河野啓|「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 」を読んで考えた

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せっかく読んだ本をインプットしておくだけでなく、アウトプットすることで、その本からなにを得て、なにを感じたかをまとめています。
話題の本、僕が興味のある本、オススメの良書を記事としてまとめていきます。

21冊目は、第18回開高健ノンフィクション賞を受賞した河野啓さん著書「【第18回 開高健ノンフィクション賞】デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」について書いてみる。

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場|河野啓 の書評記事

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場|河野啓

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

第18回開高健ノンフィクション賞を受賞した河野啓さんの「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」について書評記事を書きます。

開高健ノンフィクション賞とは?
行動する表現者として、旺盛な探究心と人間洞察の結晶を作品に昇華し続けた作家・開高健──。小説のみならず、ルポルタージュ文学の傑作「ベトナム戦記」「フィッシュ・オン」「オーパ!」をはじめとする作品群で日本のノンフィクション文学に大きな足跡を残した同氏を記念して創られた賞。
これまでの受賞者は「最後の冒険家 (集英社文庫)」で受賞した石川直樹さん、「空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫)空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」で受賞した角幡唯介さん、「インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日」で受賞した中村安希さんなどがいる。

2018年5月、登山家の栗城史多さんがエベレストで滑落死しました。
栗城さんといえば、元ニートが「冒険の共有」をテーマに、「七大陸最高峰単独無酸素登頂」を目標に掲げ、エベレスト頂上からの生中継を企画したりと話題になった人物です。

反面、多くの登山家が二流どころか三流以下といって評するように「登山家」としての実力は認められておらず、登山家というより実業家と評されていた面もありました。
というのも、単独行とは名ばかりでベースキャンプまで大勢のシェルパに荷物を運ばせ、撤退を決めては高所までシェルパに迎えにこさせ、「冒険の共有」と掲げつつもほとんど登っている姿を映さないところは、本当に登山家なの?とネット上を含めて揶揄されてもいました。

そんな栗城さんが世に出始めた2008年頃に密着取材した著者である河野啓さんが、栗城さんの死後に様々な方にインタビューし、自身の栗城さんとの体験から記した”トリックスター・栗城史多”を描いたノンフィクションです。

なぜ、凍傷で9本の指を失ってからエベレスト最難関の南西壁ルートを選んだのか?
栗城さんが登山活動を通してつき続けた嘘とは?
「七大陸最高峰単独無酸素」の矛盾とは?

栗城さんが誰にも触れさせなかった秘密について書かれた一冊。

開高健ノンフィクション賞を受賞した話題の本で、引き込まれる要素は多くあったのですが、個人的には正直あまり気持ちのいい本ではありませんでした。

その理由について解説します。

「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」を読んで思ったこと

本書では栗城さんの言動の不自然な点や、不義理な点がいくつも描かれている。

このブログではネタバレとなるため詳細は省くが、テレビディレクターとして栗城さんと関わっていた著者も重大な裏切り行為を行われたことにより、距離をとるようになった。また、エベレスト登山では「冒険の共有」と謳いながらも、肝心の登山シーンをほとんど公開することもなく、不自然なルート変更やGPSの動きなどについての取材結果も描かれている。

また、栗城さんが世に出るきっかけとなったそもそもの謳い文句である「七大陸無酸素単独行」という言葉に隠された秘密についても追求している。

読み進めていけばいくほど、メディアで脚光を浴び、注目され、莫大な登山費を集め、自分の力以上のことをし、指を9本失い、それでもエベレストにこだわった栗城さんとは一体なんだったんだろう?という疑問が強くわいてくる。

たくさんの嘘をついたのだろう。
たくさんの批判に傷ついたのだろう。
たくさんの称賛も受けたのだろう。

メディアに注目され、誰かな期待に応えようとして、自分の都合のいいように解釈し、これ以外の選択肢をもつことができなくなっていった男が最後に頼ったものは?

唐突に終焉した栗城劇場の一幕を読んでみてほしい。
開高健ノンフィクション賞受賞作。

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場

この本の評価
面白さ
(4.0)
吸収できた言葉
(3.0)
デザインの美しさ
(4.0)
総合評価
(4.0)

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