この記事は、新潮社から出版された沢木耕太郎さんの著書『深夜特急』のあらすじと魅力について書いている記事です。→Amazonはコチラから
深夜特急はバックパッカーのバイブルとまで言われた、最高の旅本です。これを読んで人生が狂った(?)方も多いはず。
旅好きの方や、一人旅に憧れのある方はぜひ読んでみてください!
目次
沢木耕太郎の『深夜特急』はバックパッカーのバイブル本
バックパッカーのバイブル
『深夜特急』って、旅好きの人には有名な本だけど、どんな本なの?
古い本だと思うけれど、今の時代に読んでも面白いの?
『深夜特急』はバックパッカーのバイブルと言われた人気の旅本です。
時代は全く変わりましたが、今読んでも全く色褪せない旅の興奮が詰まった一冊ですよ!
深夜特急は、ノンフィクション作家の沢木耕太郎さんが、1970年代にインドのデリーからロンドンまでを乗り合いバスで旅をしたときのことを描いた紀行文です。
1986年に発刊された古い本ですが、今でも「バックパッカーのバイブル」と称されていて、多くの旅人に影響を与えた旅本です。
きっと30代以上で『仕事を辞めて、バックパックを背負い、期間も行く先も未定の旅』に憧れた人の多くは、この本を読んで沢木耕太郎のような旅がしたい、と思ったことでしょう。
『なにを隠そう、僕も『深夜特急』を読んで世界に旅に出た一人です。
今回、この記事を書くにあたり『深夜特急』を読み返してみましたが、今読んでも全く色褪せることのない不朽の名作です。
もちろん、スマホもないし、インターネットすらないから時代としては全く異なるはずなのに、今読んでも旅のドキドキや楽しさが伝わってくるんですよね。
そんな深夜特急について、あらすじや魅力、どんな旅だったかについて解説していきます
※深夜特急1巻〜6巻まで各巻のあらすじ・内容・ルート・感想をまとめた記事もあるので、興味のある方は読んでみてください。
深夜特急のあらすじ※ネタバレあり 著者の沢木耕太郎とは?
深夜特急のあらすじ(ネタバレあり)
深夜特急のあらすじをネタバレありで紹介します。
深夜特急は「インドのデリーからイギリスのロンドンまでを乗り合いバスで行く」をテーマに、1970年代、著者の沢木耕太郎さんが、ユーラシア大陸横断の旅をした話です。
有吉弘行さんが猿岩石時代に人気番組電波少年の企画で「ユーラシア大陸横断ヒッチハイクの旅」をしていましたが、それの原型になった旅本でもあります。
当時ライターとして既に活動していた深夜特急の著者となる沢木耕太郎さんは、仕事を全て放り出し、机の引き出しに転がっている一円玉硬化までかき集め、1900ドルをもって日本を出発します。
購入した航空券が2箇所のストップオーバー(2箇所を経由できる)が可能だったこともあって、沢木耕太郎さんは香港、マレー半島と経由し、インドのデリーへと降り立ちます。
そこから西へ西へとバスを乗り継いで旅を続け、パキスタン、アフガニスタン、イラン、トルコ、ギリシャ、イタリアと進み、ヨーロッパを周った後にロンドンへたどり着く、というあらすじです。
深夜特急の文庫本は全6巻と長い印象がありますが、1巻200ページほどと文量は薄く、各巻ごとに国や文化が異なるのでとても楽しめるかと思います。
現地の方と出会ったり、ギャンブルにはまったり、騙されそうになったり、嬉しい瞬間に立ち会ったりしながら、沢木さんが旅をする中で、自分自身の旅を構築していきます。
そんな沢木耕太郎さんの旅に共感した若者が、「こんな旅をしてみたい」と日本人バックパッカーに大きな影響を与え続けている一冊です。
深夜特急1巻〜6巻のあらすじ※ネタバレあり
デリーからロンドンへ路線バスを乗り継ぎながら旅をすると日本を出発した沢木耕太郎は、航空券がストップオーバーできることから香港へ降り立つ。偶然たどり着いた『黄金宮殿』という名の宿に宿泊した沢木は、そこでの出会いに刺激を受け、香港に魅了される。マカオではカジノの波に引き寄せられ、この本のハイライトとも呼ぶべき場面もある。
2巻ではタイのバンコクからシンガポールまでの旅が描かれている。
詳細は下の記事にまとめたので合わせて読んでください!
深夜特急の3巻は激動のインドを中心とした展開。沢木耕太郎がインドで孤児院で共同生活をしたり、売春宿の現実に圧倒されたり、体調を崩したりと様々な出会いと刺激を受けるこの旅本を読めば、きっとインドへ行きたくなる。
深夜特急4巻はアフガニスタンやイランといったシルクロードの旅。アフガニスタンは今となってはご存知のようにISによってなかなか入国することはできない国だが、当時の様子を読める読み応え十分の貴重な一冊。
詳細は下の記事にまとめたので合わせて読んでください!
深夜特急の5巻はトルコ・ギリシャ編。エネルギーに満ちていた1巻2巻と違ってどこか冷めたような虚無感を漂わせる描写が長い旅の経験者からもリアルで没入する。
深夜特急の6巻はヨーロッパ編。「旅の終わりどころ」を探すように旅を続けている姿が印象的。「旅の終わり」を決意した地・ポルトガルのサグレスでの話が、深夜特急の旅で一番美しい描写になっている。
詳細は下の記事にまとめたので合わせて読んでください!
深夜特急の著者『沢木耕太郎』とは?
深夜特急の著者である沢木耕太郎さんは、優れた本をいくつも書いてきた日本を代表するノンフィクション作家です。これまでこのブログでも、沢木耕太郎さんの本をいくつも紹介してきました。
代表作の『深夜特急』をはじめ、登山家の山野井泰史さんを描いた『凍』や、ボクサーのカシアス内藤さんを描いた「一瞬の夏(上)」や、写真家のロバート・キャパを追った「キャパの十字架 」があります。
また、小説「春に散る」や、エッセイ「旅のつばくろ 電子オリジナル版」など、ジャンル問わず多数の文章作品を出版しています。
文字作品だけでなく、ストーリーテラー(話し手)としても極めて魅力的で、毎年クリスマスイブの夜に「MIDNIGHT EXPRESS」という一日だけのラジオをしているんだけれど、好奇心旺盛で、間のとり方が絶妙で、聞いていてとても豊かな気持ちになれるラジオです。
今年のクリスマスイブには、ぜひ聴いてみてください。
深夜特急の魅力はバックパッカーの旅を描ききったこと
深夜特急の魅力は?
深夜特急の魅力は、なんと言ってもバックパッカー的な旅のスタイルにあります。
日本で暮らしているだけでは感じることができない異国の旅。
ただの観光旅行ではなく、自分で全てを決めて自由に旅をするスタイルが、多くの人に憧れと共感を得たのだと思います。
『その日泊まる宿も、交通機関も、行動も、旅の期間も、全てが自由で、自分で決めることができる』
そんな旅に憧れを抱く方は、きっと少なくないでしょう。
深夜特急の旅はバックパッカーの憧れ
深夜特急1巻の第一章にバックパッカーの旅のスタイルを表した描写が全て描かれていて、最初の章を読んだだけで、沢木耕太郎の旅のスタイル(バックパッカーの旅のスタイル)を理解することができます。
例えば、こんな描写。
- 日本を出てから半年になろうとしていた
- 世界各国の旅人と同室の1泊140円のドミトリー(相部屋)
- 朝、今日どうしようかと考える。だけど浮かばない
- とりあえずゆっくりとチャイを飲む
- まだ13時だから仕方なく国立博物館へ行く
- バスに乗って帰るのだが、バスは満員でさらに疲れる
- 夕暮れに、1日のほとんど唯一の贅沢としてジュース屋でマンゴージュースを飲む
- 夕食に70円ほどの煮込み定食を食べる
- パスポートや現金をを首に巻き、いつもと変わらぬあまり快いとは言えない眠り
- また朝になってしまった
いかにもバックパッカーらしい1日ですが、1巻の第1章でこの文章があることで、「沢木耕太郎さんの深夜特急の旅のスタイル」がなんとなく浮かんでくる仕掛けになっている。
ここでは箇条書きにで記したけれど、もちろん沢木さんの素晴らしい文章でこれらのなんでもない1日が、魅惑的で刺激的な1日に描かれていて、読む人は一気に引き込まれていく。
この旅のスタイルを、世界各地で魅惑的で刺激的なものとして描写していくことが、深夜特急が多くの人を惹きつける要因なのは間違いないですね!
帰りは少し披露を覚え、宿の近くまでバスに乗る。超満員のバスにどうにかもぐり込み、かろうじて片手で手すりを掴み、振り落とされないように必死でしがみつく。降りると、さらに披露が激しくなっているのに気が付き、思わずひとり苦笑してしまう。そこで、バザールの入口でささやかな店をはっているジュース屋に寄り、マンゴーをしぼってもらう。私にとっては、一日のほとんど唯一の贅沢が、この夕暮れに飲むジュース一杯であることが少なくなかった。
宿に戻り、ベッドの上で少し休み、陽が沈んでいくらか涼しくなりかかった頃、バザールの食堂に夕飯を食べに行く。
決まって食べるのは七十円ほどの定食である。一枚の大皿の上にすべてがのっかっている簡単なものだ。カレーというよりは野菜の煮込み汁といった方が理解しやすい主催と、チャパティか米飯。あとは、日本の一膳飯屋の定食でいえば味噌汁にあたるダール、沢庵のような役割をもつ生タマネギの切れはし、それにヨーグルトというよりは乳酸飲料に近いダヒーなどがついてくる。
とにかく、そのようにして眼の前に置かれた一日の最初にして最後の豪華な正餐を、まず眼に与え、次に右手の三本の指に味わわせ、それからようやく舌の上に運ぶ。<深夜特急1巻/沢木耕太郎 より引用>
なんでもない一日を、こんな風に描かれていて、気がついたときにはどっぷりと深夜特急の世界に引き込まれている。
『深夜特急』が好きな人にオススメの旅本3冊
沢木耕太郎の深夜特急が好きな方にオススメの旅本・紀行文を3冊紹介します。
きっと、深夜特急が好きな方は旅本・紀行文が好きな方で、バックパッカーの旅に憧れをもっている方かと思います。
そんな方にオススメの旅本・紀行文を紹介します。
『旅情熱帯夜|竹沢うるま』
【深夜特急好きにオススメの旅本】
旅写真家の世界一周本
深夜特急好きにオススメの旅本1冊目は、竹沢うるま『旅情熱帯夜』です。
写真家・竹沢うるまさんが世界一周旅行をしたときの写真とエッセイが詰まった「旅情熱帯夜」です。
現在の「旅写真」と言えば、竹沢うるまさんの作品が浮かんでくる方も多く、人気の写真家が世界を放浪した時の写真とエッセイはとても惹き込まれます。
『そして、僕は旅に出た|大竹英洋』
【深夜特急好きにオススメの旅本】
若者が何者かになるための旅行記
深夜特急好きにオススメの旅本2冊目は、大竹英洋『そして、ぼくは旅に出た』です。
土門拳賞を受賞した写真集「ノースウッズ」を、文章で表現した本です。
だれもが、何者でもなかった頃。一人の偉大な写真家は、写真家に憧れるただの旅人だった。導かれるようにノースウッズの森にたどり着き、人々と出会い、写真を撮る楽しさを感じていった大竹英洋さん。大きな流れに乗ることで、偶然が必然であるかのような不思議な出会いがやってくる一冊です。
『地上に星座をつくる|石川直樹』
【深夜特急好きにオススメの旅本】
写真家の描写力が詰まった一冊
深夜特急好きにオススメの旅本3冊目は、石川直樹『地上に星座をつくる』です。
写真家・石川直樹の旅にまつわるエッセイ「地上に星座をつくる」です。
ヒマラヤの8000m超えの山々を登って撮影したかと思ったら、ミクロネシアの海を渡り、ユーコンで川下りをしたかと思ったら、能登半島や国東半島を巡って撮影する。そんな写真家の7年間の旅の軌跡を振り返った旅行記。
他にも、深夜特急好きの方に読んでほしい旅本・紀行文はたくさんあります。
僕のオススメの旅本・紀行文を紹介した記事があるので、合わせて読んでみてください!
『深夜特急』はaudibleオーディブルで聴ける?
最高の旅本として紹介してきた『深夜特急』』ですが、残念ながら現在はaudibleの対象本ではありません。
筆者の沢木耕太郎さんの名作本『凍』はaudibleでラジオドラマになっているので、興味のある方は聴いてみてください!
オーディブル(audible)は、Amazonが提供している聴く読書サービスで、入会最初の1ヶ月間は無料体験を実施しています。
つまり、1ヶ月間は聴き放題対象作品の本が全て無料で聴けるサービスなので、めちゃくちゃお得です。
今回紹介した深夜特急は入っていませんが、傑作ノンフィクション『サピエンス全史』や、お金の悩みのヒントをもらえる『ジェイソン流お金の増やし方』など、話題の本が全て無料で聴けます。
「聴く読書」をまだ試していない方は、この機会にぜひ登録して試してみてください!
もちろん無料体験期間内に解約すれば、完全無料。解約も簡単です。
この機会に、ぜひ登録して試してみてください!
『audibleオーディブル』の話題が出たので紹介すると、audibleは聴き放題と言ってもたいした本がないんでしょ?と考える方もいらっしゃるかと思いますが、これがビックリするほど読み応えのある本が揃っています。
このブログでは、audible(オーディブル)について詳しく書いた記事があるので、興味のある方は読んでみてください!
実写版『深夜特急』のドラマがある!沢木耕太郎役の主演は大沢たかお
大沢たかお主演の深夜特急実写ドラマ
『深夜特急』の実写版ドラマが大沢たかおさん主演で3部作として放送されました。
現在はDVD化されていて見ることができます。
実写版深夜特急のドラマは、名古屋テレビ開局35周年記念番組として1996年から1998年にかけて1年毎に制作・放映されました。
ドキュメンタリーとドラマの融合がテーマだったようで、若かりし頃の大沢たかおさんが世界の各地を旅しながら映像化されています。
ドラマを見ればわかりますが、大沢たかおさんがどんどんと旅人らしい顔つきや仕草になっていくのが伝わってきて、なかなか面白いドラマです。
『深夜特急』あらすじまとめ※最高の旅本でバックパッカーのバイブル
深夜特急を、最高の旅本として挙げる方も多くいます。
僕自身も、オススメの旅本として紹介しています。
僕は大学生の頃に深夜特急を読み、バックパック旅行をしてみたいと実際に東南アジアやヨーロッパを旅し、そこで出会った旅人に旅の話を聞いたことで、就職後4年で仕事を辞め、沢木耕太郎さんと同じ26歳で長い旅に出ました。
僕が世界を旅したきっかけには間違いなく深夜特急の影響を受けていて、それはつまり僕自身のパーソナリティを形成してきた大きな要因にもなっています。
きっとこれは僕だけの話ではなくて、日本中で僕のような深夜特急に人生を狂われた方は多くいて、それはきっと多くの場合にポジティブな影響となっているはずです。
まだ読んだことのないという方は、ぜひ手にとってみてください。
バックパッカーのバイブル
せっかく読んだ本をインプットしておくだけでなく、アウトプットすることで、その本からなにを得て、なにを感じたかをまとめています。
興味のあるものがあれば、読んでみてください!
2)菅俊一・高橋秀明|行動経済学まんが ヘンテコノミクス
3)中田敦彦|中田式ウルトラ・メンタル教本
4)戸田和幸|解説者の流儀
5)石川直樹|この星の光の地図を写す
6)岸見一郎|哲学人生問答
7)渡邊雄太|「好き」を力にする
8)高橋源一郎|ぼくらの文章教室
9)石川直樹|まれびと
10)堀江貴文|英語の多動力
11)森博嗣|作家の収支
12)鈴木敏夫|南の国のカンヤダ
13)森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在
14)米沢敬|信じてみたい 幸せを招く世界のしるし
15)馳星周|馳星周の喰人魂
16)藤代冥砂|愛をこめて
17)佐藤優|人生のサバイバル力
18)せきしろ|1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった
19)服部文祥|息子と狩猟に
20)ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
21)河野啓|デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
22)幡野広志|他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。
23)内山崇|宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶
24)近藤雄生|まだ見ぬあの地へ 旅すること、書くこと、生きること
25)岸田奈美|家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
26)玉樹真一郎|「ついやってしまう」体験のつくりかた
27)村本大輔|おれは無関心なあなたを傷つけたい
28)小松由佳|人間の土地へ
29)服部文祥|サバイバル家族
30)石川直樹|地上に星座をつくる
31)加藤亜由子|お一人さま逃亡温泉
32)沢木耕太郎|深夜特急 ←今回の記事
33)ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2
34)沢木耕太郎|深夜特急第1巻・第2巻
35)沢木耕太郎|深夜特急第3巻・第4巻
36)いとうせいこう|『国境なき医師団を見に行く
37)ちきりん|「自分メディア」はこう作る!
38)村上春樹|村上T 僕の愛したTシャツたち
39)鈴木賢志|スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む
40)沢木耕太郎|深夜特急第5巻・第6巻
41)落合陽一|0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書|
42)早坂大輔|ぼくにはこれしかなかった。BOOKBERD店主の開業物語|
43)小永吉陽子|女子バスケットボール東京2020への旅
44)辻山良雄・nakaban|ことばの生まれる景色
45)岡田悠|0メートルの旅
46)トム・ホーバス|チャレンジング・トム
47)長谷川晶一|詰むや、詰まざるや 森・西武VS野村・ヤクルトの2年間
48)田中孝幸|13歳からの地政学
49))国分拓|ガリンペイロ
50))サトシン・西村敏雄|わたしはあかねこ
51))林木林・庄野ナホコ|二番目の悪者