『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む|鈴木賢志』あらすじと読書感想文

この記事は新評論から出版されている鈴木賢志さんと明治大学鈴木ゼミ生の著書『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』について書いている読書感想文です。
学生たちがゼミの授業としてスウェーデンの小学校社会科の教科書を読みながら、日本とスウェーデンの教育の違いや、子どもへの教育について考えていく一冊です。
北欧スウェーデンの小学校社会科の教科書で書かれている内容は、やはり日本とは異なっていて「教育」の観点からも面白い一冊でした。
その1冊を、より深く『どこよりも詳しい読書感想文』
読書感想文一覧

1)角幡唯介|エベレストには登らない
2)菅俊一・高橋秀明|行動経済学まんが ヘンテコノミクス
3)中田敦彦|中田式ウルトラ・メンタル教本
4)戸田和幸|解説者の流儀
5)石川直樹|この星の光の地図を写す
6)岸見一郎|哲学人生問答
7)渡邊雄太|「好き」を力にする
8)高橋源一郎|ぼくらの文章教室
9)石川直樹|まれびと
10)堀江貴文|英語の多動力
11)森博嗣|作家の収支
12)鈴木敏夫|南の国のカンヤダ
13)森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在
14)米沢敬|信じてみたい 幸せを招く世界のしるし
15)馳星周|馳星周の喰人魂
16)藤代冥砂|愛をこめて
17)佐藤優|人生のサバイバル力
18)せきしろ|1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった
19)服部文祥|息子と狩猟に
20)ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
21)河野啓|デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
22)幡野広志|他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。
23)内山崇|宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶
24)近藤雄生|まだ見ぬあの地へ 旅すること、書くこと、生きること
25)岸田奈美|家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
26)玉樹真一郎|「ついやってしまう」体験のつくりかた
27)村本大輔|おれは無関心なあなたを傷つけたい
28)小松由佳|人間の土地へ
29)服部文祥|サバイバル家族
30)石川直樹|地上に星座をつくる
31)加藤亜由子|お一人さま逃亡温泉
32)沢木耕太郎|深夜特急
33)ブレイディみかこぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2
34)沢木耕太郎|深夜特急第1巻・第2巻
35)沢木耕太郎|深夜特急第3巻・第4巻
36)いとうせいこう|国境なき医師団を見に行く
37)ちきりん|「自分メディア」はこう作る!
38)村上春樹|村上T 僕の愛したTシャツたち
39)鈴木賢志|スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む|←今回の記事

『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』は、どんな本?

「スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む」本の内容紹介

「スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む」は、明治大学の鈴木賢志教授が学生にスウェーデンの小学校社会科の教科書を読ませ、日本との違いについて考えさせる本です。

小学校社会科の教科書なので、社会、経済、政治、法律などスウェーデン社会の基礎となる内容や考え方が教科書に込められています。

例えば「社会は変化していく」ということをテーマに、こんな描写があります。

スウェーデンの教科書には、金髪の派手な女の子のイラストがあって、「例えば髪型やファッションを変えて規範を打ち破ってやろうとするなら、それを何度も繰り返しているうちに、それで良いのではないかと思われるようになるかもしれません」という解説が添えられています。

この描写だけでも面白いですよね。

スウェーデンの教育が良し悪しという問題ではなく、「こんな国もあるんだよ、こんな視点で教育するのもありだね」と提案してくれるような一冊です。

► 『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』へ

スウェーデンって、どんな国?どんな教育?

スウェーデンはノルウェーとフィンランドに挟まれた北欧の国です。
面積は日本の1.2倍ありながら、人口は1000万人しかいません。

消費税は25%と高いものの、福祉国家として手厚い保障が約束されていて、高い税金を国民に還元している国です。
世界的に人気のIKEAやH&Mはスウェーデンの企業ですね。

肝心のスウェーデン教育はというと、小学校から大学まで学費は全て無料です。小学校の1クラスの生徒数は平均24人と、少人数での学習も実現しています。

スウェーデンの教育理念は「個人個人が自由に生き生きと育つ」としており、誰かと比べることを奨励していないのも特徴です。その結果、小学校6年生まで成績表はありません。

それは素晴らしい!と一概に言えない点もあって、現在スウェーデンは、かつてないほどの学力低下が問題になっています。

『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』内容やあらすじを紹介

この本ではスウェーデンの小学校社会科の教科書を、日本の大学生が読み進めていく成り立ちになっています。

スウェーデンの小学校社会科の教科書で挙げたテーマ
  1. 社会
  2. メディア
  3. 個人と集団
  4. 経済
  5. 政治
  6. 法律と権利

スウェーデンの小学校社会科の教科書の特徴「社会とは?」

『社会』では、「社会とは何かということを、あなたは深く考えたことがあるでしょうか?」という問いから始まります。

法律や規則は変わるものだから、「覚えよう」ではなく「考えよう」をテーマに書かれていることが特徴です。

スウェーデンの小学校社会科の教科書の特徴「メディアとは?」

『メディア』では、大きなニュースになるものとニュースにならないものの違いや、ソーシャルメディア、民主的・独裁的なメディアなどについて書かれています。

「ソーシャルメディアによって、国をより民主的にするためには、どうすればいいでしょうか?」といった発問が特徴的でした。

スウェーデンの小学校社会科の教科書の特徴「個人と集団とは?」

『個人と集団』では、昔と今の家族の違いや、イジメについて書かれています。

「昔は、お父さんの両親や、お母さんの両親が一緒に住んでいたので大きな家族でした。
今日では、お母さんとお父さんが離婚した後に、それぞれ新しい相手に出会うことで、やはり大きな家族になることがあります。」と書かれていて、離婚後の家族がゲイの両親で、さらにそのカップルに子どもがいるイラストが描かれていることが特徴的でした。

スウェーデンの教科書に書かれた同性結婚のイラスト

スウェーデンの教科書に書かれた家族の形・同性結婚のイラスト

スウェーデンの小学校社会科の教科書の特徴「経済とは?」

『経済』では、お金、税金の使いみち、貧富の差などについて書かれています。

例えば、こんな記述。
経済とは選択することです」と書かれていて、「あなたはこの中から2つしか選べません。あとは我慢するとなったら、なにを選ぶか?」ということが書かれているのも面白いです。

あなたはこの中から2つしか選べません。あとは我慢するとなったら、なにを選ぶ?
自分のベッド、自分の本と机、自分の部屋、一年に1度は外国に旅行、自分のテレビ、自分のコンピューター、自分の携帯、コンピューターゲームとおもちゃ

スウェーデンの小学校社会科の教科書の特徴「政治とは?」

『政治』では、選挙、権力、民主政・独裁制などについて書かれています。

もし、アメリカで半分以上の人々が自分の選挙権を使わず、大統領を選ばないという選択をしたら、アメリカの民主主義にとって、どのような結果になると思いますか?」といった発問が特徴的でした。

スウェーデンの小学校社会科の教科書の特徴「法律と権利とは?」

『法律と権利』では、法律、犯罪、義務と権利、平等について書かれています。

犯罪を重くすれば、犯罪は減ると思いますか?」といった問いが特徴的でした。

『スウェーデンの小学校社会科の教科書』を読んだ感想

他国の小学校社会科の教科書なんて読んだことがなく、それも日本とはかなり異なる社会体制であるスウェーデンの教科書ということで、とても興味深い一冊でした。

教科書の中で一貫していることは、「覚えよう」ではなく「考えよう」が基本方針になっていることです。
小学校にこんな疑問を投げかけるの?こんなことを考えさせるの?といった驚きがある一方、こういう教育を受けていると確かに自分で考える力は身についていくよなとも感じます。

一方で、学力低下が社会問題になっているというところも興味深いですよね。
とはいえ、「考えよう」を基本方針にしているのならば、「学力?なにそれ、ただ覚えてるだけでしょ?私たちには関係ないわ」と自信をもって突っ張れるような気がします。

どういう教育をしていくかを決めるのはとても大切で、完璧な教育がない以上それによってメリット・デメリットがあるのは当然なので、国として基本方針を決めるのはとても大切ですね。もちろん、日本も決めてはいるんですが、振り切り方が中途半端なんでしょうね…。

 

僕はこの本を読んで、「ああ、スウェーデンの学校教育っていいな・・・」と思ったわけではなく、「スウェーデンの学校教育の良い部分は、家庭でできるな」と思えました。

日本の学校教育が学力偏重なのはきっとこれからもしばらく変わらない。
とはいえ、子どもには「自分で考える力」をつけさせたい。
それならば、家庭でその部分は担当すればいい。

こんな思考の流れです。

様々な疑問を持たせ、話し合い、自分なりの答えを出せるようにしていくことが大切ですね。そのためにはやっぱり「対話」が大切なのかなと思えた一冊でした。

『スウェーデンの小学校社会科の教科書』の名言・名文を紹介

スウェーデンの教科書から、特に面白かった文を引用します。

▶法律や規則は代わっていく

スウェーデン人と日本人の「意識ギャップ」としてもう一つ取り上げておきたいのが、「法律や規則が変わる」と言う部分です。日本では、法律や規則は守るべきものであると言うことに異論を唱える事はなく、その内容を覚え、正しく覚えたかどうかをテストで問われると言うことが、小学校はおろか中学、高校、大学受験まで続けられています。一方、スウェーデンの教科書では、今ある決まりは絶対ではない、古い考えに縛られる事は無い、と言うことが強調されています。
スウェーデンの教科書には、金髪の派手な女の子のイラストがあり、その下に「例えば髪型やファッションを変えて規範を打ち破ってやろうとするなら、それを何度も繰り返しているうちに、それで良いのではないかと思われるようになるかもしれません」と言う解説が添えられているのです。このような記述からしても、スウェーデンの社会科の教科書は、「覚えよう」ではなく「考えよう」という学習スタイルがとられていることがわかります。

法律や規則は変わっていくんだから、やり続けたら規則って変わるかもしれないよ?と書かれている点が面白い。

▶離婚後の家族がゲイの両親で、さらに子どもがいる

離婚後の家族がゲイの両親で、さらに子供がいるってところは、スウェーデンがジェンダーに関して寛容な国だったことがわかるよね。日本だと、まだまだこんなイラストが教科書に載る事は想像できない。

スウェーデンの教科書に書かれた家族の形・同性結婚のイラスト

これはほんとに面白い!

「両親が離婚したと思ったら、ついていった親がゲイでパートナーと一緒に住むことになって、しかも新しい子どもがいて、めちゃくちゃ幸せそう」っていう絵が教科書に書かれているのは、日本では絶対ありえない。めちゃくちゃかっこいい!

▶子供が離婚の原因になるなどという事は、絶対にありません。

両親が離婚すると知ったばかりの子供は、それが大きな災難であると感じるかもしれません。また、子供が、離婚は自分のせいではないかと思うこともあります。でも、それは間違いです。子供が離婚の原因になるなどという事は、絶対にありません。
結婚やサンボの関係は、必ず親の責任です。そのような関係がうまくいくようにするのは、親の責任なのです。
多くの場合、家族のみんなが初めは悲しみます。でも、時が経てば、少しずつ良くなっていきます。やがて、両親が一緒に暮らして仲違いしていた時よりも、ずっとよくなります。

僕はこういった「言い切り系」の文章が嫌いで、「絶対」なんてものは誰にとっての絶対なんだよ?と反発したくなってしまうんですが、子どもが読む教科書に「あなたは絶対悪くない!」と断言しているのは、まあ、わるくないのかなと思ったりもしました。

そして、「最初はちょっと悲しいけど、仲が悪くてずっと一緒に住んでるよちも、ずっとよくなる」と前向きなことが書かれていて、日本ではあやふやなことは書けない教科書に、こんな不確定な言い切り系の主観が書かれていて、ちょっと勇気をもらった気がしました。

『スウェーデンの小学校社会科の教科書』読書感想文 まとめ

『スウェーデンの小学校社会科の教科書』は、異国の面白さを感じられる一冊です。
違いを知り、その違いの良さを得ることで、自分たちの暮らしに上手く活用できる気がしていて、僕はこの本を読んで家庭で参考にしたいと強く感じました。

とても興味深い一冊なので、ぜひ読んでみてください!

► 『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』へ

 

教育をテーマとした本の読書感想文としては落合陽一さんの子育て論が書かれた本『『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』や、『森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在』などがあります。

落合陽一の子育て論・教育論を書いた本落合陽一さんの子育て論が書かれた本『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』読書感想文 【読書感想文】森博嗣さん著『森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在』本の内容・感想

他にも超話題となった『ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』も、広義で教育に関わる本と言っていいような一冊で、全ての人に読んでもらいたい一冊です。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー|ブレイディみかこ 』あらすじと感想【読書感想文】 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2|ブレイディみかこ 』あらすじと感想

これまでの読書感想文一覧をリンクとして貼っておきますので、興味のある本があればぜひ読んでみてください!

その1冊を、より深く『どこよりも詳しい読書感想文』
読書感想文一覧
1)角幡唯介|エベレストには登らない
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3)中田敦彦|中田式ウルトラ・メンタル教本
4)戸田和幸|解説者の流儀
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6)岸見一郎|哲学人生問答
7)渡邊雄太|「好き」を力にする
8)高橋源一郎|ぼくらの文章教室
9)石川直樹|まれびと
10)堀江貴文|英語の多動力
11)森博嗣|作家の収支
12)鈴木敏夫|南の国のカンヤダ
13)森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在
14)米沢敬|信じてみたい 幸せを招く世界のしるし
15)馳星周|馳星周の喰人魂
16)藤代冥砂|愛をこめて
17)佐藤優|人生のサバイバル力
18)せきしろ|1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった
19)服部文祥|息子と狩猟に
20)ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
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22)幡野広志|他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。
23)内山崇|宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶
24)近藤雄生|まだ見ぬあの地へ 旅すること、書くこと、生きること
25)岸田奈美|家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
26)玉樹真一郎|「ついやってしまう」体験のつくりかた
27)村本大輔|おれは無関心なあなたを傷つけたい
28)小松由佳|人間の土地へ
29)服部文祥|サバイバル家族
30)石川直樹|地上に星座をつくる
31)加藤亜由子|お一人さま逃亡温泉
32)沢木耕太郎|深夜特急
33)ブレイディみかこぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2|
34)沢木耕太郎|深夜特急第1巻・第2巻
35)沢木耕太郎|深夜特急第3巻・第4巻
36)いとうせいこう|国境なき医師団を見に行く
37)ちきりん|「自分メディア」はこう作る!
38)村上春樹|村上T 僕の愛したTシャツたち
39)鈴木賢志|スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む
40)沢木耕太郎|深夜特急第5巻・第6巻
41)落合陽一|0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書