【読書感想文】馳星周さん著『馳星周の喰人魂』本の内容・感想

この記事では、中央公論新社から出版されている「馳星周さんの著書『馳星周の喰人魂』の書評記事」です。「不夜城」などのハードボイルド小説家が「食」をテーマに書いたら、こんなに旨そうに書くのかと驚く一冊です。

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馳星周さん著『馳星周の喰人魂』とは?

馳星周の喰人魂|馳星周


馳星周の喰人魂

馳星周とは?
『不夜城』にてデビューした小説家。金城一紀さん主演で映画化もされた。外国人マフィアややくざ、不良少年といった暗黒社会の住人が登場人物の作品が多い。愛犬のために軽井沢に別荘を購入し、死後は軽井沢へ転居した。
サッカーにも精通しており、中田英寿氏がヨーロッパで活躍していた頃にはよく観戦に行き、食事を共にしていた。ちなみに僕は随分昔に読んだ金子達仁さんとの共著「蹴球中毒」がおもしろくて馳星周さんの存在を知った。

久しぶりに読みたくなって、馳星周さんがこれまで食べてきた印象的な食事についてまとめられた一冊を再読した。
本書に何度も登場する奇跡の料理人・クマさんが料理する赤坂の「燻」には全ての読者が行ってみたくなるだろう。

食事描写が断トツで上手で、何度も言うが涎がダラダラとでる。

『馳星周の喰人魂』に書かれた馳星周の名言・名文を紹介する

僕は本を読んだら気になった文章をノートに書き記す習慣を、もう15年近く続けている。

インプットの吸収率が圧倒的に上がるし、なにより目に見える形で記録されていくことが自分の自信になる。

本書から気になった文章を紹介する。

わたしは妻と視線を合わせてからおもむろにオノミの握りに手を伸ばした。
「ああ……」
握りを噛んだ瞬間、溜息が漏れた。マグロとも牛とも違う、芳醇な赤身肉と脂の旨さ、絶妙のハーモニーが口の中に広がっていく。赤酢で味を調えたシャリがまた利いている。
初めて食べる味だった。それも絶品の。
「ああ、もうどうしよう。これじゃ、他の鯨肉食べられなくなっちゃうよ」
わたしは、オノミのあまりの旨さに悶絶し、身をよじった。カウンターの向こうでクマさんと奥方が嬉しそうに笑っている。
「まだまだだよ、馳君。誕生日ディナーはこれからだからね」
クマさんが高らかに宣言し、至高のバースディ・ディナーが始まった。

ここには書かないが、トリュフとフォアグラのオムレツリゾットについて書いた章だけでも読んでほしい。

「馳星周の喰人魂」を読んだ感想・まとめ

同じ食事だとしても、誰が表現するかで全く異なるということを考えた一冊。

僕は文章を書くときに食についてあまり意識したことがないし、もしかすると食を表現した文章を書いたことがないかもしれない。

とても参考になった一冊。

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