森博嗣|「作家の収支」を読んで考えた

書評記事を10本公開した

これまでオススメの本を紹介する記事はいくつか書いてきたけれど、リアルタイムで読んだ本の記事を1本書くことを続けてみることにした。
これまで10記事書いたが、なんだかブログが書評ブログみたいになってきて、今後どうしようかちょっと考えている。

個人的には書評ブログにはしたくなくて、自分の考えたこととかエッセイとか写真記事なんかを書いたりしていきたい。

読者の方でご意見があれば、ぜひこのブログからでも、Twitterからでもいいのでお伝えしてほしい。

とりあえず11冊目を読んだので更新。

11冊目は森博嗣さんの本「作家の収支」について書いてみる。

作家の収支|森博嗣

作家の収支|森博嗣


作家の収支

森博嗣とは?
元名古屋大学助教授で工学博士という異色の小説家。大学で勤務しながらハイペースで作品を発表し、理系ミステリの書き手と言えば、真っ先に思い浮かぶ人も多いはず。主な著書に「すべてがFになる」や「スカイ・クロラシリーズ」がある。

すべてがFになる」やスカイ・クロラシリーズで有名な作家の森博嗣さん。

小説雑誌の原稿料、単行本の印税、対談本の出版や入試問題に使われた場合、解説や推薦文、講演料など、その作家活動での収支を、事実として細かく報告してくれている一冊。

誰の何の参考になるのかわからないが、几帳面な性格から事細かく解説されており、圧倒的にわかりやすい。

また、最期の章には「表現をすること」について書かれていて、淡々とした文体でありながらもその熱い気持ちが強く伝わってきた。

「作家の収支」に書かれていた言葉を紹介する

僕は本を読んだら気になった文章をノートに書き記す習慣を、もう15年近く続けている。

15年前から私が本を読んだら必ず行っている2つの習慣

インプットの吸収率が圧倒的に上がるし、なにより目に見える形で記録されていくことが自分の自信になる。

本書から気になった文章を紹介する。

僕は、自分で成し遂げたことを情報として正直に伝える事は自慢だとは認識していない。たとえば、テストで100点を取ったら、「テストで100点を取りました」と言う。それは自慢ではない。単なる客観的報告である。
しかし、自分が成し遂げたのでない事は、あまり言わない方が良い。例えば、「息子が東大に受かった」は、少し自慢ぽい。これは、東大に受かるために勉強したのが本人ではないからだ。

そして、最期の章に書かれていた熱い文章。
ちょっと長いけれど、引用させて頂く。

デビュー以来、すべての仕事を通して、僕が最も意識している事は「新しさ」である。新しさを生み出すこと、新しさを見せること、それが創作者の使命である。「使命」と言うとかっこいいが、もう少しわかりやすく表現すれば、「意地」だ。「新しさ」をいつも自分の頭から絞り出すこと、それが、人が生きていく上でも非常に重要な目標だ、と僕は信じている。

世の中には、頭の良い人間がいくらでもいて、大抵、そういった万人が認める新しさは、たちまち消費されて、すでに新しくなくなっている。と言う事は、残り物の「新しさ」は、一見つまらないものなのだ。可能性を見つけて、いかにそれを加工するか、そこに頭を使わなければならない。自分なりの納得できる理屈が必要だし、自分なりの工夫が不可欠でもある。その理屈も工夫も、新しいことが望ましい。

自分が良いと思えば、その新しさで作品を作る。
案の定、みんなが批判するだろうけれど、そんなことを気にしてはいけない。自分の理屈を信じて突き進めば、そのうちに賛同者がポツポツと現れ、いずれ本物の「新しさ」として認められることになるだろう。

大勢を相手にするビジネスだから、認めてもらわなければ成り立たない。そこへ、認められなくても良いものをぶつけていけ、と言う矛盾した話である。どんなジャンルでもそうだが、結局、何らかの自己矛盾を持っていることが成功の条件でもある。

 

とにかく自分の作品を書けば良い。「手法」はどうでも良い。「どう書くか」ではなく、「書くか」なのである。
自分の勘を信じること。自由であり続けること。その場限りでも良いから、自分が考えた理屈にすがって、「正しさ」そして「美しさ」を目指して進むこと。後は、とにかく「勤勉」を自分に課すこと。これくらいしか、僕にアドバイスできる事は無い。最適の健闘を!

 

淡々と文章を書く人が、こういう熱い思いを伝えてくれている時は、なんだかとても励まされる。

「最適の健闘を!」という言葉もとてもいい。

「作家の収支」を読んで思ったこと

まあ、とにかく事細かに作家の収入と支出について書いてくれている。

例えば、小説雑誌では、原稿用紙1枚に対して4000円〜6000円。50枚の短編なら20万円〜30万円の収入。
新聞の連載小説は1回分が5万円ほどで、これが毎日だから1年間連載すれば1800万円の年収になる。
長編小説は400枚〜600枚くらいなので、だいたい200万円〜300万円の原稿料になる。

これに加えて印税。印税は印刷した時点で印税がもらえる。
単行本になる以前に雑誌などで発表された作品は10%、書き下ろしならば12%,文庫では10%になる。

初めてのハードカバーとなった「そして二人だけになった」は、初版が2万部で本の価格が2000円だったので、12%の印税で480万円。しかも、出版から1ヶ月半の間に増刷が5回かかり、合計4万6000部だったので印税は1100万円以上。
2年後にノベルズ版で370万円、文庫版は10万7000部で760万円。この1作で現在までに2230万円ほどの印税を得ている。

こんな具合だ。

他にも、対談本や入試問題に使われた場合、解説文や推薦文、漫画家されたら、講演料など包み隠さず書かれている。

まさに、自慢ではなく事実が淡々と書かれていて、知らない世界を知れておもしろい。

この本の評価
面白さ
(3.5)
吸収できた言葉
(4.0)
デザインの美しさ
(3.0)
総合評価
(3.5)

5 Comments

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