村上春樹のエッセイ本『村上T 僕の愛したTシャツたち』内容と感想

この記事はマガジンハウスから出版されている、村上春樹さんの著書『村上T 僕の愛したTシャツたち』」について書いている読書感想文です。
世界的な小説家の村上春樹さんは、時々エッセイを出版しますが、小説とは違ったユーモアがあって、砕けた面白さがあります。
今回は村上春樹さんの「趣味やコレクション」に振り切った『Tシャツ』をめぐるエッセイです。肩肘張らずに読める一冊です!

村上春樹さんの著書『村上T 僕の愛したTシャツたち』は、どんな本?

「村上T 僕の愛したTシャツたち」本の内容紹介

「村上T 僕の愛したTシャツたち」は、村上春樹さんがついつい集まってしまうと語るTシャツについてを紹介した本です。

コレクションとして価値の高いTシャツを紹介しているわけではなく、村上春樹さんがハワイの田舎で1ドルで購入したものを始め、「サーフィンT」「ライブT」「ビールT」など、誰でも持っているようなどこにでもあるTシャツを村上春樹さんのエピソードと共に綴っているエッセイです。

予想通り「気の抜けた本」ですが、その気の抜け方が絶妙で、装丁のかっこよさと相まって時々ふと読みたくなるような心地よい一冊です。

► 『村上T 僕の愛したTシャツたち』へ

著者の村上春樹とは?

村上春樹さんは、世界的知名度のある小説家です。
ここで僕がわざわざ説明するまでもないですが、現在の日本で最も有名な小説家と言っても過言ではないでしょう。

小説だけでなく、エッセイ、翻訳など文筆作品が豊富で、最近では時々ラジオもやっていて軽快なトークと確かな音楽知識から選んだ曲が心地よいです。
次回は12月26日なので、興味を持った方は聴いてみてください!

参考 村上ラヂオTOPページ

村上春樹さんが書いたオススメの本

村上春樹さんは小説家なので、小説作品はもちろん面白いのですが、今作のようにエッセイもとても面白いです。

村上春樹さんが出版しているエッセイはテーマも豊富です。
小説家という職業、翻訳といった『仕事についてのエッセイ』や、外国暮らしや旅といったと『紀行エッセイ』、今作のようにTシャツやマラソン、ジャズといった趣味やコレクションについての『趣味エッセイ』、日常を描いた『日々を綴ったエッセイ』など、エッセイの中でもジャンルが多岐にあります。

村上春樹さんのエッセイが好きな方は、オススメの村上春樹エッセイを紹介した記事があるので読んでみてください!
村上春樹のおすすめエッセイベスト5選

村上春樹さんのエッセイの中で特におもしろかったのは「ラオスにいったい何があるというんですか?」と「走ることについて語るときに僕の語ること」と「職業としての小説家」ですね。

紀行エッセイ、趣味エッセイ、仕事エッセイと3つのジャンルから紹介しているから、選書的にもいいんじゃないかな。うんうん。

村上春樹さんのエッセイを始め、オススメのエッセイを11作紹介している記事があるのでエッセイに興味をもたれた方はぜひ読んでみてください!

面白いオススメのエッセイ本心からおすすめできる面白いエッセイ本12冊【日常や旅がテーマ】

村上春樹のTシャツエッセイ『村上T』内容やあらすじ

村上T 僕の愛したTシャツたち』には、村上春樹さんのところに「ついつい集まってしまった」Tシャツが、エピソードと共に紹介されています。

特に印象的だったエピソードは、マウイ島の田舎町のスリフト・ショップで1ドルで購入したTシャツの話です。

Tシャツは黄色い生地に青色の文字で「TONY TAKITANI」と書かれていました。それを買った村上春樹さんが、「トニー滝谷」ってどんな人だろう?と考えて、勝手に想像力を巡らせて、トニー滝谷を主人公にした短編小説を書いて、それが映画化までしたという話ですね。

いやはや、すごすぎるだろ(笑)

『村上T僕の愛したTシャツたち』で最も印象的だったトニー滝谷のTシャツ
『村上T僕の愛したTシャツたち』で最も印象的だったトニー滝谷のTシャツ

『村上T 僕の愛したTシャツたち』を読んだ感想

やっぱり村上春樹さんのエッセイは面白いですね。軽快なリズムとユーモアで、読んでいて心地よさを感じます。

ところで、『村上T 僕の愛したTシャツたち』は、僕自身がずっと気になっていて、読みたいと思っていた一冊です。
どうしてずっと気になっていたかというと、Tシャツを紹介するという企画が、僕が以前に企画したものと重なっていたからです。ちょっと説明しますね。

2018年のこと。
僕が企画・運営している旅の文章のコンテスト【タビノコトバ】で、クラウドファンディングを実施した時に、お礼のリターンとして企画者4人がコラムを書いた限定冊子を作ることになりました。

その冊子の中で、4人がそれぞれ「好きなもの」を紹介しようよということになり、企画者の1人SHIBUTANIが「お土産Tシャツ4選」を紹介することになり、「絶対誰も知りたくないけど面白いこと考えるなあ」と思っていたんですが、まさか天下の村上春樹がその後に同じことをやっていた(笑)

これには笑いました。

ということで、ずっと気になっていて読みたかったんですよね。

参考 タビノコトバ 「私たちについて」タビノコトバより 参考 お土産Tシャツ4選の記事PDFタビノコトバより

さて、この『村上T 僕の愛したTシャツたち』は、読んだらなにかを学べるわけでも、めちゃくちゃかっこいい村上春樹節が書かれているわけでもありません。

どこまでも気の抜けた雑誌のような一冊です。
でもそれがいい。
気の抜けた週末に、そっと本棚から取り出して読みたくなるような本です。

『村上T 僕の愛したTシャツたち』村上春樹の名言・名文を紹介

村上春樹さんのエッセイ本『村上T 僕の愛したTシャツたち』に書かれた名言・名文を紹介します。

▶泳ぐのって、空を飛ぶことの次に気持ちいいよな

水泳にも「ハイ」みたいな状態があり、長く泳いでいるうちにだんだん気持ちよくなってくる。歌とかつい歌いたくなってきます(よく「イエロー・サブマリン」を歌っている。ぷくぷく)。
そういうときには「泳ぐのって、空を飛ぶことの次に気持ちいいよな」と思います。

▶ゲームだから。ルール作らないとゲームにならないですよね?

-レコードでも50ドル以上は出さないとおっしゃっていましたよね。何かモノを収集する上での哲学みたいなものなんでしょうか?-

ゲームだから。ルール作らないとゲームにならないですよね?何でもお金を出しゃいいんだろうみたいな感じになってくるとつまらないです。

村上春樹のエッセイ『村上T(村上春樹)』感想まとめ

『村上T 僕の愛したTシャツたち』は、肩の力を抜いて楽しく読める一冊です。
Tシャツという全世界共通の日常的なアイテムを、村上春樹という言葉のプロ中のプロが語ると、こんなに語れて面白くなるものなんだという発見があります。

ぜひ読んでみてください!

► 『村上T 僕の愛したTシャツたち』へ

この記事のように「どこよりも詳しい読書感想文」を書いています。
これまでの読書感想文一覧をリンクとして貼っておきますので、興味のある本があればぜひ読んでみてください!

どこよりも詳しい読書感想文の総まとめ|読みたい本が見つかる
読書感想文一覧
1)角幡唯介|エベレストには登らない
2)菅俊一・高橋秀明|行動経済学まんが ヘンテコノミクス
3)中田敦彦|中田式ウルトラ・メンタル教本
4)戸田和幸|解説者の流儀
5)石川直樹|この星の光の地図を写す
6)岸見一郎|哲学人生問答
7)渡邊雄太|「好き」を力にする
8)高橋源一郎|ぼくらの文章教室
9)石川直樹|まれびと
10)堀江貴文|英語の多動力
11)森博嗣|作家の収支
12)鈴木敏夫|南の国のカンヤダ
13)森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在
14)米沢敬|信じてみたい 幸せを招く世界のしるし
15)馳星周|馳星周の喰人魂
16)藤代冥砂|愛をこめて
17)佐藤優|人生のサバイバル力
18)せきしろ|1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった
19)服部文祥|息子と狩猟に
20)ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
21)河野啓|デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
22)幡野広志|他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。
23)内山崇|宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶
24)近藤雄生|まだ見ぬあの地へ 旅すること、書くこと、生きること
25)岸田奈美|家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
26)玉樹真一郎|「ついやってしまう」体験のつくりかた
27)村本大輔|おれは無関心なあなたを傷つけたい
28)小松由佳|人間の土地へ
29)服部文祥|サバイバル家族
30)石川直樹|地上に星座をつくる
31)加藤亜由子|お一人さま逃亡温泉
32)沢木耕太郎|深夜特急
33)ブレイディみかこぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2|
34)沢木耕太郎|深夜特急第1巻・第2巻
35)沢木耕太郎|深夜特急第3巻・第4巻
36)いとうせいこう|国境なき医師団を見に行く
37)ちきりん|「自分メディア」はこう作る!
38)村上春樹|村上T 僕の愛したTシャツたち←今回の記事
39)鈴木賢志|スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む
40)沢木耕太郎|深夜特急第5巻・第6巻
41)落合陽一|0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書|
42)早坂大輔|ぼくにはこれしかなかった。BOOKBERD店主の開業物語|
43)小永吉陽子|女子バスケットボール東京2020への旅
44)辻山良雄・nakaban|ことばの生まれる景色
45)岡田悠|0メートルの旅
46)トム・ホーバス|チャレンジング・トム
47)長谷川晶一|詰むや、詰まざるや 森・西武VS野村・ヤクルトの2年間
48)田中孝幸|13歳からの地政学
49))国分拓|ガリンペイロ
50))サトシン・西村敏雄|わたしはあかねこ
51))林木林・庄野ナホコ|二番目の悪者