分の言葉で語られる話はとてもおもしろい。
もうすでに当人すら忘れてしまったような、そんな話を対話を通して探っていくことが、僕の好きな遊びである。

小学校のときに好きだった遊び、それが好きになったきっかけ。
好きな人のどういうところが好きだったのか、どうして嫌われてしまったのか。

もうすでに忘れてしまったような話が、なにかをきっかけにして湯水のようにあふれ出す瞬間。
人と話すことで思い出すこと。ふいに聞こえる音楽や匂いで脳に映像が映し出される瞬間。
この本は、そんな何気ない特別な瞬間を思い出させてくれる。

誰かの人生を聞くことは、自分自身の人生を探ることと同じなのかもしれないと感じさせてくれる。

どんな人でもいろいろな「語り」をその内側に持っていて、その平凡さや普通さ、その「何事もなさ」に触れるだけで、胸をかきむしられるような気持ちになる。
そうした、普段は他の人の目から隠された人生の物語が、聞き取りの現場のなかで姿を現す。
だが、実はこれらの物語は別に隠されているわけではないのではないかとも思う。
それは、いつも私たちの目の前にあって、いつでもそれに触れることができる。

誰もが30年も生きていれば、ストーリーテラーになるだけのストーリーをもっている。
ただ、あまりに日常的に流れていくストーリーに着目することができず、物語は語られることがない。

この本は、そんな物語を丁寧に拾い、綴っている。

人にはそれぞれ物語がある。
そんなことを感じさせる一冊。

5.
走ることについて語るときに僕の語ること/村上春樹


走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

村上春樹さんのエッセイはとてもおもしろい。
彼がいかに真摯に、一つのことに向き合ってきたのかがよくわかる。

紀行文の「遠い太鼓」や、小説家という職業について書いた「職業としての小説家」や、読者の質問に答えた「そうだ、村上さんに聞いてみよう」も、小説とはまた違った楽しみを感じられる。

日本を代表する小説家が30年以上をかけて続けていることは、小説を書くことだけではなく、音楽を聴くことやレコードを集めることだけでなく、ランニングをすることでもあった。

村上さんのエッセイではよく音楽とお酒とランニングのことが語られるが、この本ではランニングについての深い思いが存分に語られている。

そこには、なにかを続ける理由が丁寧に語られていて、僕がなにかを続ける理由も、この本の中に同じように語られている。

僕が言葉に出来なかった思いを言葉にしてくれた、とても素敵な本だ。

人生は基本的に不公平なものである。それは間違いのないことだ。
しかし、たとえ不公平な場所にあっても、そこにある種の「公平さ」を希求することは可能であると思う。そこには時間と手間がかかるかもしれない。あるいは、時間と手間がかかっただけ無駄だったね、ということになるかもしれない。
そのような「公平さ」に、あえて希求するだけの価値があるかどうかを決めるのは、もちろん個人の裁量である。

小山田咲子、瀬尾まいこ、高野秀行、岸政彦、村上春樹

普段は小説家であり、学生であり、社会学者であり、ノンフィクション作家である方々が、普段とはちょっと違ったフィールドで表現する作品は、なんだか新鮮な面白さがある。

スポーツ選手がオフのトレーニングを見せてくれたり、お笑い芸人への密着番組とかに近いのかもしれない。

エッセイ、おもしろい。
ぜひ読んでみてほしい。

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