この記事は、ブレイディみかこさんの本「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」の紹介文と読書感想文です。
おかげ様でこのブログは読書ブログとしてよく読まれているブログですが、このブログで、2020年に読んだ本の中で最も面白かった本ランキングで第1位に挙げた「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の続編です。
相変わらず期待通りの面白さで最高にオススメの本でした!前作と一緒に20年後も読まれ続ける本ですね。
最高に面白い旅の本
目次
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』面白い本の紹介
本好きなSさん
話題の本だけど、前作を含めて内容やあらすじを教えてほしい!
2019年ノンフィクション本大賞を受賞したブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の続編が出版され、期待通りに面白い本でした!
僕はその時の読書感想文で「この作品は、きっと永久に読まれ続けるだろう作品です。ぜひ読んでほしい」と書いて、2020年に読んだ約100冊の本からベスト1に認定しましたが、その続編が出版されたということですぐに読みました。
結果、やっぱりこの本も面白かった!
ということで、この記事では『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』の、あらすじや感想について書いていきます。
これまで1500冊以上の本を読んできた僕が、なぜ「永久に読まれ続けるだろう」と評したのか。
きっとこの記事を読めば、あなたもこの作品を読みたくなるはずです!
この本は2021年に読んだ本の第4位で紹介した本です。
2021年に読んで本当に面白かった本ランキングも合わせて読んでみてください!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』あらすじと要約
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』要約・あらすじ
それでは、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』について、あらすじと要約をしていきます。
前作から変わらず『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』は、イギリス人の父親と、日本人の母親から生まれた中学生の「ぼく」が、イギリスで暮らす中で起こる日々を綴った作品です。
母親であり日本人のブレイディみかこさんの視点で物語は進んでいき、イギリスという異国の地で子育てをしていく中で、中学生の息子との会話や日常から直面する人種差別、ジェンダーの悩みや貧富の差、学校教育のあり方などについて、エッセイとして描いています。
異国で感じる差別、国の文化の比較、性別や貧富の差など、日本だけでは感じられにくいところを世界基準で書いている本ですね!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』魅力の秘密
1つの出来事に直面するたびに様々な社会的背景を知り、「ぼく」や母が考え、読者である僕たち自身も自然と考えるように引き込まれていくように設計された本です。
この物語の舞台はイギリスですが、決して対岸の話ではなくて、世界で、日本で、僕の暮らす街で、家の周りで少しずつ形を変えながら起こっていることでもあります。作品が展開していく度に、きっとあなたの世界とリンクしていくところもあるでしょう。
中学生以上のお子さんがいらっしゃる方は、ぜひ一緒に読んで、ご家族でこの本の話をしてみてください!
ちょっと難しそうで扱いにくい内容を、中学生でも読みやすいように書いてあることがこの作品が愛される大きな要因ですね。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』タイトルの由来
タイトルの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」には、やたらと色がでてきますが、イエロー(黄色人種)、ホワイト(白人)、ブルー(悲しいとか怒りの感情)という意味で、息子が自分のノートにメモ書きしていたことがタイトルの由来になっています。
中学生の僕は、イギリスという地では、日本人=自分たちとはちょっと違う人として扱われ、日本に遊びにくるとイギリス人=自分たちとはちょっと違う人として扱われ、悲しみや怒りを覚えるような出来事に直面していく。
日本より多民族で貧富の差が激しいイギリス文化で暮らしていく中で、どう生きていくかということを考えていくんですね。
こうやって書いていくと、やっぱりちょっと重たそうな内容を、読みやすく優しい文章で綴っているから、この文章が「永遠に読まれていくだろう作品」と評されているんでしょうね。(2時間くらいでササっと読めます)
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』内容紹介
第二作となる『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』では、例えばこんな内容が記されています。
- 公立中学校で展開される、フリーランスで働くための「ビジネス」の授業
- 男性でも女性でもない「ノンバイナリー」を公表する教員たち
- 不登校になった黒人少女が「変化は必ずやってくる」と歌い、歌姫になった
え?イギリスでは公立中学校でそんな授業が展開されてるの?とか、家族でそんな話をするんだ?とか、人種・宗教・性別などの違いで偏見・差別を与えないような対応ってこうだよね!とか、日本での視点だけでは気づきにくい観点を言語化し、自分の身の回りの世界にも起こることとしてイメージをもたせてくれるような作品です。
1作目と合わせて、僕の娘が大きくなったらぜひ読んでほしいと思うような、世界を拡げてくれる一冊ですね。
ぜひ、読んでみてください!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』の読書感想(ネタバレあり)
それでは僕が「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」を読んだ中で印象に残ったいくつかのエピソードと感想を紹介します。
前作は中学生の読書感想文の課題図書になることも多かったようなので、困ったらこの記事を参考にしながら書いてみてください(笑)
ノンバイナリーって、何のこと?
まずは、ノンバイナリー(男性でも女性でもない第三の性)について。
こちらの文章を読んでみてください。
息子の学校にはノンバイナリーの教員が2人いる。「第3の性」とも表現されるこの言葉は、男性でも女性でもない、性別に規定されない人々のことを表す。
息子の学校はレインボーカラーのネックストラップを下げた教員に 子供たちが相談できるようになっている。 それは当事者と言うより、この分野について研修を受けるなどして専門の知識を持っている教員たちを示すための印だ。そのチームにはノンバイナリーの教員たちも入っていて、彼らは科学や美術といった通常の教科を教えているが、自分が担当するクラスの子供たちには、自分は男性でも女性でもないと言うことや、生徒たちにどう呼ばれたいかと言うことを最初の授業で説明するという。
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2 より
教員が、ノンバイナリーを公表してるって!?
しかも同じ学校で2人も!
自分がなんと呼ばれたいかを最初の授業で説明!?
性についてレインボーカラーのストラップを下げた教員が相談!
と、もう、この時点で驚きの連続ですが、この驚きを「ぼく」に伝えたらきっと彼のほうはキョトンとするでしょうね。
いやー、文化が成熟してるなあと改めて感じますよね。
そして、こういった内容を家に帰って父や母に話し、父が「heとかsheとか呼ばなきゃいけないときってどうするの?」と、息子を質問攻めにして、家族で話し合うっていうんです。
世代間のギャップもなくなっていくし、親が子どもと一緒に学んでいく文化っていいなと。
もちろん、こういった環境にいるからといって中学生なので、その場のノリや勢いで誤った発言や行動をとることもあるでしょうが、こういった教育を当たり前に受けていると、どこかの段階で「他者と異なること」を認められるようになりやすいのだろうなと思います。
差別や偏見をもつ人はいるだろうけど、平均レベルでの国民のリテラシーは大いに上がるのは間違いない。
「みんなと同じが正義!」といった風潮になりやすい日本の学校や社会とは大きく異るなあと感じますよね。
変化はやってくる
僕が読んでいて自然と涙がこぼれてきたのが、第二章の「A Change Is Gonna Come -変化はやってくる-」というお話です。
内容のネタバレになるので、これから本を買って読もうという方は飛ばしてください!
息子と同級生に、不登校になっていた黒人の女の子がいました。その女の子は、1巻にも登場するのですが、無責任な噂によって女の子たちから仲間外れにされるようになってしまっていました。
それから来たり来なかったり、欠席する日も多くあったりしたのですが、校長の勧めで音楽部に入り、それからというもの毎日学校に来るようになったそうです。
そしてその黒人の女の子は、音楽部恒例の春のコンサートでシンガーとして歌うことになりました。
曲はサム・クックの「A Change Is Gonna Come」
公民権運動のアンセムとなり、現在に至るまで、社会をより良い場所に変えようとする人々に影響を与え続けてきた曲だそうだ。
バイオリンやブラス隊の演奏をバックに、つい最近まで不登校だった黒人の女の子は、ど真ん中でマイクスタンドを握り締めて歌い始めました。
それは、驚くほど成熟した、圧倒的な声でした。
会場が一気に引き込まれていきます。
「長い時間 本当に長い時間がかかった でも私は知っている 変化はやってくる 必ずやってくる」
「もうやっていけないと思ったこともあった でもどういうわけか今は信じている 私はやっていけるって 長い時間 本当に長い時間がかかった でも私は知っている 変化をやってくる 必ずやってくる」
彼女自身を投影するようなその曲が終わると、物凄い数の拍手が起きました。
第1巻である『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』では、貧富の差であったりジェンダーであったり様々な問題を扱っていましたが、その中でも人種による『差別』が最も大きなテーマとして描かれていました。
白人であるイギリス人と黄色人種である日本人の子どもである僕や、中国系である生徒会長や、ハンガリー系移民であるダニエルといった、マイノリティを中心に題材を扱っていたような印象を受けました。
今回の第2巻は、『社会の中で共に生きていく(共生)』みたいなテーマが多かった印象があります。
その中で唯一といっていい「人種」がテーマとなった話でした。
なんか、この章は読んでいて情景が目の前に広がっているような感覚を覚え、自然と心がゾワゾワとして、涙がこぼれていました。
ついつい原曲をYouTubeで調べました(笑)
きっと他の読者もやってるはず。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』本の名言・名文を紹介
僕は本を読んだら気になった文章をノートに書き記す習慣を、もう15年近く続けています。
インプットの吸収率が圧倒的に上がるし、なにより目に見える形で記録されていくことが自分の自信になる。
そんなサイクルが好きで、コツコツと本から気になったことばを集めています。
本書から印象に残った文章を紹介します。
どっちが正しかったのかわからないよ。
僕の身に起こる事は毎日変わるし、僕の気持ちも毎日変わる。
でも、ライフってそんなものでしょ。
後悔する日もあったり、後悔しない日もあったり、その繰り返しが続いていくことじゃないの?
14歳になったぼくが、日々変化し続ける環境や心境の渦に巻き込まれながら、毎日を生きているときに言った言葉です。
第1巻を読んだときに僕はこんな感想を書いています。
世界を体験的に学び、その中には不条理さや、やるせなさに直面する場面もあるのですが、その経験からなにかを感じ、自分の言葉として学びとっていく姿は頼もしくあります。
少年は、世界を体験的に学び、不条理さや、やるせなさに直面しながら、『後悔する日もあったり、しない日もあったり、そういったことを繰り返していく。ライフってそんなもんでしょ』と、自分の言葉で語ったわけです。
これは、本当に痺れた。
日本で14歳といったら思春期真っ盛りで、個性を出したいと思いつつも、他人と大きく外れることも、意見が異なることも、良しとしないような空気があって、こんな風に自分の言葉で相手に伝えられるってのは、やはり教育の力なのかなと感じます。
差別、貧困、思想、性、教育
この本にはこういったちょっと重たそうな事柄が散りばめられていながらも、第1作と合わせて何度でも読みたくなる作品です。
ぜひ、一度手にとってみてください。
きっと後世まで読まれ続ける素晴らしい一冊です。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」に書かれた名言のように、2022年に読んだ本から心に響いた名言・名文を紹介した記事があるので、読んでみてください!
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2|ブレイディみかこ 』あらすじと感想『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』はaudibleで聴ける?
僕が2021年に読んだ本をランキング形式で紹介した記事で第4位に選んだ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』』ですが、残念ながら現在はaudibleの対象本ではありません。
筆者のブレイディみかこさんの本『他社の靴を履く』はaudibleの対象本になっているので、興味のある方は聴いてみてください!
オーディブル(audible)は、Amazonが提供している聴く読書サービスで、入会最初の1ヶ月間は無料体験を実施しています。
つまり、1ヶ月間は聴き放題対象作品の本が全て無料で聴けるサービスなので、めちゃくちゃお得です。
今回紹介したぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2は入っていませんが、同じく2021年のベスト本で紹介した『家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった』や「俺は無関心なおまえを傷つけたい」は無料で聴けるし、傑作ノンフィクション『サピエンス全史』や、お金の悩みのヒントをもらえる『ジェイソン流お金の増やし方』など、話題の本が全て無料で聴けます。
「聴く読書」をまだ試していない方は、この機会にぜひ登録して試してみてください!
もちろん無料体験期間内に解約すれば、完全無料。解約も簡単です。
この機会に、ぜひ登録して試してみてください!
『audibleオーディブル』の話題が出たので紹介すると、audibleは聴き放題と言ってもたいした本がないんでしょ?と考える方もいらっしゃるかと思いますが、これがビックリするほど読み応えのある本が揃っています。
このブログでは、audible(オーディブル)について詳しく書いた記事があるので、興味のある方は読んでみてください!
本の書評・読書感想文まとめ
この記事のように「どこよりも詳しい読書感想文」を書いています。
例えば、今作「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」は広義で言えば「教育」をテーマとした本ですよね。「教育」をテーマとした本の読書感想文としては、落合陽一さんの子育て論が書かれた本『『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』や『鈴木賢志|スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』や、『森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在』などがあります。
落合陽一さんの教育論・子育て論を解説した本の読書感想文おすすめ教育本『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』本の紹介と感想文
【読書感想文】森博嗣さん著『森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在』本の内容・感想
これまでの読書感想文一覧をリンクとして貼っておきますので、興味のある本があればぜひ読んでみてください!
どこよりも詳しい読書感想文の総まとめ|読みたい本が見つかる2)菅俊一・高橋秀明|行動経済学まんが ヘンテコノミクス
3)中田敦彦|中田式ウルトラ・メンタル教本
4)戸田和幸|解説者の流儀
5)石川直樹|この星の光の地図を写す
6)岸見一郎|哲学人生問答
7)渡邊雄太|「好き」を力にする
8)高橋源一郎|ぼくらの文章教室
9)石川直樹|まれびと
10)堀江貴文|英語の多動力
11)森博嗣|作家の収支
12)鈴木敏夫|南の国のカンヤダ
13)森博嗣|森助教授VS理系大学生 臨機応答・変問自在
14)米沢敬|信じてみたい 幸せを招く世界のしるし
15)馳星周|馳星周の喰人魂
16)藤代冥砂|愛をこめて
17)佐藤優|人生のサバイバル力
18)せきしろ|1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった
19)服部文祥|息子と狩猟に
20)ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
21)河野啓|デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
22)幡野広志|他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。
23)内山崇|宇宙飛行士選抜試験 ファイナリストの消えない記憶
24)近藤雄生|まだ見ぬあの地へ 旅すること、書くこと、生きること
25)岸田奈美|家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
26)玉樹真一郎|「ついやってしまう」体験のつくりかた
27)村本大輔|おれは無関心なあなたを傷つけたい
28)小松由佳|人間の土地へ
29)服部文祥|サバイバル家族
30)石川直樹|地上に星座をつくる
31)加藤亜由子|お一人さま逃亡温泉
32)沢木耕太郎|深夜特急
33)ブレイディみかこぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2|
34)沢木耕太郎|深夜特急第1巻・第2巻
35)沢木耕太郎|深夜特急第3巻・第4巻
36)いとうせいこう|国境なき医師団を見に行く
37)ちきりん|「自分メディア」はこう作る!
38)村上春樹|村上T 僕の愛したTシャツたち
39)鈴木賢志|スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む
40)沢木耕太郎|深夜特急第5巻・第6巻
41)落合陽一|0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書
42)早坂大輔|ぼくにはこれしかなかった。BOOKBERD店主の開業物語|
43)小永吉陽子|女子バスケットボール東京2020への旅
44)辻山良雄・nakaban|ことばの生まれる景色
45)岡田悠|0メートルの旅
46)トム・ホーバス|チャレンジング・トム
47)長谷川晶一|詰むや、詰まざるや 森・西武VS野村・ヤクルトの2年間
48)田中孝幸|13歳からの地政学
49))国分拓|ガリンペイロ
50))サトシン・西村敏雄|わたしはあかねこ
51))林木林・庄野ナホコ|二番目の悪者